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【#5】就農のための7ステップ(経営計画を作る編)

いつもご覧いただきありがとうございます、ベンチャー農家のなかたくです。

”食の当事者を増やす。”をミッションに長野県須坂市で「りんご」と「ぶどう」を作っています。プロフィールはこちら↓をご覧ください。

今回は、私が地方で農業をはじめるために行った第5のステップ「経営計画を作る編」を紹介します。

理想のライフスタイルをイメージし、実際に自分が育てるものを決めたら、農業の経営計画を練るフェーズになります。

計画の期間としては、設備投資の回収期間に該当する5年もしくは10年が良いと思います。経営計画と聞くと、ハードルが高く感じてしまいますが、一つ一つ分解していけば、難しいものではないので安心してください。

その他のステップについて解説した記事は、以下のマガジンをご覧ください。

新規就農は計画が9割

理想のライフスタイルも、希望する収入も、農業ビジネスの成功も、すべては「計画」から始まると考えています。

ソフトウェアサービス等は、ニーズはあるけれどまだ市場に存在していないものをPDCAを回しながら探すことが重要ですが、農産物はニーズが存在することを分かった状態でスタートします。(夏になればスイカを食べ、秋になればブドウやリンゴを食べることでしょう)

そのため、いかに効率よく生産するかを計画しておく必要があると言えます。正直なところ、お金よりも体力よりもコネよりも大切なものです。

減価償却という考え方

冒頭では、設備投資の回収期間を考慮して、5年もしくは10年計画が良いとお伝えしました。それは「減価償却」という考え方に基づいています。

農業で利用するビニールハウスを例にして考えてみます。

1000万円のビニールハウスを購入してブドウを作る場合、会計上は10年にわたって、ビニールハウスの費用を計上することになります。

そのため、毎年100万円(1000万円/10年)の費用がかかっていることになり、ブドウの売り上げが100万円に届かない場合は赤字ということになります。

しかしながら、ブドウの場合は樹を植えてから3年程度は出荷できるような作物ができないので、売上が立ちません。

そのため、中長期的に費用を回収できるかどうかを見極める必要があります。

他の農家を参考にする

まずは自分と同じ作物・作型を経営している農家がどのような状況なのかをざっくりと調べてみましょう。情報はネットにあるので、「〇〇県 品目名 経営指標」などで調べてください。

私の場合だと「長野県 ぶどう 経営指標」になり、長野県農業経営指標一覧(平成29年6月改訂)というページが見つかります。

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長野県農業経営指標一覧(平成29年6月改訂)より引用)

ナガノパープルというブドウの品種は10a(アール)あたり約84万円の所得(売上から経費を引いたもの)が得られると分かります。

そのため、800万円の所得が欲しい場合はナガノパープルを100a(アール)分栽培すれば良いということが概算できます。

ちなみに、100a(アール)はサッカーコート1.4面、テニスコート約38面分になります。それだけブドウを作ることを想像しただけでも大変そうですよね....

経営プランを作成する

経営プランは以下の手順で作成するとスムーズです。

①売上を計算する
②初期費用を計算する
③継続費用・維持費用を計算する

①売上を計算する

売上=出荷量×市場平均単価で算出できます。私の場合は、長野県農業経営指標一覧(平成29年6月改訂)を参考にして、土地面積から出荷量を算出して単価をかけて算出しました。

ただし、最初の3年程度は出荷ができないと想定して、0~6割程度で計算します。

②初期費用を計算する

初期費用は「農業用機械」や「栽培施設」が該当します。ブドウを栽培するビニールハウスや消毒用の車や草刈り機械が該当します。

幸いなことに、なかむら果実園( https://nakamura-fruits.studio.site )は江戸時代から続く農家なので、初期費用はほとんど0で算出しました。

③継続費用・維持費用を計算する

人件費や肥料、農薬、水道光熱費、保険料等が該当します。さらには「固定費用」と「変動費用」に分けることができるので、どちらの割合が大きいかを算出してみましょう。なぜなら、固定型か変動型で戦略が180度変わってくるからです。

ナガノパープルの場合は、農業所得率が60%程度であるため、40%が費用になります。また、ナガノパープルを作るときに必要な費用を探してみると、「固定費用」と「変動費用」の割合が概算できると思います。

まとめ

実際に自分が育てるものを決めたら、経営計画を作るフェーズになります。計画通りにいかないのが農業の現実ですが、計画がないところに成功はないと考えています。

デジタル物とは違い、一度決めてしまったら修正をするのが大変なのでよく検討してから行動に移しましょう。

サマリはこちらです↓

・新規就農は計画が9割
・他農家の経営状況を参考にする
・経営プランは以下の手順で作成するとスムーズ。
 ①売上を計算する
 ②初期費用を計算する
 ③継続費用・維持費用を計算する

参考資料

以下の2冊があれば網羅的に作成ができると思います。2冊で3000円程度なので、投資する価値は十分だと思います。


最後までご覧いただきありがとうございました。気になった点や要望・質問は、ぜひコメント欄へ。今後もこのnoteでは「農業」や「地方」を軸としたコンテンツをお伝えしていくので、ご覧いただければ幸いです。

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