ときめき先生 ~2021年没作品倉庫~
はじめに
2021年のボツ作品全集です。
初期の初期、全然違う作風のものも多くあります。
ここからいろいろ始まったんだーと思って読んでください。
本編ここから
7/26
ふたりは同棲している。
この夏は梅雨が短く、熱帯夜が早くも続いている。
「あついよ…」と彼女が言うも、彼は離れようとしない。
彼だって暑いと思ってる。だから眠れない。
だからといって、彼女を片時も離したくない。
ふたりの汗が混ざり合いながら、今日も夏の夜は更けていく。
夏、彼の実家がある山奥の田舎に行った。
都会とは違って、夜になると満天の星が空を覆う。
そういえば今日はニュースで、ペルセウス座流星群が観測できるって言ってた。
きれいだね、とお互い言いながら空を眺める。
彼女が「あっ、流れ星!」と言った。
彼氏はわからなかったみたいだ。
「何をお願いしたの?」と彼が聞く。
すると彼女は笑って答えた。
「ないしょだよ。だって、言ったら叶わないし、叶わなかったら、キミと一緒にいられないかもしれないもん…。」
今日から近所の町内会でラジオ体操が始まる。
いつもはあまり会わない近所の男の子とも、この時間だけは出会う。
小学5年生の少女は、その男の子に密かに恋をしていた。
男の子は小学6年生なので、みんなの前でお手本を示したあと、カードにスタンプを押すのが役目。
少女はちょっと恥ずかしがりながら、男の子のもとに行きスタンプを押してもらった。
去ろうとした瞬間、男の子が言う。
「おまえ、明日も来いよな。サボったら先生にチクるぞ」
少女は、次の朝も絶対早起きすることに決めた。
だって…彼に呼ばれちゃったんだもん!
浴衣姿の彼女と夏祭りにやってきた俺。
片時も彼女と離れたくないけど、彼女はあちらこちらの露店に行きたがるから目が離せない。
気づけばはぐれてしまった…
「おーい!ここにいたの!」見つけてくれたみたいだ。
手にはりんご飴があった。
あらかた彼女がりんご飴をなめたあと、何故かそれを僕に向けてくる。
「ねえねえ、りんご飴、なめてみる?…何遠慮してんの、そんなこと言うの、キミにだけだよ…。」
それを言う彼女の顔の赤さは、りんご飴と区別がつかないくらいだった。
8/2
ヒロインは大学生。大学の近くにある食堂でお昼を食べるのが日課になっている。
オシャレな女子大生はその辺のカフェに行くんだろうけど、彼女ははこの食堂の唐揚げ定食が大好きすぎて、それ以外の場所に行く発想すらない。
何より、ここの食堂で働く店員さんが、ものすごくイケメンで、彼女は惚れてしまっていた。
ある日、いつもの通り唐揚げ定食を頼む。
いつものように例の店員さんが来た。
テーブルに定食を置いた瞬間、店員さんがそっと耳打ちしてきた。
「野菜も食べなきゃダメだぞ。あんた可愛いんだから。」
いま、古き良き食堂の中で、恋が始まろうとしていた。
主人公は中学生。同じクラスに彼女がいる。
その彼女は、スポーツも勉強も万能で、何をやらせてもすごい。
…ただ一つ、家庭科を除いて。
調理実習でどれだけのものを炭にして、恐ろしい裁縫の作品を作り上げたことか。だから先生に頼まれて、主人公が手伝うことは毎時間のことだ。
でも、主人公にとって、それが一番幸せな時間だった。
2月14日のこと。
彼女が、カバンの中から何かを取り出して、主人公に渡した。
それは、手作りのチョコだった。
家庭科が苦手なはずの彼女が、不格好だけど頑張って作ってくれたチョコレートだった。
彼女のたった一つの欠点は、中学生同士の恋をいつの間にか育んでいた。
今年の夏、彼氏と同棲を始めた。
一緒に住んでいるアパートのベランダに、小学校の理科の授業以来のヘチマを育てることにした。
これでグリーンカーテンを作って涼しくなろうってことなのかな。
でもグリーンカーテンを作れる植物って他にもある。
彼女は、「なんでヘチマなの?」と彼氏に聞いてみた。
彼氏は「お前知らないのか?ヘチマの水って化粧水になるんだ。それを使って、ずっと可愛くいてほしいんだよ。」と言った。
ヘチマよりも先に、恋の花が花開いた。
彼氏と付き合い始めて初めての夏休みがやってきた。
大学生だから、絵日記も、漢字計算ドリルも、そんな宿題はなく、
長い長い休みを思いっきり楽しめる。
そんな時、彼が「今年、自由研究をやっていい?」と言い出した。
あの一番めんどくさい自由研究だ。
彼女が尋ねる。「え、何を調べるの?」
彼は「お前の観察日記だよ。だって、お前のこと、ずっと見てられるじゃん?」
ふたりの「世界一幸せな宿題」が、今始まった。
今年の夏、ついに彼氏との同棲が始まった。
この夏はどう過ごしていこうか、彼女は彼に聞いてみる。
すると彼は、「細かいことはわかんないけど、ずっとお前といたい」って言いだした。
もっといろいろと決めたがると思ったのに.。
「どうして?もっとあれこれ考えない?」と彼女は聞いた。
すると彼氏が、「ばーか。人生80年だとしたら、俺とお前の夏なんて数えるほどしかねーだろ。つべこべ言う前に、とりあえず俺といろ。それでいいだろ。」
80分の1の夏が、いよいよ始まろうとしていた。
夏。そうめんのおいしい季節だ。
同棲しているカップルは今、家でそうめんを食べている。
すると彼女が、「あ!これ珍しい!」と声を上げた。
見るとそれは、たまにしか入っていない赤いそうめんだった。
彼氏も見るのは初めてだったらしく、ずっと「すげーすげー!」って言ってる。
彼氏が言った。「このそうめんさ、俺ら二人で両端から食わねえか?せっかくだし二人で食べようよ。食べ終わったその先のことは…わかるだろ?」
それを聞いた彼女の顔の赤らみは、赤いそうめんよりもはるかに赤かった。
涼む食べ物で、お互い熱くなっていた。
今日は彼と、お蕎麦を食べに来ている。
急に和風を味わいたくなったらしい。
暑いからざるそばを頼んで、二人で食べることにした。
ソバをどっぷりとつゆにつけようとしたら、彼氏が「おい待て」と止める。
「そーゆーもんはちょっとだけつけるもんだろ。そばの風味が味わえないだろ」そう彼は教えた。
続けて彼は言った。「どうせなら、俺はお前にどっぷりつかってたいな。お前の風味、大好きだからさ。」と。
厨房では、頑固大将が、若い頃のこと思い出して動けないでいた。
一緒に暮らす部屋に、風鈴をかけてみたカップル。
いい感じに風が入ってきて、風鈴の涼しげな音が部屋を包んだ。
彼女は、「風鈴って綺麗な音だよね。やっぱ夏だね」と言う。
彼氏はそれを聞いて呟いた。「俺は…恋に落ちた音がする。お前を好きになった音がする」
そよ風が部屋に吹き込んだ。
夏のひと時、風鈴の音が、二人をそっと包み込んだ。
8/9
ヒロインは彼氏と出かけている。
この夏、うだるような暑さで、いつも何かを飲んでいないとやっていられない。
「あっついねー」と彼女が言う。
すると彼氏が言った。「だな。熱中症には気を付けろよ。で、家に帰ったらさ…ねっちゅうしょう?」
最後の方が早口で、よく聞き取れない。
「え?なんて?」と彼女が聞き返す。
彼氏が答える。「だーかーら…ねっ、ちゅう、しよう?だよ。二度も言わせんな…!」
この喉の渇きは、きっと夏のせいだけじゃない。
ヒロインは彼氏と二人っきりで花火をしている。
2人は近づき合って、線香花火に火をともした。
ヒロインの方の線香花火の火種が落ちた時、それが彼女の足にあたってしまった。
「きゃあっ!あつい…」と彼女が言う。
すると彼氏は、まだ火がついていたのに、自分の線香花火を踏んで消してしまった。
そのまま彼氏は、彼女の足を押さえて言う。
「大丈夫か?熱かっただろ?…許せねえんだよな。俺の気持ちよりも熱いものが、この世にあるってのが。」
二人の恋の花火は、小さくも、美しく打ち上がっていた。
ヒロインは彼氏と同棲中。
ヒロインの口癖は「はにゃ?」で、彼氏の口癖は「えぐい!」
お互いにこの口癖にイラっと来ているので、
その口癖が出るごとに10円払うというルールを決めた。
でも、癖って言うのは全然治らない。
「それマジえぐくね?!」と彼が言うと、「はい、10円!」と彼女。
「はにゃ?はにゃはにゃ?」と彼女が言うと。「はいアウト―!10円な!」と彼氏。
この繰り返しをしつつ、時が経った。
今日、私たちは結婚式を挙げます。
その結婚資金は、お互いの10円でパンパンになった貯金箱から出しました。
僕にはヒルバレ子ちゃんという彼女がいる。
とっても小柄でおとなしいかわいい子。
バレ子ちゃんと付き合うようになってから、どうにもわからないことがある。
それは靴のセンス。
春先のシーズンも厚底スニーカーだったし、夏も厚底サンダル。冬になると厚底ブーツ…。
何を考えてこんなに歩きにくそうなものを選んでいるのだろうか?
