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Vennies Essay

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日日是好日私的所感記
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2020年6月の記事一覧

わたしは他人を見に来たんじゃない、絵を見に来たんだ

わたしは他人を見に来たんじゃない、絵を見に来たんだ

昨日、川村記念美術館に行ってきた。

緑多き場所にある、閑静な佇まい。周囲には田んぼしかないような場所。広大な庭園と池を擁し、青々とした芝生がそこにあった。四季折々の、素朴な植物たちも。
しかし現在はコロナのために、入場に際しては予約が必須。庭園への入場は不可。美術館への入場は入替制。そのためか、開館後すぐの週末であったのに、人手はまばらだった。
おかげでわたしは、数多くの恩恵を受けることとなった

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見掛け倒し上等

見掛け倒し上等

昔っからそうだ、見た目だけでモノを買う癖がある。癖というより性質か。
そんなわたしの今までで最も高かった買い物は、車だった。その何に惹かれたかというと、ヴィジュアルと音のみ。

その車は施錠と開錠の際、フロントライトがぱちぱちっと、まるで可愛いお目々が瞬きするかのようなリズムで点滅した。ウィンカーを出すと、これまたお茶目なサウンドが鳴った。バックする時も、抜かりのない音を出した。

車種はというと

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無難な毎日を繰り返すくらいなら

無難な毎日を繰り返すくらいなら

二ヶ月ぶりのネイルリペアと美容院だった。ネイル施術中、映画を一本観た。

アイリス・アプフェル。
チープなものからハイブランドまで、自分が好きなモノだけを厳選し、貪欲なまでに身に纏ってきた女性。ファッションアイテムの選び方から織物のパターン、美術館の修復に至るまで、彼女が世界にもたらした美とセンスを描いていた。

観てから思い出した。前にも一度観てた。
だけど改めて、心に残ったフレーズを書いておく

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朔日の覚醒

朔日の覚醒

ついたち。朔日というものの存在そのものが好きだ。
なぜなら、わたしが一日生まれだからだ。いや、それだけではない。はじまりを全身で感じられるこの日が、わたしを幾度となく変えてくれたからだ。

朔日には、前月の苦悩がぱつんとリセットされるような何かがある。
一という数字が持つ力。いちばん。始め。先駆け。トップ。スタート。

今日の六月一日もまた、朔日の恩恵を受けた。苦悩まみれだった先月の出来事が、ぱつ

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