渇仰の旅路
11月14日
これは執念が呼び寄せた奇跡の軌跡について。
その日は河口湖を発ち、富士山の西側を麓に沿って南下した。
朝霧高原からはススキの海越しに富士山を望む。
麓の紅葉は見事なものだった。標高が下がるにつれて山の色は暖色から燻んだ緑に変わる。
次第に日差しも暖かなものに変わっていく。
そして139号を下りきったらそのまま国道1号へ。
バイパスを流していると眩しい由比の海が視界の全てになる。
この景色が大好きで、この瞬間に焦がれながら走っているといっても過言ではない。
由比名物の桜エビが食べたかったのだが、立ち寄った店は生憎の休業だった。
桜エビの楽しみはお土産にして持ち帰ることにする。
清水では日本平へ寄り道。
程よいワインディングを駆け上ると、木々の隙間からは既に絶景の予感だ。
落ちているみかんをうっかり跳ねたりもしながら夢テラスへ。
しかし高所が苦手なため展望回廊は途中でリタイアして引き返したのであった。
寄り道の後は最終目的地の掛川へ。
2ヶ月前に道の駅掛川で出会ったバイク乗りにまた会いたいとずっと思っていたのだ。
そしてここに来ればきっとまた会えるのではという根拠のない確信があった。その当てにならない確信だけで掛川を目指して走ってきたのだった。我ながら清々しいほどの馬鹿である!
今回また再会することができたので、自分の当てのない勘は大分当てになるのではないかと変な自信まで湧いてくる。願えば叶うを体現してしまった。
薄暮の中、今回はゆっくり話すことができた。旅の目的も果たせて悔いなしである。
この方は戦前車で全国を旅するというのだから驚きだ。
次は旅の話をもっとじっくり聞いてみたい。そのためには自分も楽しい旅をたくさんして、お土産話を作っておかないとね。
黄昏をかける古のバイクを追って走った先はお洒落な服屋さん。話の流れから紹介してもらい連れてきてもらった。
ここの店主さんもバイクのある人生を楽しむ人だ。今度はゆっくり買い物にこよう。
帰路の国道1号を延々と走ると、冬の海の匂いがした。