バレ子ちゃんは答えた。「だって、ヴェルくんって背が高いじゃん。ちょっとでもキミの目線に近づきたいんだ」
バレ子ちゃんはそういって、もっと背伸びをしようとしていた。
こんなけなげな子、守ってあげたさしかない。
ヒロインは傘を忘れてしまい、学校の玄関で立ち尽くしている。
どうしよう、ずぶぬれになって帰るしかないのかな…と思うと、
後ろからクラスの男子が現れた。
「傘、ないのか?」と聞いてくるので、黙ってうなずく。
すると彼は、「これ使え。俺もう一本あるし。」と、折り畳み傘を差し出した。
「ありがとう」とヒロインが言った後、彼は、
「ぜってー返せよ!またお前と会う理由ができたな。」そう言って、駆けて行ってしまった。
一本の傘から、恋が始まろうとしていた。
8/16
ヒロインは彼氏と一緒に住んでいる。
今年はとっても蚊が多いので、2人とも虫に刺されまくっている。
どうしようかなと考えて、彼女は「蚊取り線香つける?」と提案した。
すると彼氏が、「それはダメだ」と断る。
なぜ?彼女は彼氏に聞いてみた。
「俺さ…お前の好きって気持ちを吸い取ってる蚊なんだよ。匂い嗅いだら、俺だってクラっとしちゃうだろ?」
2人だけの、甘い虫さされが、夏を彩った。
ヒロインは小学校一年生で、好きな男の子がいる。
学年末の6年生を送る会で、1年生は劇で「シンデレラ」をやることに。
その男の子は王子様の役をやることになったものの、
シンデレラ役はヒロインと、もう1人のクラスメイトで決まらなくなった。
彼女は結局ジャンケンに負けてしまい、木の役をやることになってしまう。
泣きそうになっていたところ、その男の子が突然近寄ってきた。
「ねぇ、おうじさまの相手はあの子になったけど、でも、おれのあいては、おまえがいい。」
その時、お互いはお互いにぴったり合う、ガラスの靴になっていた。
ヒロインは彼氏と一緒に住んでいる。
彼女はかなりお風呂が大好きで、
いつもそれなりにお風呂タイムは長いのだけど、
色々と疲れきってしまった日のお風呂タイムで、
彼女はそのまま寝てしまい、溺れてしまった。
彼女が目を覚ましたとき、タオルにくるまれた隙間から、彼氏の顔が見えた。
「何してんだよ。あぶねーな。やっぱり…俺がいなきゃ、お前はダメだな。」
彼女はいま、彼氏の心に溺れてしまっていた。
ヒロインは彼氏と一緒にゲームをしている。
付き合ってから、彼氏が相当なゲーム好きだとわかり、
今は一緒にマリオカートをしている。
突然彼氏が、「順位よりもタイムで競いたい」と言い出した。
なんで?と聞いてみると、
「お前が俺に勝った秒数だけ、俺にぎゅーしていいよ。その代わり、俺が勝ったら、その分お前をぎゅーしたいんだ」
いま2人の間に、幸せのチェッカーフラッグがたなびいていた。
ヒロインは彼氏と一緒に住んでいる。
ある日、彼氏の家からたくさんのお米が送られてきた。
彼女は「え、おうちはお米農家さんだったの!?」とびっくりする。
すると彼氏はいきなり、彼女を肩に背負って担ぎあげてきた。
「言わなかったっけ?実家じゃこうやって米持たされたって。」
ひとめぼれした彼はいま、つや姫をお米様抱っこしていた。
今日は彼とのデートの日。
駅の前で待ち合わせしているはいいけど、なかなか彼氏が現れない。
お互い乗ろうと思っていた電車の時間が近づいていく。
この電車を逃すと、1時間は待たなきゃなのに。
やっと彼が来た。もう電車には間に合わない。
「なんで、なんで遅れてきたの?」彼女は責める。
「悪ぃ…服考えてたって言おうとしたけど、正直に言うわ。ちょっとでもホームでお前と長く話してたくてさ…」
そんな彼の過ぎた不器用さが、彼女を射抜いていた。
ヒロインは彼氏と食事に来ている。
大学の近くにあるラーメン屋さんで、お昼を一緒に過ごしていた。
彼女は一人の時は、ラーメンのスープまで飲んじゃう。
そしてそれが楽しみであったわけだけど、
いつものように彼氏の前でそれをやろうとすると、
彼氏がそれを見た瞬間、いきなり彼女の手を止めた。
「体に悪いもので体満たすなよ。飲み干すなら俺の愛情にしな。」
そのしょっぱさは、スープの味か、それともじんわりかいた汗のせいか。
8/23
ヒロインは、今人間関係で悩みを抱えている。
最近は花を育て始めて気持ちを落ち着かせていたけども、
それでも度重なるストレスで倒れそうになっていた。
彼氏はずっとそんな彼女の姿を気にしていて、そっと優しく声をかけた。
「花を育てていたらわかるだろ?雨の日だって必要なんだよ。だから俺の前で雨を降らせてもいいんじゃないかな。嫌なこと、あったんだろ?」
2人の間に降る雨が、恋の花をまた咲かせた。
ヒロインは大学生で、ここ1年ほどずっとZOOMで授業を受けている。
ゼミでは、発言をするときにはカメラをオンにして喋ることになっている。
今日はゼミ内でもめっちゃイケメンと噂の4年生の先輩の発表だ。
「そんじゃ、お願いします」と先生の合図とともに、パソコンに先輩が映った。
噂通りの超絶イケメン先輩にヒロインは一目ぼれしてしまう。
発表中は、内容そっちのけで、ずっとパソコンのスクショを取っていた。
単位よりも、先輩の笑顔が欲しい。
ヒロインは彼氏と散歩している。
2人で夜にあてもなく歩くのが最近の楽しみ。
彼女が気づく。「あ!今日は満月だね!」
今日は夜もよく晴れていて、星空も月もとてもきれいだ。
「こんなきれいな月、久々じゃない?」と彼女が言う。
すると彼氏はしばらく考えた後に言った。
「そうかな…俺にとって月はずっと綺麗だったし…。きっとお前と一緒に見てるからだと思う。」
満ちることはあっても、欠けることのない2人の恋が、夜を照らした。
8/30
ヒロインは仕事を終え、アパートの一室に戻ろうとした。
しかし彼女は、玄関の3m手前で固まってしまう。
セミがひっくり返っている。
彼女は一人泣きそうになりながら、隣の部屋のインターホンを押した。
隣の人の顔も知らないのに。
出てきたのは、とても背が高いイケメン。
彼女が事情を説明すると、男性はセミをほうきでよけてくれた。
セミは生きていたみたいで、空に飛んで行ってしまった。
「これから何かあったらいつでも言ってください!」
男性はさわやかに笑い、部屋に戻った。
その笑顔は、ずっと彼女の頭に残り続けていた。
ヒロインは朝目覚めると、知らない家にいることに気づいた。
昨日の夜の記憶が全くない。
「ん、起きたのか?」声がする方を見ると、サークルの男の先輩がいた。
酒を無理して飲んで倒れてしまい、先輩が介抱してくれたらしい。
先輩が作ってくれたスープを飲む。
「めっちゃ迷惑かけてごめんなさい…」彼女が恐る恐る言う。
先輩が言った。「いいんだ。それより、めっちゃいい寝顔してたな。…俺だけに、もっと見せてくれたら、嬉しいな。」
酒の失敗から、恋が生まれようとしていた。
ヒロインは、学校の玄関のひさしの下で立ち尽くしている。
外は大雨と言うのに、傘を忘れてしまってしまったのだ。
このまま帰れなかったらどうしよう…と思った時、後ろから声がかかる。
「傘、忘れたのか?」サッカー部の気になっている先輩だ。
「一本余計にあるから使いな。ぜってー返せよ!お前ともっかい会う理由、でーきたっ!」
先輩はそういって、雨の降る中を笑顔で駆けていった。
今度返すときは、先輩と相合傘しよう。彼女はそう、心に誓った。
ヒロインは彼氏と同棲している。
最近はどうも、デートの日はいつも雨になってしまう。
こんなことになるのは、きっと自分が雨女なせいだ。
家族旅行も、雨の日ばかりだったから…。彼女は自分を責めていた。
「ごめん…わたしが雨女なせいで。」彼女がつぶやく。
すると彼氏が言う。「ばーか、いいじゃん。お前だから、出かけられなくても楽しいのに。」
ひとつ屋根の下の二人の間に、小さな虹がかかった。
主人公は彼女とゲームして遊んでいる。
彼女が持ってきてくれたゲームで対戦するも、
負けず嫌いな主人公は、どうしてもコントローラーを激しく押してしまう。
「そんなことすると、壊れちゃうよ!もっと優しく扱って!」彼女が文句を言う。
「どうしても興奮しちゃうんだよ。どのくらい優しくすればいい?」主人公が聞く。
すると彼女は、そっと、ふわっと、主人公を抱きしめた。
「多分、このくらいの力じゃないかな?伝わった?」彼女はそう言って微笑んだ。
彼女の不意打ちは、彼を完全に、手詰まりにさせていた。
9/6
ヒロインは、最近彼氏ができたばかりの、恋愛不慣れな女の子。
今日はその彼と、ゲームをして遊ぶことにした。
遊ぼうとしたゲームは、事前にアバターを作っておかないとプレイできないらしい。
彼氏は彼女のアバターを作っていった。
彼氏はじっと、ずっと、彼女の顔を見つめる。
「おい、そんな動くと作りづらいだろ」彼氏が文句を漏らす。
「そんなにみられると…わたし…恥ずかしい…」彼女はそう返す。
彼氏のまなざしは、彼女にクリティカルヒットしてしまっていた。
ヒロインは最近、とにかくついていない。
時間割を間違えて教科書を忘れてきたり、
シャープペンがいきなりぶっ壊れたり。
でも、隣の男子が、いつも不思議と助け船を出してくれていた。
そして今日…彼女は弁当を忘れてしまった。
ただただ、中庭のベンチでたそがれていると、
隣の男子が、突然声をかけてきた。
「食うもんないのか?俺の弁当食うか?」と彼。
「え、ありがとう…でも、どうしてそんなに優しくしてくれるの?」と彼女。
「だって隣だろ?困ってるとこ、ほっとけねーよ。」恥ずかしげに彼が言った。
二度と席替えが起こらないよう、彼女はこっそり願った。
ヒロインはここ数日、風邪をひいて学校を休みがち。
学校の授業、だいぶ進んじゃったのかな…と思った時、
クラスの男子から突然LINEが来た。
「とりあえず写しとけば何とかなるから」とただ一言、
とても彼とは思えないくらいのしっかりとしたノートが送られてきた。
「ありがとう」と返信してしばらくすると、インターホンが鳴った。
さっきの彼だ。
「だいぶプリント溜まってたから届けに来た」と彼。
「え、ありがとう、でも風邪うつしちゃ悪いよ…」と彼女。
すると彼が言った。「いーんだよ。だから俺が来たんだろ?」
さりげない彼の気遣い、それこそが、彼女にとっての魔法の薬だった。
今日は待ちに待った、彼女とのピクニック。
彼女とこんなお出かけするのは初めてで、主人公はすごくワクワクしていた。
広くて眺めのいい公園に着いて、2人でお弁当を食べることに。
彼女が、サンドイッチやおにぎりなど、めっちゃ手を込んで作ってきた。
「はわ~!めっちゃいいよ!すっごくおいしい!」と素直に彼が言う。
すると、「ありがとう!…だったら明日からも、キミにお弁当、作っていいかな?」
彼女はそう言って笑った。
ひと夏の恋から本気の恋に変わる秋が、今始まった。
ヒロインは彼氏と同棲している。
外がとんでもない大雨で、雷も落ちている。
いつもは彼女をエスコートしてくれる彼だけど、
今日だけはどうにも、様子がおかしい。
「どうしたの?」と彼女が聞く。
「俺…これだけはダメなんだよね…」彼氏は、雷が大の苦手だったのだ。
「怖い…今日はお前と離れたくない…」すっかり小さくなった彼が、強く彼女を抱きしめる。
不意に見せた弱さが、彼女の心に落雷した。
9/13
ヒロインは、隣のクラスの男子と付き合っている。
校則で、他のクラスの教室には入ってはいけないけど、
昼休みには先生の目を盗み、こっそり彼氏に会いに行っていた。
ある日、ヒロインの元に別の女子がやってきて、激しく詰め寄る。
「私が一番彼のことを愛してるの!あんたなんかは黙ってて!」
その女子の激しい剣幕に、ヒロインはひるんでしまった。
その時、いつもと逆に、教室に彼氏が入ってきた。
「やめろ。邪魔すんじゃねえお前。俺が好きなのは…コイツなんだよ!!」
守ってくれた彼の背中は、なぜだかいつもよりも大きく見えた。
9月の休日のこと。
ヒロインは彼氏と、デートに出かけていた。
まだ9月だから日中は暑いと思って、薄着を着てきた彼女。
でもそれが間違いだった。急に冷え込んできた。
何とかやせ我慢を張ろうとするも、さすがに寒すぎる。
すると彼氏は、羽織っていた上着を彼女に着せてあげた。
「え、ありがとう…、でも、寒くならない?」彼女が心配する。
「じゃあ、こうすればいいんじゃない?」彼氏はそう言って、後ろから彼女をぎゅっと抱きしめた。
彼女の心がきゅーっとなる。
一足早く、彼女のほっぺたが、紅葉してしまった。
いよいよ明日は修学旅行。
ヒロインは高速バスの隣の席の男子が、
ずっと気になる男の子だったので、ウキウキしすぎて眠れない。
一睡もできないまま、翌朝を迎えた。
すっかり寝不足の彼女は、席に座ったままいつの間にか寝てしまう。
しばらくして目が覚めると、彼女の体にブランケットがかけられているのに気づいた。
隣の彼がかけてくれたみたいだ。
「すっごくよく眠ってたからさ、起こすの悪いなって。修学旅行、楽しもーな!」彼が微笑んだ。
