"Wonder"を読んで
英語の勉強のため、洋書を読む習慣をつけはじめました。
今回は映画化もされている、R.J. Palacio著の"Wonder"を読了しました。
重要な部分のネタバレは無しに読書感想文を投稿します。
まずあらすじです。
顔に障碍をもって生まれたオーガストと、その両親と姉のオリヴィア。
10歳のオーガストはその見た目により、生まれてからずっと普通の子供とは違う扱いを受けてきました。顔を見た瞬間に大声で叫び逃げ出されたり、じろじろ見られひそひそと何かを言われたり・・・
一方でオーガストはどこにでもいる普通の子供になりたいと思っています。
両親もそれを支えるべく、それまでのプライベートスクール(家庭教育)から切り替え、"本物の学校"への入学を決意します。果たしてオーガストは「普通の子供」としてクラスメートとうまくやっていくことができるのか…
そしてこの本の構造ですが、
チャプターごとに切り替わる各登場人物の視点で書かれた日記のような形で進行します。オーガストやそのクラスメイト等子供の視点、姉オリヴィア等のティーンエイジャーの視点。そこに大人の視点は出てきません。そのためとても読みやすい語彙で、正直な感情描写で書かれているところが面白いポイントでした。
その中でも私が最も共感したのは、やはり姉オリヴィアの視点でした。
私自身も、障碍はありませんが弟がいるため、家庭の中での自分の立ち位置や振る舞い等にすごくうなずいてしまいました。
「オーガストは太陽」という説明を見ると、あぁ本当にオリヴィアやその周りの家族はオーガストを愛していて、太陽のように輝いてみんなを照らしていると描写しているんだな。と思ったのですが、読み進めていくうちに言いたいのはそれだけではないということがわかっていきます。
特別なケアが必要な弟をもつ姉として、それが当たり前だと理解してはいても、本当の意味で同じように注目してもらえない。オーガストの治療が必要だから、オーガストが生まれてから私が両親を独り占めできる時間はない。初めての学校でも「あの障碍を持った子の姉」として知られる。
オーガストとは対照的に、(いい意味でも悪い意味でも)自分が何かの中心にいると感じることは無かった。
このように本の半分時点までは、ただひたすらにオーガストを取り巻く環境の今までの状態や感情描写が淡々とされるのですが、結構つらい気持ちになってしまいました。笑
オーガストやオリヴィアのその時々に感じている感情や自分に言い聞かせて我慢していることがあまりにも率直に書かれていて、いろいろと自分が過去に抱える感情までもが抉られるような気持ちになりました。またそれらが子供の無邪気さ故のものであったり、大人の優しさ故のものであったりして、誰を責めることもできないのが余計につらいです。
結果的にどのようにしてこの困難にそれぞれがケリをつけ、状況を変えていくのかというところが感動のポイントなのですが、
私が面白いと思ったのは置かれた状況そのものを残酷なまでに詳細に言語化していく最初のチャプターでした。
No.1 New York Times Best Sellerであることが頷ける、とても面白い小説でしたのでぜひ皆様も読んでみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
Veni,