楽しくも、どこか甘酸っぱい青春の旅が、今、幕を開けた。
ヒロインは、ずっと風邪で学校を休んでいたが、
ようやく治ってきたので久々に登校することにした。
朝起きてスマホを見るとLINEが来ている。彼氏からだ。
「7時半に家の前で待ってるから」とある。
いつもは迎えに来ることなんかないのに。
身支度を終えた彼女は家を出る。約束通り、彼氏がいる。
「どうしたの?急に今日に限って…」彼女はそう尋ねる。
「ずっとお前に会えなくて寂しかったんだよ。クラスの誰よりも先に、お前に会いたかった。」
2人はそう言って、お互い手をつないで学校に向かった。
お互いの体温が、恋の病で上がってゆく。
ヒロインはとっても数学が苦手。
数学の授業では当てられないかびくびくしながら授業を受けている。
久々に名前が呼ばれた。当てられてしまった。
よりによって難問で、彼女は口を開けない。
その時、隣のひそかに気になってた男子が、紙切れを渡してきた。
「4√7(4ルート7)」彼女はそこに書かれた数字を口に出した。
「その通りだ」と先生は言い、授業は続いていった。
休み時間。彼女はその男子に「ありがとう。」と言いに行った。
すると彼は、「今度、一緒に数学、勉強しよ?」と誘ってきた。
断る理由がなかった。
絶対、彼の恋の方程式を解く。彼女はそう決めた。
今日は主人公の家に、彼女が来ている。
夜な夜なお酒を飲みながら、くだらないことを話す。
2人にとってそれが、一番楽しみな時間だった。
そんな彼女は今日、なぜかとっても酔っている。
飲み会だったらみんなにお酒を勧めてるはずの彼女なのに。
「すごくべろべろに酔ってるけど、大丈夫?」主人公が声をかける。
彼女は顔を赤らめて返す。「へへ、お酒もそうだけど、君に酔ってるんだよ…」
2人だけの甘い時間は、何よりもおいしい美酒そのものだった。
9/20
ヒロインは、彼氏と付き合い始めて半年。
今日は家にその彼氏が泊まりに来ている。
ふと見ると、彼氏が脱ぎ捨てたパーカーがある。
彼がお風呂にいる隙に、彼女はこっそり彼氏のパーカーを抱きしめた。
彼氏の匂いがする。離れられない。気が付けばずっと嗅いでいる。
「なにしてんだ?」彼氏の声がする。
「いや、別に、その…」彼女が慌てる。
すると彼氏はいきなり、彼女を抱きしめた。
「そんなに嗅ぎたいならこうしてあげる。お前の服にも匂い、染みちゃうかもな。」
お風呂上がりのぬくもり、湿り、匂いが、冷え込む秋の夜を包み込んだ。
今日は高校の学園祭。
主人公は彼女と一緒に、学校を回って楽しんでいる。
「ねえ、ここ入ってみようよ!」彼女がお化け屋敷を指さす。
しかしいざ入ると、あれだけ強がっていた彼女は、すっかり怖がってしまっていた。
「ねぇ怖い…キミの腕にしがみついてていい?」彼女が震える声で言う。
「いいけど、怖がりなのになんでお化け屋敷誘ったんだよ」彼氏が尋ねる。
彼女が答える。「だって…キミとなら大丈夫だと思って…。」腕を抱く力がさらに強まった。
暗闇の下で見せた彼女の弱い一面に、彼は愛らしさを覚えてしまっていた。
今日はヒロインの家に彼氏が来ている。
テストが近いので、一緒に勉強することにした。
数学が得意な彼と英語が得意な彼女。
お互いに教え合いながら時間が経っていく。
「ああ~疲れたぁ…。」彼氏が言う。
「それじゃあちょっと休憩しよっか」彼女が答える。
すると彼氏は彼女の膝に頭を置いて、寝転んだ。
いきなりのことに声にならない彼女。
「お前の膝枕気持ちいいな、15分経っても起きなかったらぶっ叩いて」
彼氏はそう言って、寝てしまった。
さっきまで教えてもらった数学の定理が、すべて飛んでしまった。
主人公とその彼女は部活が一緒。
今日も炎天下のもと、部活が始まる。
ランニングのあと、主人公はタオルを手に取り、汗を拭いた。
ふと彼女を見ると、少し様子がおかしい。
どうやらタオルを忘れてきてしまったようだ。
「ちょっと予備がないか探すわ」と主人公が言うと、彼女はそれを遮る。
「いい、キミのそのタオルでいいから貸して」彼女はそう続ける。
「え?いや、汚いよ?」彼氏が戸惑う。
「いいもん、キミのだったら。」彼女は汗ばみながら笑う。
吹いたばかりの額に、違う意味で汗が流れた。
ヒロインは彼氏と一緒に月を見ている。
「わぁ!月、綺麗だね!」無邪気に彼女が言う。
「そうだね。とってもきれいだね。でも…。月よりきれいな丸いもの、俺知ってるんだ。」彼がそう答える。
「ねえ、それって何?」彼女は彼の方を向いて聞く。
「それは、お前の眼だよ…。」彼は静かにそう言うと、いきなり彼女を押し倒した。
「え?どうしちゃったの…!?」彼女が戸惑う。
彼が答えた。「だって…月よりも綺麗で真ん丸なお前の目を見ていたら…俺、オオカミになっちゃうな…」
2人の重なり合う暗い部屋に、満月の光が差し込んだ。
主人公が大学に来てみると、今日は彼女がいない。
どうやら風邪をひいたらしい。
心配になった主人公は、ウィダーやポカリなどを買って彼女の家に行った。
家に入ると、彼女はすっかり寝込んでしまっていた。
一通り汗を拭いてあげて、大学の資料を置いて、彼が帰ろうとした時、
彼女はか細い声を上げて引き留めた。
「来てくれてありがと…でも、また一人なのつらい…。ねえ、一緒におふとんして?」
その言葉のせいで、彼は帰れなかった。
彼は布団の中に入り、添い寝をした。
甘い風邪ならうつされたっていい。そう思い、彼は彼女を抱きしめた。
9/27
「ねぇ…キスしたい…」彼氏が彼女にねだる。
彼女に甘えるときのお決まりのフレーズだ。
「うん、いいよ」彼女は彼の方へ、顔を向き直した。
しかし彼はそっと彼女を押し倒す。
「物知りなお前なら、キスの場所の意味、わかるよな?」そう彼がささやくと、
彼女の耳に唇が落ちた。「誘惑」だ。
次に腕に吸い付く。「恋慕」を込めて。
さらに瞼に唇が触れる。「あこがれ」を伝えるために。
そして喉に唇を当てる。「強い欲求」を表して。
まだまだキスは続く。「独占欲」を込めた胸へのキス。
あまりのことに、もう彼女は考えることができない。
「どう?ためになっちゃったね…。それじゃあ最後は…」
彼はそう言って、彼女の唇に、長い長いキスをした。
「深い愛情」を込めて、ずっとお互いのことを離さずに。
いつまでもこの時間が続いていればいいのに。お互いにそう願った。
「もう別れよう。」
彼のその一言で、私達の付き合いは終わった。
でも私は、彼のことが忘れられない。忘れたくない。
生まれて初めて出来た彼氏で、たくさんの思い出があって。
インスタにあげた写真もある。
あげていない素のままの写真だってある。
特別な日でも、なんでもない日でも、全てが愛おしくて。
別れた今でも、毎日見返しちゃう。私、未練しかない。
でも、あるときに見てしまった。
彼が新しい彼女と一緒に歩いている姿を…
しばらくして、私はスマホを取り出した。
たくさんのインスタの投稿を消そうとした。
でも、消せなかった。アーカイブにするしか出来なかった。
未練なく何もかも消せたらどんなにいいんだろう。
スマホの画面が、滲んで見えなくなった。
体育委員をしている主人公は、用具庫の片付けを一緒にやる女子が気になっていた。
いつも通りふたりが用具庫に入ると、いきなり鍵がかかった。
先生が間違えて閉めたのか?
とりあえず、この空気をなんとかしたい。
「あの…えっと…」言葉に澱む彼。
「鍵かかっちゃったね、でも、先生はすぐには呼ばない。」彼女がそう返す。
「えっ、どうして?」彼が戸惑いながら尋ねる。
「だって、キミとずっと話してみたかった。いつも頑張ってるの、見てたんだ。そーゆーとこ、好きだってずっと言いたくて。こんな所でごめんね」
告白じゃないだろうけど、好きと言われた彼。
物置のツンとした匂いにさえも、甘酸っぱさを錯覚した。
最近、ホームベーカリーにハマった彼女。
そんな彼女から突然LINEが来て、主人公は家に呼び出された。
きっと自信作でもできたのだろうかと思いきや、
彼女は会うや否や「ちょっと手伝って!」と言いつける。
何にもできていなかった。材料すら足りていなかった。
彼女に頼まれてスーパーへ走る主人公。
俺はパシリか!でもこんな時間も悪くないな、そう感じていた。
ようやく作業がひと段落し、あとは完成を待つのみに。
「へへ、来てくれてありがとう。キミと私の結晶、そろそろできるね♡」エプロン姿の彼女は、にっこりとそう言った。
ただよう小麦の匂いすら、どこか愛らしさを感じてしまった。
主人公は彼女とピクニックに出かけている。
公園の木の下でお昼ご飯をとることにした。
「じゃ~ん!頑張って作ってきたんだ~!」彼女は弁当箱を開けて言った。
中には彼女お手製のサンドイッチが入っている。
「めっちゃおいしそう!いただきま~す!」
主人公はそう言って、そして二人でサンドイッチを取った。
「ねえねえ、そのサンドイッチ、こっちに近づけてみて?」彼女がそう呼びかける。
2人はサンドイッチをぴったりと重ねて、正方形を作った。
「ほら、ピッタリくっつくでしょ?だからさ…」
彼女はそう言って、主人公にもたれかかった。
昼下がりの木の下で、甘い果実が実ろうとしていた。
同棲中のふたり。最近ずっと彼女の帰りが遅い。
いつも彼女は彼の前では笑顔を見せるも、
彼は彼女のことが心配でならない。
「話、聞きたい。隠し事は禁止だろ?」寝る前に彼が彼女に尋ねる。
「んーん、ちょっと仕事うまくいかないだけ。でも、私の問題だし…」彼女がこぼす。
「そっか。んー…、こっち来てくれる?」彼が呼び寄せる。
そして近づいてきた彼女を、優しく、ゆっくり抱きしめた。
すると、彼の胸のあたりがなぜだか濡れた。涙だった。
「ぐすっ、ごめん…なんで…」泣きじゃくる彼女に、彼は応える。
「無理してたんだよ。ずっとこのままでいいよ。今日はお互い、充電しよ?」
小さな灯りのもとで、お互いのぬくもりが交錯した。
付き合いはじめて数か月が経った二人は、
今夜初めて、一緒に寝ることにした。
「じゃあ、始めようか」彼があらかた準備を終えて言う。
「うん…でもやっぱ恥ずかしい…」まだ、心の準備が整わない彼女。
「いいよ、無理しなくていいんだよ」彼は続ける。
「ありがと、でも…キミの素肌、感じたい。」彼女が漏らす。
「そっか、じゃあ、手伝ってあげるね」彼は彼女のボタンに手をかけた。
「やっぱ恥ずかしいよ…」「ううん、きれいだよ。これで僕らを邪魔するものは何もないね」
ふたりは布団の中に潜り込み、重なり合う。
お互いの吐息が混ざり、染み出る汗はどちらのものか区別がつかない。
「ねぇ、どうかな…」彼が尋ねる。
「わかんない。でも、わたし嬉しい。キミをいっぱい感じられて」彼女が答える。
二人は唇を重ねた。
気持ちよさで意識が持って行かれる。そのまま、お互いに眠りに落ちていった。
ヒロインは彼女と同棲中。
そろそろ寝ようかな…と寝室に行くも、彼がいない。どこを探してもいない。
「今どこ?」LINEを送るも、まったく反応がない。
でも玄関には、なぜか彼の靴がある。
どうしよう…半泣きになる彼女。
こんなに心配させないでよ…そう思いながら布団に足を入れると、
今までに感じたことのない感覚が足に伝わった。
「えっ…!?」布団をめくると、いたずらっぽく笑う彼がいた。
「びっくりした?ごめんね!でも、驚いた顔も可愛かったな」
「もう…!本当に心配したんだから…ばか…!」彼女は半泣きのまま、彼に抱きついた。
今度は、嬉しいサプライズをしよう。彼女の頭をなでながら、彼は心に決めた。
10/4
今日は高校の体育祭。ヒロインはリレー選手に選ばれていた。
いざ本番になって、隣にいる相手に驚く。
入学した時からひそかに気にしていた先輩だった。
「位置について!よーい、スタート!」
ヒロインは何も考えないように走るも、途中で足をくじいてしまった。
痛くて動けない。痛みと悔しさで涙がにじむ。
すると、先頭集団を走っていたはずの先輩が、
いきなり引き返して、彼女を担ぎ上げてゴールした。
先輩はそのまま救護テントまで運び、手当までする。
「せ、せんぱい…ごめんなさい…!」ヒロインはそう言うしかない。
「なんだよ、いいんだよ。勝ち負けよりも、お前の方が大事じゃん?」
先輩が巻いてくれた包帯が、その時だけ、赤い糸に見えた。
ヒロインは彼と付き合いはじめたばかり。
本当は恋人らしく、イチャイチャしたいし甘えたいけど、
甘え方が分からないから、いつも彼とは離れて座っている。
「なんでいつも離れてんだよ。」彼氏が不満そうに言う。
ホントはくっつきたい。でも、そんなこと言えない。
ただただ彼女は顔を赤くして、彼と目を合わせないようにする。
「ったく、しょーがねーな。」
そう言うと、彼氏は急に近づき、後ろから彼女を抱きしめた。
照れて離れようとする彼女。
でも、そうすればするほど、彼は抱きしめる力を強める。
「付き合ってんだから、このくらいしていーじゃん。こーやって、俺にも甘えてよ。」
囁きと吐息とぬくもりに、彼女はすっかり包まれてしまった。
今日は初めて、家に彼女が泊まりに来ている。
明日は一緒に水族館デートなので、早めに寝ようとする二人。
電気を消して、目を閉じようとすると、彼女がすり寄ってくる。
彼女は彼の腕にくっつき、ずっと上目遣いで、物欲しそうな目でこちらを見つめる。
「なんだよ、明日デートなんだよ、早く寝ようぜ…」彼氏がそう言う。
しかし彼女は、彼を抱く力をもっと強めた。なぜだか彼女の顔が熱い。
何も言わないだけで、相当照れていることに気づいた彼。
「ははーん…お前、さては、誘ってるな?」
彼氏が声をかける。見抜かれたと悟った彼女は、ただただ黙って照れるだけ。
「おまえのそーゆーとこ、可愛すぎだろ。俺もうヤバい。」
彼はそう言って、彼女を抱き寄せ、キスを放った。
大事な日の前日は、やっぱり眠れなかった。
「トリック・オア・トリート!お菓子くれなきゃいたずらするぞ!」
魔女っ子のコスプレをした彼女が部屋に来た。
「は、マジ可愛い…」彼はそう言って、ポケットからスマホを取り出した。
「どうするつもりなの!?」彼女がうろたえる。
「こんなの写真撮るしかないじゃん、やばいって…!!」
「そ、そんなに言われちゃ…」かえって恥ずかしい彼女。
「ねえ、尊すぎてどうかなりそう…」
そう言って彼は、彼女の首元に、跡がつくぐらいに吸い付いた。
「え、何するの…!?」彼女が恥ずかしがる。
「へへ、俺のいたずらだよ。俺をドラキュラにさせたお前が悪いんだ…」彼はそう返す。
お菓子よりも甘いいたずらを味わって、ハロウィンの夜が更けていった。
ヒロインは彼氏と同棲している。
今夜も彼氏と一緒に寝るが、彼女はとても暗がりが苦手。
いつも電気つけっぱなしで寝ることに後ろめたさを感じていた。
そんな彼は今夜、「今日は電気を消したいんだ。見せたいものがある。」と言った。
ぱちんと彼がスイッチを切ると、天井が点々と光っている。
「わぁ…キレイ…なにこれ…」彼女が驚く。
「蓄光(ちっこう)シートってやつだよ。どう?」彼が尋ねる。
「うん、とってもきれい…ありがと…」彼女は彼をそっと抱きしめた。
暗闇の中で、ぐっと近づく彼女の可愛さに、彼は耐えられなかった。
彼は彼女に覆いかぶさるように体の向きを変えた。
ほのかに光る暗い部屋の中での彼の顔は、いつもよりも美しくて。
彼女はそのまま、彼にされるがままにキスをした。
暗闇にともったぬくもりに包まれて、二人はそのまま、眠りに落ちていった。
彼女「もう!キミなんて知らない!」
彼氏「…朝っぱらから、なんだよ」
彼女「とぼけないでよ!本当にわかんないの!?この録音聴いても!?」
ボイスメモの彼氏「にへへ…かわいいな、ルナ…」
彼女「ほら…寝言で言ってるじゃん。誰!?『ルナ』って!私以外の女子の名前が出てくるのやだ!ねえ誰なの誰なの!?」
彼氏「待てって、ごめんて。でもそれ、実家で飼ってる猫なんだよ。」
彼女「ネコちゃんだったんだ…ごめん、なんか恥ずかしい…」
彼氏「こっちこそ不安にさせてごめん。でも、そんな事言うってさ、絶対そっちもなんかあったろ」
彼女「そう…最近私も嫌な夢見るの。キミが私から離れて言っちゃう夢。だからちょっとしたことも、怖くて…不安で…」
彼氏「そっか…(彼女を抱きしめ)」
彼女「えっ…」
彼氏「大丈夫。ずっとここにいるから。キミから離れはしないよ。」
彼女「ありがと…うれしい…にゃん」
彼氏「弱ったな…かわいい猫、ここにも来ちゃったか…」
10/11
主人公がひとり部屋で課題をやっていると、彼女が突然入ってきた。
「どしたー?なんかあった?」彼が言うと、
「ううん、なんでもない」彼女がぶっきらぼうに返す。
でもその直後、彼女は後ろから彼を抱きしめる。
「なっ…なんだよおい」彼が戸惑う。
「もー、気にせず勉強してよー」彼女はそう返す。
でも、彼女は離れようとしない。
「さては…お前、寂しがり屋のウサギさんだろ?」
彼は向きを変え、彼女を正面から抱きしめた。
「落ち着くまで、ずっとこうしてていいからね…」彼が優しく声をかける。
そして優しく頭をなでてあげた。
甘々な二人をつないだもの…それは、「愛撫(あいぶ)」。
付き合いはじめたカップルが、こんな話をしている。
彼氏「大好きなお前には、どこにも行ってほしくないな」
彼女「私だってずっとあなたといたい。だって好きだもん」
彼氏「そーゆーこと言っちゃうの、かわいいな」そう言って彼女を抱きしめる。
彼女「ちょっと…急にハグなんか…ズルい…そっちがハグならこっちはこうだ!」彼女は彼の首元にキスするように噛みつく。
彼氏「はわ!なんだよ!跡がつくだろ!」
彼女「私の跡だもん、これで、キミはわたしのものになっちゃったね!」
お互いがお互いが独占したい気持ちが、「がぶが部」させてしまった。
今日は初めてのデートの日。
彼にちょっとでもオシャレな姿を見せたいヒロインは、
新しく買ったかわいいヒールを履いてきた。
彼氏といろんなところに行って楽しい時間を過ごすも、
彼女の足が、じわじわと痛みだす。
「ちょっとごめん…」見つけたベンチに彼女が座る。
ヒールを取ってみると、靴擦れを起こしていた。
「大丈夫か?そのヒール履きなれてなかったの?」彼氏が聞く。
「うん…でも、大丈夫。大したことないし…」彼女がまた歩こうとすると、
「ほら、乗りな」彼はそう言って彼女を背中に乗せた。
「今日のお前、とってもオシャレでかわいいな。」
彼の言葉、そして大きな背中に、彼女はもっとキュンとなる。
愛し合う二人の…「おん部」。
ピンポーン。
突然家のインターホンが鳴る。
玄関を開けてみると、そこにはずぶ濡れになった彼女がいた。
「ごめん…こんなになると思ってなくて、傘持って行かなくて…タオル貸して…」
放っておけない主人公は、彼女を家に入れた。
「風邪ひいちゃ困るだろ、ここであったまっていきなよ」彼はそう言って、一人の時は決してONにしない暖房をつけた。
ひとしきり体を拭いた彼女を暖房の前に座らせる。
「ねえこっち来てくれる?」と彼女が呼んだ。
彼が彼女のもとに行くと、そのまま彼女は彼にすり寄る。
「えへへ…もっとあったかいな…」彼女はそのまま、彼の膝に頭を置いた。
愛し合い、暖め合うふたりを包み込むもの、それは、「ストーブ」。
彼「二人で飲むのも久々だね。いろいろとお疲れさま。」
彼女「そっちも、ゼミとか部活とか、大変だったよね。ずっと楽しみにしてた」
彼「そっか、ありがとう。家で飲むのもいいよね。いろいろ、話聞きたいな。」
ーしばらくしてー
彼女「ん~…んん~…。」
彼「…もしかして酔ってる?」
彼女「んぇ~、酔ってへん。酔ってへんって」
彼「酔ってるだろ…顔真っ赤だし。もうお酒はそのくらいにしな」
彼女「なんで酔っとうって決めつけるん?うちが弱いから?」
彼「弱いも何も…完全に関西弁出てるじゃん」
彼女「ほんま?!え!?ほんまに!?うわ…恥ずかしい…」
彼「ぜんぜん。すっごくかわいいと思うけどな。俺は好きだけど…」
彼女「…もう、そんな目で見んといてよ。…こんなんなったん、あんたのせいやで?責任取ってや…」
彼女はそのまま、彼の膝を枕にして寝てしまった。
こんなかわいいとこあるんだ。もっと好きになっちゃった。彼は寝顔を微笑ましく見ていた。
大学に入学したばかりのヒロインは、部活、サークル探しをしている。
「なんとなく、テニス部面白そうだな」と考え、見学してみると、
そこにいたのはとてもイケメンな先輩だった。
思わず見とれてしまったヒロインに気づいた先輩が、向きを変えてこちらに来る。
「どうしたの?…見学に来たのか。ありがとう。」先輩が優しく声をかける。
「は、はい…その…」照れて動けないヒロイン。
「せっかくだからさ、色々教えてあげたい。今日は夜から空いてるかな?」先輩が尋ねる。
そして、先輩と新入生の…「ワンナイトラブ」が始まる。
彼氏「あーあ、夜遅くなっちゃったな。牛丼屋さんしかないのか…ここでいい?」
彼女「うん、いいよ、キミとなら」
彼氏「ありがとう、ごめんね!」
ー入店後ー
彼女「わたし、ミニでいいかな」
彼氏「珍しいね。いつもはもうちょっと食べない?」
彼女「うん…でもこないだ、バイト先の子とランチに行く機会があったんだけどさ、『え、女子なのにめっちゃ食いますね』って、引かれちゃったんだよね」
彼氏「そっか…だからミニにしたの?でも、なんか、やな話だな。」
彼女「どうしちゃったの?」
彼氏「いっぱい食べたっていいじゃん。そんなので引く奴、俺は嫌だ。」
彼女「…気遣ってくれてありがと」
彼氏「それにさ…俺、いっぱい食べるお前が好き」
彼女はその一言が嬉しすぎた。
彼のことをもっと好きになると同時に、あることを卒業した。それは、「腹八分」。
10/18
主人公は、演劇部に所属している。
これまでずっと男子部員はこの主人公しかおらず、
そのルックスから多くの女子から人気を集めていたものの、
主人公は全く興味を持たなかった。
そんなある日、演劇部に新入部員の後輩が入ることになった。
主人公よりも背がとても低く、とても幼さを感じさせる、とってもかわいい男子だ。
「今日からここでお世話になります!よろしくお願いします!」と、後輩が挨拶をする。
どことなく少し恥ずかしがっている姿と、ちょっと高い声。
初めての自分以外の男子がこんなにかわいい子だなんて…
主人公はドキッとしてしまった。
「…今日一緒に帰れるか?もっとお前のこと知りたいな。」主人公は後輩に声をかけていた。
ふたりだけの男子部員の間に始まる…「ボーイズラ部」。
ヒロインとその彼氏は高校生同士。
学校帰りに二人でクレープを食べながら帰ったり、
一緒にカフェでお話したりとか、
制服を着てデートしたりとか、そういうのに憧れてたのに、
校則が厳しくて、それができない。
ある日彼氏が思い立って言った。「先生がどうこうよりも、俺は今しかできないことやりたい」
彼も同じ気持ちだったようだ。
そこで二人は学校が終わると、すぐに街に向かい、
スタバ、ゲーセンなどなど、いろんなところに行った。
「こんなに楽しいんだね、キミといると。」ヒロインが言う。
「そうだろ?お前となら、なんだってできそうだな」彼が微笑む。
このまま、二人がいい感じになろうとした時…
「そこのふたり!!何をしている!!!」と、聞き慣れた大人の声がした。
後日、二人はしっかり絞られた。「生徒指導部」に。
「ほら、起きろ、天体観測に行くんだろ?」
彼氏の声でヒロインは目が覚める。時計の針は深夜1時を指していた。
「うぅ~ん…やっぱ眠いし、寒いよぉ…」とヒロイン。
「そうだよな、ごめん。でも、そうさせてでも見せたいものがある」彼氏はそう言って車を運転する。
着いた先は丘の上であった。真夜中だから誰もいない。
「ほら、すごいだろ?」彼が空を指さす。
そこに広がるのは、満天の星空であった。
彼「すごく光る4つの星、見えるか?あれが秋の四角形、ペガサス座だよ」
ヒロイン「すごい…すごくきれい…あ、あの明るい星、もしかしてキミの惑星?」
彼「そうじゃないな…でも、夏の星だけどまだ見えたんだ。」
ヒロイン「そうなんだ…夏、また一緒に見たいね」
彼「そうだね。あの星より明るく、1年じゅう照らしてくれるお前とまた見たいな。」
ふたりの指が指す先の明るい星…それは「デネブ」。
「うっわぁ…雨かあ…」ヒロインは空を見て呟く。
朝はあんなに晴れていたのに、帰りは大雨だなんて聞いてない。
「しょうがない。自転車は学校に置いて、バスで帰ろう…」
ヒロインは折り畳み傘を開き、バス停へ向かった。
雨宿りがてら待合室に入ると、クラスでひそかに気になっていた男子がいた。
申し訳程度の会釈を交し、ベンチに座る。
先客の男子が、しばらく続いた沈黙を破った。
男子「珍しいね、バスだなんて…」
ヒロイン「今日自転車で来ちゃったんだ」
男子「そうなんだ。いつもこの時間って僕一人だから、クラスの人に会えて嬉しくて」
ヒロイン「そうだったんだ、でも、方向は同じってことなのかな?」
男子「ちょっと遠いから、途中までは同じだと思う。あの…もしよければでいいけど、席一緒に座らない?もっと話したい」
降りしきる雨の中、恋が芽生えた場所…それは「プレハブ」。
会社説明会に来たヒロインは、スーツに身を包み、
準備万端で会社説明会に来た。
だがヒロインは、あまりにも緊張していたのか、
会場の前ですっ転び、カバンの中身を全部ぶちまけてしまった。
「大丈夫ですか?」優しそうな男性の声が聞こえる。
「いえ、大丈夫です、ありがとうございます…」ヒロインは急いで片づけようとする。
「いいんです、手伝いますね。説明会で来たんですか?」男性は拾うのを手伝いながらいろいろと話をしてくれた。
男性のやさしい声とまなざしに、彼女の緊張も解け、
彼女はひそかに、その男性に惚れていた。
1年後。
ヒロインは、この会社に入社した。
配属先のデスクに向かった時、声がかかる。
「あれ、あなたはもしかして、あの時の…?」説明会の日、助けてくれた男性だった。
わたし、この人の部下になれたなんて…!
社会人生活一日目にして始まったもの、それは「リクルートラブ」。
今日は高校の文化祭。
ヒロインは彼に、「絶対にバンドのステージに来て!!」と言われていて、
言われた時間に体育館に向かった。
ステージには彼がボーカルとして立ち、観客を沸かせていた。
彼の煽りに応じて腕を振り上げるヒロイン。
あっという間に最後の曲になったが、彼は最後の歌詞の部分を、
ヒロインの名前に変え、そして「愛してるぞー!!!」とシャウトした。
恥ずかしいような嬉しいような、でも何が起こったかわからない。
ライブ後、彼に「あれはどういうこと!?」と聞くヒロイン。
彼が答える。「思い付きだよ。来てるって信じてたからだよ。ありがとな、来てくれて。」
みんなが見てるライブで放たれた、二人だけに通じる思い、それは…「アドリブ」。
彼氏と別れた。
彼氏に振られてしまった。
わたしのどこがダメだったんだろう。
彼との楽しかった写真や思い出を思い出すたび、
悲しくて、悔しくて、とめどなく涙があふれる。
もうこれ以上、彼との写真を見てもつらくなるだけだ。
インスタの写真、全部消しちゃおう。
…無理だ。できない、そんなことできない。
完全に消すことが心苦しくて。
結局私はこれしかできない、ただの未練がましいヘタレだ…それは「アーカイブ」。
あるカップルが公園でデートしている。
ふたりが作ってきたお弁当を食べている。
彼氏「このおにぎり、作ってきてくれたの?」
彼女「そだよ!キミが好きそうな具、入れてきたんだ!」
彼氏「わ~なんだろ!楽しみだな~!俺の作ってきたおにぎりも食べてよ!」
彼女「え!うれしい!すっごく形綺麗だね!」
彼氏「ありがとな!具はね…ひみつ!俺もお前の好きそうなの入れたんだ!」
彼女「わ~!楽しみだな…!じゃ、そろそろ、食べよっか!」
2人「いただきま~す!」
彼女「あ…ちょっとしょっぱい…あ!これ!?すごく好きなんだけどさ、多分…」
彼氏「ちょっとおにぎり見せてよ…あ!やっぱ同じじゃん!」
彼女「すごいすごい!こんなところまで一緒だよ!」
彼氏「こんなに好みの合う人と出会えて、幸せだな…」
具、なんだったと思いますか?それは…「塩昆布」。
高校に入った瞬間、落ちこぼれまっしぐらなヒロイン。
赤点ばかり取って危機感を感じたので、
親に頼んで、家庭教師をつけてもらうことにした。
家に現れた家庭教師は、とっても背が高くイケメンで、
この先生に教えてもらえる時間が、毎週の楽しみだった。
そして2学期の中間テスト。先生に教えてもらってから初めてのテスト。
もともと数学が苦手なヒロインは、先生と一緒にずっと頑張っていたものの、
25点が、47点になったに過ぎなかった。
「先生、やっぱり、平均以下でした…」としょぼくれるヒロイン。
でも先生は、目線を彼女に合わせ、微笑んで言った。
「でも、しっかり点数伸ばしたじゃん。ボクは君のその頑張りに、はなまるをあげたい。」
先生のやさしい赤ペンが、ヒロインのハートに、ギュンと刺さった。
彼女「トリックオアトリート!お菓子くれなきゃいたずらしちゃうぞ!」
彼氏「…そっか、今日はハロウィンだったもんな」
彼女「そそ!この衣装、キミに見せたかったんだ!ねえ、一緒に外出ようよ!」
彼氏「その格好で外出るの?」
彼女「そうだよ!多分、今日は仮装をしている人がいっぱいいる気がする!ねえ行こうよ!」
彼氏「ダメだ…」
彼女「えー!?なーんでー!?」
彼氏「こんなかわいい姿で夜道歩いて、襲われたらどうするんだよ。こんなかわいい姿、独り占めしたいじゃん?お前を襲っていいのは、俺だけだ。」
彼女「やだ…そんな…わたし、キミにいたずらされちゃう…」
ひとつ屋根の下で、二人は一緒に、ハッピーハロウィン!
10/25
夕日の差し込む部室で、一組の男女が本を読んでいる。
「ちょっと見てくれるかな?」彼女が、彼に紙を差し出した。
「また一枚ページをめくる音を聴く君の見ている世界はなあに」
その紙を手に取った彼は、しばらく黙り込む。
しばらくして、別の紙に何やら書き込み、彼女に返した。
「娑婆にあるあまたの本をめくるより嬉しいことは君との巡り」
粗削りではあるけど、31文字で二人は、思いを伝えあう。
恋が芽生えたたった二人だけの…「文芸部」。
外は大嵐。そんな日の、家の中のカップルの会話。
彼女「きゃあっ…ねえ、雷、怖い…」
彼氏「大丈夫だよ、俺はここにずっといるから。怖くないでしょ?」
彼女「うん…でも、まだ怖いよ…きゃ!また光った…」
彼氏「ほら、前教えたおまじない思い出して?雷の雲の上には、緑色の鬼が居て、楽器を奏でているんだよ。」
彼女「緑色の…鬼?」
彼氏「そうだよ。雷様は、本当はとっても優しそうなおじいさんなんだ。これで怖くなくなった?」
彼女「うん…ちょっとは。でも、やっぱ怖い。ねえ、しばらく、というか、ずっと、私から離れないでね…。」
こうして、二人はずっとずっとくっついていた。
ふたりの脳裏に浮かんだ雷様の名前…それは「高木ブー」。
ヒロインは、自分に全然自信がなく、
こんな自分が彼女でいいのかとずっと悩んでいた。
彼女「私、君なんかと比べると全然なにもできなくて…」
彼氏「それは、自分だけじゃなくて、周りのことも気にかけられてるってこと。すごいよ!」
彼女「それに、すぐに心配になって、不安になって、迷惑じゃないかなって」
彼氏「そのおかげで、最悪な事態はいつも避けられてる」
彼女「いつも迷っちゃうんだ、優柔不断だよね」
彼氏「それだけ、いろんな選択肢を考えていけるってすごいね」
彼女「すぐ弱音吐いちゃって、いつもごめんね」
彼氏「それだけ俺を信じてくれてるってことでしょ?お前は気にしてるかもしれないけど、俺はそこが好きなんだよ」
私の短所だと思っていたところを、彼は全部、いいように受け取ってくれた。
私、彼のおかげで…「ポジティブ」になれそう。
ヒロインはずっと、イメチェンをして彼に新しい姿を見せたいと思っていた。
ちょうど、本屋さんに並んでいた少女漫画雑誌を手に取ると、
そこには髪を短くした可愛い女の子が書かれていた。
わたしもこんな子みたいになりたいな。
そう思ったヒロインは、バッサリと髪を切りイメチェンした。
ヒロインは頭をタオルで包んで隠したまま彼のもとに行った。
そして「じゃーん!イメチェンしたよー!」と言い、タオルを外す。
「びっくりした~!めっちゃかわいいな!でも、なんでタオルで隠したの?」と彼が聞く。
「へへ、イメチェンした姿は、キミに最初に見せたかったからだよ」彼女はそう言って笑った。
彼女の新しい姿、それは「ボブ」。
部活が終わり、荷物を置きに教室に戻る主人公。
教室にはいつも、読書をしているクラスの女子がいた。
ずっとその子のことが気になっている主人公。思い切って今日は声をかける。
主人公「お、おっす…」
女 子「あ!おつかれ!頑張ってるの、ここから見てるよ」
主人公「そっか、ありがとう。んで、何読んでるの?」
女 子「銀河鉄道の夜だよ。宮沢賢治の。知ってる?」
主人公「う~ん、スリーナインなら知ってるけど…」
女 子「ふふっ、それとは違うね。こっちもすごく素敵な話だよ」
主人公「へぇ~…俺、本は読まないしな…」
女 子「そっか。じゃあ、これ読んでみる?」
主人公「注文の多い料理店…聞いたことあるかも。」
女 子「そう。これも面白いよ!読んだら感想聞かせてねー!じゃあね!」
主人公「お、おま…ふぅ…まさか本貸してもらうなんて…」
思わぬ形で宿題ができちゃった主人公。
彼と彼女をつないだのは…「イーハトーブ」。
彼女「トリックオアトリート!お菓子くれなきゃいたずらしちゃうぞ!」
彼氏「そんな格好してどうした?」
彼女「だって今日ハロウィンだし、外には行けないからさ。さ!お菓子よこせ!よーこーせー!」
彼氏「わかったよ、やればいいんだろ?はいよ。」
彼女「わ~!ありがと!すき!ちゅっ!」
彼氏「…は!?な、何すんだよ!」
彼女「へへ、お菓子くれたけどいたずらしちゃった!今のキス、お菓子より甘かったな…」
彼氏「んだよ、恥ずかしいな…」
ふたりのハロウィンは、「トリックアンドトリート」。
11/1
これは、とっても甘えん坊な彼と、その彼女のお話。
彼氏「ねーねー、キスしよー、ちゅーしよって。」
彼女「待って、ちょっと待って、今ちょっと忙しい」
彼氏「むー。どれだけ待てばいいの?俺寂しいよ」
彼女「急かさないでよ。ちょっとは我慢して」
彼氏「だって今日はキスする日じゃん、そっちこそ待たせないでよ、ねぇってばー」
彼女「だから、待ってって…んっ!? ちょっと…いきなりキスとかずるい…」
彼氏「だって我慢できなかったんだもん。焦らしたお前が悪いんだからね?」
二人のキスの日はいつも火曜日。
そう、「チューするデー(チューズデー)」。
ヒロインは車の免許を取るために教習所に通っているが、
ある時から担当してくれている教官に密かに恋をしている。
今日もドキドキしながら配車券のスイッチを押す。あの先生だ。
予定では、難しそうな部分の練習なんだよな…そう思いながら乗車する。
ヒロイン「ああ、また脱輪しちゃった…」
先 生「ハンドルを切ってバックしようか。落ち着いてもう一度やってね」
ヒロイン「はい…ここで、ハンドル回して…あ!まただ…」
先 生「ちょっと切るのが早すぎたね。もう一回やろうか」
ヒロイン「先生…こんな下手でごめんなさい」
先 生「下手だから習いに来てるんでしょ?みんなそうだよ。だから僕の言うこと、ちゃんと聞くんだよ」
先生の優しい言葉と雰囲気に包まれ、特訓は続く。
ヒロインが今苦戦しているのは…「S字カーブ」。
ヒロインとその彼のお泊りデートも、今回で5回目。
今日、彼が「一緒にお風呂入りたいな」と言ってきた。
うちのお風呂、狭いんだけどな…と思いつつも、OKを出した彼女。
そんなお風呂場で起こったお話。
彼氏「ねえ、そっち行っていい?一緒にお湯に浸かりたい。」
彼女「無理だよ、だって狭いよ?」
彼氏「いや、たぶんギリ行けるかも…いや、ほんっとに狭かったな」
彼女「ホントだよぉ。でも、なんか、こーゆーのも悪くないかも」
彼氏「なんで?」
彼女「だって、キミとずーっとくっついていられるんだもん!」
彼氏「なんだよ…かわいいな…」
ちょっとぬるいくらいのお湯でも、熱く感じた二人。
ふたりの愛が燃えた場所、それは「バスタブ」。
ヒロインは彼と旅行に来ている。
荷物を置きにホテルにチェックインをするも、
彼女の手違いで、シングルしか予約できなかったことが分かった。
ということは…寝るときは一緒のベッドということ?ドキドキが止まらなくなる。
そして夜を迎え、二人は部屋に入った。
「ごめん、私のせいでこうなっちゃって…」彼女がそう言う。
「いいよ、こんなハプニング、面白いじゃん」彼がそう返す。
そしてふたりはひとつのベッドを共にする。
「こんなの初めてでドキドキする…」と彼女が言う。
「俺も。最高の思い出、ありがとな」彼は布団の中で彼女を抱きしめた。
お互いの体温が上がっていく旅。
そんな恋の病でも、多分体温は、平熱の「36.5℃(36度5分)」。
毎年、ハロウィンは一緒に仮装したりデートしたりしてるカップルだが、
今年はお互い、そんな暇がないくらい忙しかった。
そんな二人の、10月31日がそろそろ終わるときのこと…。
彼氏「何もできなくてごめん」
彼女「こっちこそ…。あー、今年はキミにいたず…いや、なんでもない」
彼氏「なに?いたずらしたかったの?」
彼女「なんでもないよーだ」
彼氏「ふ~ん、俺は、いたずらしたかったけどね。」
(彼氏、耳にふー、そしてちゅー。)
彼女「きゃっ…そんな、急にずるい…」
彼氏「あはは、ごめんて。」
(彼氏は彼女を後ろからハグ)
彼氏「俺、もっと頑張るからさ、クリスマスはまた、こうしてイチャイチャしよ?」
彼女「うん!わたしも頑張るね!」
彼氏「ね、こっち向いてよ」
ふたりは軽くキスをした。
お菓子はいいけどいたずらしちゃった。
そう、それは「Trick Yet Treat」。
今日も、あるカップルがイチャイチャしている。
彼氏は、彼女のある部分がお気に入りのようで…
彼氏「ねー、今日も触っていい?」
彼女「また触るの?…いいよ。でも、好きだよねそこ」
彼氏「だって、柔らかくてあったかいんだもん。…あ、やっぱ気持ちいい」
彼女「も〜、そんなフニフニつままないでよ、恥ずかしい」
彼氏「ふ〜ん、フニフニじゃなかったらいいんだ…じゃあ、かぷっ!」
彼女「きゃっ…!そんな、かじるなんて…!」
彼氏「一度やってみたかったんだ。恥ずかしがるのも怒るのもかわいいな。見てて飽きないな」
彼女「むり…恥ずかしいよ…こんな姿見せるの、キミにだけだからね!」
彼が大好きな彼女の部分、それは「耳たぶ」。
11/8
大学のテニスサークルに入ったヒロインは、1つ上のイケメンの先輩が気になっている。
今日はその先輩が、ヒロインにテニスの技術を教えてくれることになった。
ヒロインは大学からテニスを始めたので、なかなかうまく返せなかったけど、
先輩の熱心な指導のおかげで、少しずつ続くようになっていく。
「少し休憩しよっか、とってもうまくなったね」先輩は笑顔で褒めてくれた。
その笑顔にヒロインは、惚れてしまう。
素敵な笑顔の先輩の顔の汗は、「キラリー」と、光っていた。
彼氏の家に泊まりに来ているヒロイン。
「じゃあ、お風呂入ってくる」と、彼が部屋を出た。
ふと横を見ると、彼の上着が脱ぎ捨てられている。
今部屋にいるのは私だけ…そう思った彼女は、
その彼のジャージを手に取り、顔をうずめた。
「あ、やっぱり、いいにおい。あったかい…」胸が高鳴ってくる彼女。
「もっといろんな匂い欲しい…」そう思って彼女は、彼の部屋のドアに近づいた。
「毎日彼に触られてるの羨ましい…あったかい…」だんだんと興奮が止まらなくなる。
彼の匂いが好きすぎて、嗅いじゃった場所。それは、「ドアノブ」。
ヒロインは野球部のマネージャーをしている。
最初は、部長を務める先輩に一目ぼれしたから、という動機で入部したものの、
今ではすっかり仕事にも慣れて、部員の癒しになっている。
そんなある日のミーティングで、部長が「恋愛禁止」を発表した。
突然の発表に戸惑う部員。でも、誰よりも戸惑っていたのは、ヒロインだった。
「どういうことなんですか?」意を決してヒロインはこっそり部長に尋ねる。
「だって…俺がお前のこと、好きだってばれたら恥ずかしいもん!だから禁止!」部長は照れながら答えた。
先輩からのひねくれた告白に、胸が熱くなる。
恋愛禁止令のもとで始まるもの、それは「シークレットラ部」。
今日は彼女が手料理を作ってくれるとのことで、
主人公は彼女の家にお呼ばれした。そんな日の会話。
彼氏「めっちゃおいしい。」
彼女「ありがと!うれしい!」
彼氏「今日は寒かったから、なおさら沁みるな~。ほんとあったまる」
彼女「そう思って作ったんだ。あ!ほら、もう煮えてるよ!」
彼氏「なんか、一緒に作ってる感があるのもいいよね」
彼女「ってことは、私も君の料理を食べてるってことかな?」
彼氏「かもね。こんなおいしいの、他の人には知られたくないな」
彼女「どういうこと?」
彼氏「ずーっと…お前の料理、食べたいな、なーんて…」
彼女「なにそれ…照れるよ…。あ、そろそろ、ラーメン入れよ!」
温まる二人の前でぐつぐつと煮えるもの、それは「しゃぶしゃぶ」。
バイトで仕事がうまくいかず、辛そうにしているヒロイン。
でも、彼に心配はかけさせまいと、明るく振る舞おうとしている。
とはいえ、彼女のつらそうな雰囲気は薄々感じていたようで…
彼氏「お前、絶対なんかあったろ」
彼女「ううん、なんでもないよ、なんでも…」
彼氏「ごまかすなよ、それに、隠し事は禁止って、言わなかった?」
彼女「ほ、ほんとになんにもないよ!ほんとだよ!」
彼氏「そっか。俺はいつもなんかあるんだけどな。」
彼が彼女を抱きしめる。
彼女「えっ…」
彼氏「辛そうなお前を見てられないってことだよ。辛かったら泣いてもいいんだから」
彼女「ん…ううっ、ぐすっ…」
今日ぐらいは、泣いてもいいんだよ。今日は水曜日、そう、「ウエーンズデー」なんだから。
彼氏「好きだよ」
彼女「もっと言って!」
彼氏「好き!大好き!」
彼女「うれしい…もっと言ってほしい!」
彼氏「じゃ、こういうのはどう?(右耳にささやいて)好き。」
彼女「えっ…なにこれ…」
彼氏「こっちにもしようか?(左耳にささやいて)好き。」
彼女「そんなの、ずるい…じゃあ私も…(右耳にささやいて)好き。」
彼氏「ほんと照れるな…耳にすごく響くね…」
彼女「ね、もっとやろ…?」
二人のいる部屋に、二人の耳に、「好き」の二文字が、
ずっと、ずーっと、「リバーブ」していた。
11/15
秋めく街並みを歩くカップル。
彼女が公園の木々を見て、彼に声をかける。
彼女「あ!葉っぱが色づいてる!」
彼氏「ほんとだ!秋だね~。」
彼女「すごくきれいで素敵。ね、ちょっと、目つむって?」
彼氏「ん?わかった」
彼女「…うん、もういいよ。胸ポケット見てよ。」
彼氏「これは…もみじ?」
彼女「そ!とっても似合ってるよ!」
彼氏「へへ、ありがと!…お前の手、真っ赤じゃん。」
彼女「ほんとだ…寒いからね」
彼氏「手、つなご。あっためよ」
彼女「うん…」
彼氏「お前の手、ちっちゃくてかわいいな…あ、顔までもみじみたいに赤くなってら」
彼女「やだ…恥ずかしい…」
彼氏「へへ、大好きだよ」
秋の空 濃い紅葉(こうよう)で 恋、高揚。
付き合いはじめて初めての11月11日。
ずっと憧れだったアレを彼氏としようと試みるヒロイン。
そんなヒロインは、あるアイデアを仕込んでいて…。
彼女「今日は何の日か、わかる?」
彼氏「11月11日…ああ、ポッキーの日?」
彼女「そ!だから、ポッキーゲームしよ!」
彼氏「えー…恥ずかしいな、ま、いいよ。」
彼女「わーい!えっと、これをこうして…はい!いいよ!」
彼氏「え…咥え方違くね…?鬼滅のねずこのマネ?」
彼女「んーん。これでポッキーゲームしたい。だって、これだったら、すぐちゅーできるじゃん」
彼氏「なんだよ、ポッキーいらねーじゃん…でも、ポッキーより甘いもの、食べちゃえるんだな…」
ポッキーよりも甘い、キミの口づけが、ちゅっきー。
付き合ってから、初めての喧嘩になった二人。
「お前わがまますぎんだよ!いい加減にしろよ!」彼が彼女に怒鳴る。
「ひどい!もう…知らない!!」彼女は彼氏にそう吐き捨てる。
そしてそのまま、彼女は走って逃げてしまった。
「わたし、なんてこと言ってしまったんだろ…」と次第に思いはじめる彼女。
溢れ出た怒りの涙は、悲しみの涙に変わっていた。
すると、後ろから足音が聞こえる。姿を見ると、彼だった。
「え!?キミ、ここまで追いかけ…あっ!」彼女が言い終わらないうちに、彼は彼女を抱きしめる。
「言いすぎた…酷いこと言って、ごめん…」震えた声で彼が言う。
「わたしも…ごめんね…」彼女もそう返す。
「俺、やっぱりさ…」言い終わる途中で、彼は口元を彼女の耳に向ける。
「お前のわがままなとこ、好きだよ」そう耳元に囁いた。
ふたりの仲直り方法、それは「耳つぶ」。
※耳つぶとは:男性が女性の耳元で甘い言葉をつぶやくこと。
彼氏「ねえ、これ、しゃぶってみてよ」
彼女「初めてなんだよね、大丈夫かな」
彼氏「大丈夫だよ。きっと好きになると思う。」
彼女「わかった…んぐ…じゅるっ…」
彼氏「どう?美味しい?」
彼女「ちょっと、変わった味がする。甘いと言うか、なんというか。でも、好きになりそう」
彼氏「だろ?すっごくいい味がするんだよ?もっと欲しい?」
彼女「欲しい。もっとちょうだい。」
彼氏「あはは、しょうがないな。」
彼氏が新しい世界を見せてくれた。
彼女が好きになったもの、それは「中野の都こんぶ」。
ヒロインは彼と一緒に海に来ている。
いつも心を落ち着かせたかったりする時に海に行く二人だけど、
今日は珍しく日が沈みかけている時に来た。
沈みゆく夕日に見とれながら歩く二人。
その時彼女は、暗がりで足元が見えなかったのか、
つまづいて海の方向へ転んでしまった。
「危ない!!」そう言って彼は彼女を抱き、彼女の体を守る。
「あ、ありがとう…」彼女は息を荒くして言う。
「気をつけろよ。…お互い濡れちゃったね。さっきさ、こっそりキスしたの、気づいた?」彼が問いかける。
「え?じゃあ息苦しかったのはキミのせい… ?わかんなかった、もっかいやって」
彼女がそう返すと、二人は黄昏時の海の中で、唇を、体を重ねた。
夕方の海に飛び込んだ二人、それは「ナイトダイブ」。
11/22
付き合いはじめて3カ月ほど経つ二人。
手をつないだりハグしたりはあったけど、
「あること」はまだしていないわけで…。
彼氏「あのさ、ちょっとおかしなこと言っていい?」
彼女「え、なになに?怖いことじゃないよね?」
彼氏「怖くないよ。えっと…そのさ…ちゅーしていいかな?」
彼女「えっ…?今するの…?なんかドキドキするから、今日はやめとこ…?」
彼氏「俺、今日やりたい気分なんだ。それに、もうそろそろいいだろ?」
彼女「やだ、まって、まだ心の準備が…んっ?!」
彼氏「…ありがと。お前の唇、柔らかくて気持ちよかった」
彼女「ズルいって…でも、悪くないかも…」
今日ちゅーしたい。それが、彼の紛れもない「胸中」だった。
今日も今日とてずっとイチャイチャしているカップル。
今日は彼女が、ずーっと彼氏を見つめてくる。
彼氏「そんなに見つめてどうしたんだよ…」
彼女「だってー、せっかく近くにいるんだもん」
彼氏「だからってさー、そんなに見られちゃ恥ずかしいよ。顔に何かついてるとでも思うだろ」
彼女「見てるだけで嬉しくなっちゃうの。キミの顔、どんな表情も好き」
彼氏「そっか…なんか照れるな…」
彼女「ねぇ、好き…ちゅっ」
彼氏「んっ…!?いきなりなんだよ!」
彼女「えっ?ちゅーしちゃってた?ごめんね。気づいたらしちゃってた。えへへ」
彼氏「ずりぃよお前…」
彼女は気づいたら、彼にちゅーしてた。
それは彼女が彼に「夢中」だったから。
付き合って初めてのクリスマスが近づく二人は、
プレゼント交換をしようといろいろ考えていて…。
彼氏「そういえばお前って何が好きだっけ?」
彼女「んー、マイメロとかかな?でも、キミが選んでくれたものなら、なんでもうれしい。」
彼氏「あはは、困っちゃうな、こう言われると余計考えちゃうよ」
彼女「えへへ、楽しみにしてる。でさ、キミは、何がいいの?」
彼氏「えーとね…それは、今俺の隣にいる人かな」
彼女「・・・わたし!?」
彼氏「大好きなお前の笑顔とか、一緒にいられる時間とか。お前の全部が欲しいんだ。ずーっとな!」
彼女「ねぇむり…照れる…」
彼の抱いていた想い。それは「I want you(アイウォンチュー)」
彼氏が一人でお菓子を食べているところを目撃した彼女。
彼女「何食べてるの?」
彼氏「ハイチュウだけど」
彼女「え、そういうの好きだったっけ?」
彼氏「あーいやこれ、期間限定のが出たから買っちゃった」
彼女「へ〜!私も気になる。1個、もらっていい?」
彼氏「いいよ」
そう言って包み紙を取って口に入れようとする彼。
彼女「ちょっと、そんなフェイントいらないよ〜」
彼氏「ち、が、う。取れるもんなら俺の口から取ってみ。ハイチュウ。」
彼女「なにそれ、恥ずかしい…」
ハイチュウと一緒に、はい、チュウ。
二人の口の中で弾けるのは、甘酸っぱい果汁。
彼女と2回目のデートを約束した彼。
今日はのデートの当日。
そろそろデートも終わりに差し掛かってきたときのこと…。
彼氏「楽しかったね」
彼女「うん、楽しかった。今日はありがと」
彼氏「今日一日で、お前のことまた好きになっちゃった」
彼女「わたしもだよ」
彼氏「ねえ…ちょっと言いづらいけど、いいかな?」
彼女「どうしたの…?」
彼氏「その、あの、えっと……キスは…」
彼女「…ありがと。でも、まだもうちょっと心の準備したいな」
彼氏「そっか…」
彼女「いつかは、絶対しようね。」
今日は、チューしない。
でも、二人のこれからの恋に、中止ない。
ある寒い冬の日。
今日は彼が思い立って、彼女にある料理を作ってあげた。
彼女のことを思って作ろうとすると、ちょっと緊張しちゃうようで…。
彼女「あ~!おいしい!寒いしこういうの食べたかった!」
彼氏「よかった…途中色々失敗してるけどね…」
彼女「そう?…あ、でも、わたしのいつも食べるのよりかは、ちょっと味が濃いかも」
彼氏「そうなんだよね…どっかで水の量ミスってるかも。胸焼けしない?」
彼女「ううん、これはこれでキミの味、キミだけのシチューだよ」
彼氏「…そっか、ありがと、うれしい」
彼女「えへ、大好き」
濃いシチューを作った彼に、ただいま彼女は、恋し中。
11/29
ヒロインがひそかに恋を寄せているのは、体操部の先輩。
その先輩目当てで、体操部のマネージャーになってしまった。
そんな先輩と、ある日の部活終わりで二人きりになって…。
ヒロイン「先輩!お疲れ様です!」
先 輩「ありがとう。仕事、慣れた?」
ヒロイン「はい!まだまだですけど…」
先 輩「ううん、すごく助かってるよ。ところで、なんでここのマネやろうと思ったの?」
ヒロイン「えっ!?そ、その…実は、先輩の技とかかっこよくて…その…好きに……」
先 輩「へぇ~…、それって、こんな技?」
先輩は、後ろから抱きしめて、そのままキスをしてきた。
ヒロイン「はうっ…?な、なんでですか…?」
先 輩「いきなりごめんね。でも、マネとして頑張るキミのこと、好きになっちゃってた。」
ヒロイン「先輩…」
後ろからキスをする先輩の得意技、それは「バックチュー(バク宙)」。
寒い風が吹きゆく冬の街を歩く二人。
ふたりは暖かそうな服を着ているけど、
それだけでは温まらないようで…。
彼氏「…寒いね」
彼女「うん、寒い。厚着しているのに、なんか寒い。」
彼氏「俺も。…もっとあったかくなろ?」
彼女「そんな方法あるの?」
彼氏「びっくりすんなよ。こっち向いて。ふふっ。ちゅっ!」
彼女「んんっ!?…無理だよ…ビックリしちゃう…でも、あったかい…」
彼氏「だろ?お前の唇も、あったかかったよ」
彼女「えへへ、なんか恥ずかしい」
ぬくもりを求めてちゅーをする二人。それは「寒中」。
彼女が部屋で音楽を聴きながら勉強していると、
突然片耳のイヤホンがふっと外れた。
外れた方を振り向くと、彼氏がいて…。
彼女「ちょ…いきなりやめてよ、びっくりした~!」
彼氏「ごめんね、でも、何聴いてるか、気になっちゃって。…いい曲だね」
彼女「この曲好きなんだ。いつも聴いてる。なんだか応援されてるような気がして」
彼氏「そうなんだ。…俺も好きになりそう」
彼女「ねえ、それよりもさ、近いよ…」
彼氏「しょうがねーだろ、一緒のイヤホン使ってるんだし。お前と同じ曲聴けて嬉しい。」
彼女「また一緒に聴こうね」
彼氏「ありがと、勉強頑張ってね、ちゅっ」
同じ音楽を聴く彼にちゅーされる。そう、それは「チューニング」。
部活ですっかり下校が遅くなったヒロイン。
ひとり暗い道を歩いていると、後ろから自転車のベルの音がした。
それは別の部活に所属している彼氏だったわけで…。
彼氏「珍しいね、こんな時間に」
彼女「遅くなっちゃったんだ。一緒の時間になるの久々だね」
彼氏「だな、…一緒に帰るか」
彼女「うん…!…ね、手、つないでいい?」
彼氏「俺自転車押してるからなあ…」
彼女「えへへ、そうだったね、ごめん、キミと一緒に帰れるの、嬉しすぎてさ。」
彼氏「そっか…じゃあ、ここで自転車停めていい?」
彼女「どうしたの?」
彼氏「わかるだろ?ちゅっ」
彼女「恥ずかしい、照れるよ、こんなとこで」
彼氏「大丈夫だよ、誰もいないから」
久々に会った二人がしたこと、それは「路チュー(路駐)」。
花が大好きな彼女は、ベランダのプランターに彼とあるものを植えている。
彼女「これでよし…と!」
彼氏「もう植えるんだね」
彼女「そうだよ、今が一番いい時期なんだ。春が楽しみだね」
彼氏「大好きな花だって言ってたもんね。実はさ、俺も好きな花があるんだ」
彼女「え!?なになにー!?」
彼氏「それはね…ちゅっ」
彼女「…ほえっ??どゆこと…?」
彼氏「どんな花よりもきれいでかわいいキミだよ。一年中咲いてるし。誰にもつませないからな…」
彼女「やだ、ねえ、恥ずかしい…」
植えたチューリップよりもかわいいキミに、チュー、リップ。
12/6
今日もじゃれ合うふたり。
彼の眼を後ろから、彼女が手で隠した。
彼女「だーれだ?」
彼氏「え~、だれだろ、わかんないな~」
彼女「わかんないの!?ねえ!」
彼氏「うそうそ、分かってるよ。俺の一番好きなユイに決まってんじゃん」
彼女「えへへ嬉しい…わかってもらえて超嬉しい」
彼氏「そんなん当たり前だろ」
彼女「じゃあさ…私が今一番したいことって、わかる?」
彼氏「わかるよ。これだろ?ちゅっ…正解?」
彼女「…正解。でも、照れちゃう…」
大好きな彼女のことは、なんだってわかる。それは、「百発百チュー」。
今日は彼女が、ずーっと彼の方を見つめてくる。
彼氏「…なんだよ、どうしたんだよ、そんなに見つめてきて」
彼女「なんでもない。見てるだけ」
彼氏「それが気になるってんだよ」
彼女「キミが好きすぎて、ずっと見てないとおかしくなっちゃうんだ」
彼氏「…何言ってんだよ、ふざけんなよ…ちゅっ」
彼女「えっ…?どうしたの、いきなり…?」
彼氏「俺、お前のせいで、おかしくなっちゃった。お前が好きすぎて、お前なしじゃいられない」
彼女「やだ、恥ずかしい…好き…」
お互いのことが好きすぎる二人のキス。それは、「チュー毒」。
彼女のことが好きで好きでたまらない彼。
そんな彼が、いきなり彼女を抱きしめてくる。
彼女「えっ…どうしたの…?」
彼氏「…大好き」
彼女「わかるよ、でも、いきなり…」
彼氏「俺、お前しか見えない。お前が好きすぎて…離したくない」
彼女「…照れる。わたしも大好きだよ。」
彼氏「ほんとに?」
彼女「そうだよ、いつもキミのことばっかり考えてる」
彼氏「えへへ…ちゅっ…大好きだよ…」
彼女「やだ照れる…わたしも好き…」
好きすぎて、彼女しか見えない彼のキス、それは「五里霧チュー」。
甘えん坊な彼女は、今日も彼氏にべったり。
彼氏「そろそろ、どいてくれよ…」
彼女「え~、やだぁ~…」
彼氏「どいてくんなきゃ、俺動けないじゃん」
彼女「いーじゃん、わたし、ずっとひっついてたい。キミから離れたくないもん…」
彼氏「…しょうがないな」
彼女「にへへ~、うれしい。ちゅっ」
彼氏「…なんだよ、かわいいな…」
彼氏にずーっとくっついてる彼女のキス、それは「寄生チュー」。
ヒロインは弓道部に所属している。
彼氏とは部活きっかけで付き合いはじめた。
そんな彼氏が、どうも元気がない彼女に声をかける。
彼氏「おつかれ。…元気ないね?」
彼女「うん…なんか最近調子悪い」
彼氏「最近当たってないもんね、まあでも…そういう時もあるよ」
彼女「そうだけどさ…なんか悔しい」
彼氏「分かるよ…でも、そうやって悔しがって頑張れるの、俺、すごいと思う。」
彼女「…ありがと」
彼氏「さ、帰ろ。こっち向いて。…ちゅっ」
彼女「…え?」
彼氏「元気出た?いっぱい当たったら、またやってあげる」
彼のキスが、落ち込む彼女の唇に今、「的(てき)チュー」した。
12/13
ここ最近彼はゼミの用意で忙しく、彼女に構う暇がない。
そんな彼女は、彼が恋しくて恋しくてたまらないようで…
彼女「ねぇ、まだ?まだ?」
彼氏「ちょっと待ってて」
彼女「やだ、待てない」
彼氏「もうすぐ終わるから待って」
彼女「やだ!やだやだやだ!待てない!まーてーなーい!!」
彼氏「なんだよ…ま、ホッチキスで止めるだけだし、いっか。おいで。」
彼女「ふひひ…うれしい。ちゅーっ…」
彼氏「…いきなりなんだよ。しかも、いつもより、キス長くないか?」
彼女「えへへ、だって久々だもん。もう一生離さないからね…」
一度刺さると離してくれない彼女のキス。それは、「ホッチ"キス"」。
身長差のある二人。
背が低い方の彼女が、何かやりたいことがあるらしく…。
彼女「ねえ、ちょっとかがんでもらっていいかな?」
彼氏「どうしたの?」
彼女「どれくらいしゃがんだら、わたしと同じ身長になるかなーって」
彼氏「ふ~ん…そんなこと知りたいの?」
彼女「いいから~!」
彼氏「仕方ないな…このくらいかなあ。えへへかわいい。ちゅっ」
彼女「…え?わたし、キスしたいなんて言ってないよ…?」
彼氏「かがんでって、そゆことだろ?素直じゃねえな。かわいい…。」
彼女「にへへ…照れる…」
背が高い彼が彼女にすること、それは「チュー腰」。
ある冬の夜のこと。今日は風がものすごく強い日で…。
彼女「きゃっ…停電!?」
彼氏「うっわ~、風強いもんなあ…ライト探さなきゃ…」
彼女「ねぇ…早く戻ってきて…暗いし…怖いし…寂しい…」
彼氏「…あったよ。ほら。」
彼女「…なんか、小さい光だけど、あったかいね」
彼氏「そうだね。なんか、いつもよりお前がかわいく見える」
彼女「ほんと?嬉しい…キミも素敵だよ」
彼氏「嬉しいな…ちゅっ」
真っ暗な部屋に灯った小さな光に包まれ、二人はやさしいキスをする。
それは「懐チュー電灯」。
付き合いたてのふたりは、ちょっと離れているだけでもすぐに寂しがっちゃう。
今日も彼女の家に、彼が会いに来てくれて…
彼氏「お待たせ、遅くなってごめん」
彼女「もぉ~…遅いよぉ~…!寂しかったんだから…」
彼氏「ごめんごめん、でも、俺もお前がいないと寂しい」
彼女「ほんとに?わたしなんかいなくてもいいんじゃないの…?」
彼氏「そんなわけねーだろ。お前じゃなきゃやだ。お前以外見えねーよ」
彼女「…嬉しい。でも、まだちょっと疑ってる…」
彼氏「マジかよ、じゃあ…ちゅっ…こんなの、お前にしかしないよ?」
彼女「…ほぇえ照れるよぉ…わたしも、キミしか見えない!だーーーいすきっ!!ちゅっ!」
他が見えないほど、お互いのことが大好きな二人のキス。
それは、「アウトオブ眼チュー」。
欠席が続き、補習として居残りを命じられたヒロイン。
彼氏と一緒に帰れないじゃん…と浮かない顔をしていると、
何と居残り仲間には、その彼氏がいて…。
彼女「…え?!キミも居残り…?
彼氏「ほら俺、宿題サボってたしさ…」
彼女「なにやってんの!…でも、キミらしいな」
彼氏「なんかハズイな…」
彼女「へへ…でも、なんか、キミがいてくれて安心した」
彼氏「俺も。こんなとこまで一緒だなんて思わなかった。めっちゃ頑張れそう」
彼女「うへへうれしい。一緒にがんばろーね!ちゅっ!」
彼氏「こんなところでやめろよぉ…終わったら、いっぱいちゅーしてあげるからね…」
居残りはつらいけど、大好きな彼と一緒。それは、「不幸チューの幸い。」
彼氏と出会ってから、毎日が楽しみな彼女だが、
今日と言う日だけは、どうも来てほしくなかったようで…。
彼女「おねがい、ついてきて…」
彼氏「なんだよ…どうしても?」
彼女「どうしても!!おーねーがーい!!」
彼氏「はぁ…いいけどさ、子どもじゃないんだからさ、そんなので怖がるなよ」
彼女「むりむりむり!!だって、針、見るだけで怖いし、痛いし…」
彼氏「大丈夫。そん時は、俺だけ見てたらいいんだよ。」
~数分後~
彼氏「大丈夫だった?痛くなかった?」
彼女「痛いに決まってんじゃん…でも、キミがいてくれて、安心した。」
彼氏「よしよし、よく頑張ったね。じゃあ…ちゅっ」
彼女「…どうしたの、いきなり?!」
彼氏「えへへ、頑張ったご褒美だよ」
彼女「やだ…嬉しい…」
彼に見守られながら、勇気を出して頑張ったこと。それは「予防チュー射」。
12/20
部屋でぼーっとしている彼。
そこに彼女がやってきて、呼び出される。
彼女「ねえねえ、ちょっと味見してもらえる?」
彼氏「これ…クッキー?」
彼女「そだよ。もうすぐクリスマスだから、試しに作ってみた。」
彼氏「へ~、じゃあ、1個もらうね…あ!めっちゃいいよこれ!」
彼女「わ~い!嬉しい!」
彼氏「これをさ、クリスマスの日にも作るってこと?」
彼女「そうだけど…わたし、キミのクッキーも食べてみたい。一緒に作ろ?」
彼氏「もちろん!…でも、クリスマスには、これも欲しいな…ちゅっ」
彼女「えっ?…キス?」
彼氏「そうだよ。クッキーよりも、ケーキよりも甘い、お前のキ、ス。」
彼女「やだぁ…恥ずかしいよぉ…」
ふたりの愛が育むキッチン、それは、「チュー房」。
そして、そこでのキスは、何よりも甘い、「スイーツ」。
今日は宅飲みをすることにした二人。
ちょっとだけお酒に弱い彼女が、だんだん彼にべったりになってきて…。
彼女「うへへ、ぎゅー。」
彼氏「…酔ってるな」
彼女「えぇ~?なんのことですかぁ~?わたし酔ってないよ、いひひ」
彼氏「酔ってるだろ…ずーっとひっついてさ」
彼女「だって~、好きなんだも~ん…」
彼氏「かわいいなあ…」
彼女「え?今なんて言ったの?」
彼氏「なんでもねーよ」
彼女「うそ!絶対なんか言った!何て言ったの?ねえねえ!言って!」
彼氏「はぁ…だから、かわいいな、って」
彼女「にひひ、嬉しい。ちゅっ…キミのキス、あまぁい…」
彼氏「なんだよ…でも、お前のキスも甘かった。もっかいしよ…」
彼女「いいよ、ちゅっ…」
ふたりの飲んだ甘いお酒、それは「チューハイ」。
それがキスで混ざって、二人だけの甘々な、「カクテル」に。
いつも彼のことが頭から離れない彼女。
そんな彼女が、どうもぼーっとしているのを彼が見かけて…
彼氏「おい」
彼女「…うーん」
彼氏「おーい、聞いてんの?」
彼女「うー…」
彼氏「おい…どうしちゃったんだよ…」
彼女「ねぇ好き…ぎゅー…」
彼氏「わわ、おいおい、いきなりなんだよ…大丈夫か?」
彼女「…あれ?え…え…?わたし、何してたの…?」
彼氏「いやだから、急に抱きついてきて…どうしたの?」
彼女「なんか夢見てたみたい…キミのことばかり考えてたからかな…」
彼氏「こんな真っ昼間に?しょうがないな…じゃあ…ちゅっ」
彼女「え…?」
彼氏「現実にしてあげたよ。俺も、お前のこと、大好きだよ…」
彼のことを思いすぎて彼女が見ちゃったもの、それは「白チュー夢」。
今日は彼がゲームを持ってきたので一緒に遊ぶことに。
彼女にとっては初めてのプレイになるので、彼氏が教えてあげるも…
彼女「うわーん!また失敗したぁ…」
彼氏「これ、最初のステージだよ…?」
彼女「だって難しいんだもん…」
彼氏「しょうがないなあ…ほら、いっしょにやろ?ここをこうして…と」
彼女「えーと…えっと……あっ…まただぁ…」
彼氏「ほんとに不器用なんだな…」
彼女「うん…でも、それだけじゃない」
彼氏「どういうこと?」
彼女「そんなに近くで教えられたら…ドキドキする…」
彼氏「…かわいい。ちゅっ…ゲーム、もっかいやる?」
彼女「むり、恥ずかしい…」
二人がイチャイチャしすぎて、ゲームがある地点から進まない。
それは、「チュートリアル」。
今日はおやつにドーナツを食べている二人。
美味しそうに食べる彼女の様子を見て、彼はニヤニヤしてしまい…
彼女「ねえ、なんでずーっとこっち見てんの?」
彼氏「え?おいしそうに食べてるなぁ…って。」
彼女「だってドーナツ好きだもん。それに、私の一番好きなの買って来てくれたんじゃん!キミが選んだと思うと…もっとおいしいって思っちゃうな。」
彼氏「そう言ってくれて嬉しい」
彼女「ねぇ、キミは食べないの?」
彼氏「俺、もっと甘いの食べることにしてるんだ…ちゅっ」
彼女「…えっ?」
彼氏「ドーナツよりも甘い、お前が欲しかったんだ…」
彼女「恥ずかしい…好き…」
二人のあまあまなキスの味がするドーナツ、それは「ハニー"チュ"ロ」。
12/27
付き合いたてのふたり。
でも、彼がどこか素っ気ないところに、彼女は不安なようで…
彼女「ねぇ、なんか言ってよ!ねえ!」
彼氏「なんだよ、いきなり…」
彼女「私たち付き合ってるでしょ?なのに、キミ、冷たい…」
彼氏「そうかな…?」
彼女「そうだよ…わたし寂しい。どうなの!?わたしのこと、どう思ってるの…!?」
彼氏「…ごめんね、ぎゅっ…」
彼女「えっ…どうしたの…?」
彼氏「大好きだよ、でも、俺口下手だからさ…言葉にするの、不安で…」
彼女「いいよ。伝わってる。わたしも好きだよ…」
彼氏「俺も。愛してる…」
不揃いだった気持ちが重なり、抱き合うふたり。それは、「ちぐハグ」。
ちょっとわがままな彼女。
でも、彼はそんな彼女を憎めないわけで…。
彼氏「おーいー、言ったろお前?」
彼女「えー?なにー?」
彼氏「脱いだ服くらいハンガーにかけとけよ、また置きっぱなしじゃん」
彼女「え~、めんどくさいー。キミがやってよー」
彼氏「だめ。そういうとこ自分でやれって約束したろ?」
彼女「やーだー!めーんーどーい!やだったらやーだー!!」
彼氏「…ったく、しょうがねえなぁ…今日だけな」
彼女「えへへ、ありがと。…だいしゅき。ぎゅー。」
彼氏「はぁ…ぎゅーすればいいと思ってんだろお前…次はその手には乗らないからな…」
彼に怒られても、ハグしちゃえばこっちのもの。それは、「はぐらかす」。
ある寒い日の夜。
今日は何が食べたい?と言う話になって…。
彼氏「寒いね、今日は何がいい?」
彼女「うーん、ラーメンがいいかな?」
彼氏「珍しいね?」
彼女「だって寒いし。あったかいのがいいな」
彼氏「そっか、じゃあ、そうしようか!」
彼女「うんっ!ありがとう!キミもラーメン好きだったよね?」
彼氏「そうだよ。でも、もっと好きなのは…ちゅっ」
彼女「…えっ?!」
彼氏「もっともっとあったかい、お前の唇かな」
彼女「やだ…ズルいって…」
ラーメンを食べる前に、温まっちゃった二人のキス。
それは、「チュー華料理」。
彼女に構ってほしいと思っていた彼だが、
当の彼女はすっかりうたた寝してしまっていて…。
彼氏「おーい、起きてよー」
彼女「すぅ…すぅ…」
彼氏「起きろよ、おーきーろー」
彼女「すぅ…うーん…すぅ…」
彼氏「ははぁーん…起きないってことか…じゃあ、何しても文句言えないな?…ちゅっ」
彼女「…ん?んんっ?!」
彼氏「あ、起きちゃった?おはよ」
彼女「おはよって…なにしてくれてるの!?」
彼氏「寝顔がかわいくて、ついちゅーしちゃった。起きた顔も可愛いよ…」
彼女「もう…恥ずかしいよ…」
油断している隙に唇を奪っちゃう。それは、「空き巣(あキス)」。
ふたりは吹奏楽部に所属している。
練習が終わり、一緒に下校するも、
今日は彼女の方が元気がなく…
彼女「全然音合わなくて、ごめん…」
彼氏「そんな日もあるよ、気にすんなって…」
彼女「うん…でもさ、そろそろ大会なのに、こんなんじゃ…」
彼氏「大丈夫だって…おいで。ぎゅっ」
彼女「えっ…」
彼氏「こういう時こそ、落ち着いて。大丈夫、大丈夫。」
彼女「ありがとう…なんだか落ち着く…」
彼氏「俺も。なんだか、心臓の鼓動も合ってるね」
彼女「うん…だいすき。ちゅっ」
音は合わなかったけど、気持ちは絶対いつも合うふたりのキス。
それは、「チューニング」。
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