30秒ドローイングを100日続けた感想
30秒ドローイング100日チャレンジを終えたのでその感想や気づきなどをメモしておく。これからやってみようという人や、自分が今後再開するときに読み返す用。
30秒ドローイングとは
毎日絵を描く習慣や人体の構成を身体に叩き込むため、30秒ドローイングを100日行った。
ポーズマニアクスというサイトで、3Dのポージングモデルが30秒ごとに表示されるので、30秒の間にそれを描きうつすという練習だ。1セット10体、つまり5分間のチャレンジだが、途中から物足りなくなり2セット10分を行うようになった。
始めてわかったこと
30秒ドローイングを行うことで、確かに人体の構造(というか輪郭)を把握できるようになった。また、瞬間的に描きうつす必要があるため、絵を見てどこから描こうとするか迷っている暇がない。反射的にポーズを把握して、自分が定めた順序に沿ってシステマチックに描き始めるクセがつく。そのほか、無意識にどの部分から描き始めているかとか、体調によって模写の精度が左右されることなどの自分のクセがわかり、面白かった。
スピードと精度を両立するため、描きなおしをしないという縛りを設けた。落書き帳にボールペンで描いた。最初と比べ、最後の方では迷い線が少なくなった(捉えた形を思った通りに出力できるようになった)。ただ、30秒以内に間に合うかどうかは熟練度関係なく、開始初期の方でも描けるときは描けたし、最後の方でも間に合わないときはあった。例えば眠気でポージング構造の把握がうまくできなかったりもしたので、30秒以内に描きうつせなかったからといってくよくよする必要は特にないかも(毎回描けないならさすがにいけないが。5回に1回とかなら許容範囲)。ただ、終了後にそこを振り返ればもっと勉強になったかもなとは思う。
ずっと続けていると大体どのようなライン取りをすればその部位に見えるかなどを覚えてきて、正直パッとポーズと把握すれば元を見なくても手癖で大体それっぽいものは描ける。ただそれがいいことなのかは良し悪しであり、本当はちゃんと観察してそれを瞬時に描けるのが望ましいとは思うのだが。
途中、他の人がどのように練習しているか興味を持ちSNSなどで調べてみたが、私のようにシルエットそのまま描きうつす人もいれば、骨人間のようにして骨格を描いている人、よりシンプルな曲線でポージングそのものがわかればよいというジェスチャードローイング風の人などもいた。
反省点
一日10分というのが気軽に出来てちょうどよかったが、本当は描いた後に表示履歴を見て「このポーズが描けなかった原因はなにか」「自分の苦手な部位」などを振り返るまでやればもっと身に付いたかも。ただ、そこまでやると多分20分くらいかかってしまう恐れがあり、今回は「続けること」を優先したため、やりっぱなしになってしまった。「やりっぱなしで2セット10分」か「描きだし1セット5分、振り返り5分」のどちらがよかったかはわからないが、結果的に前者だったから100回続けられたというのはある。
3Dモデルには男性と女性があり、実際のところ全然体格が違うにもかかわらず、その差別化を行うのが難しかった。描きうつしたものを見てこれは男性なのか?女性なのか?わからないこともあった。描き分けは基本的にシルエットで、男性の場合は広い肩幅と大胸筋、女性の場合は乳房があるかどうか。もし今後も30秒ドローイングを行う場合はそこをもっと意識したい。
30秒ドローイングのコツ
描く順序を決める
自分が基本的に頭から描きだすということがわかった。しかし、ポージン
グによっては逆立ちのように頭が下の位置にあったり、手前に伸びた腕で
頭が隠れてしまったりするときもままある。このため、「基本的に頭から
描きだすがポージングによってはその限りではない」ことは意識する必要がある。
それで言うと「手前の部位から優先的に描く」ことも重要で、例えば足や腕が複雑に絡み合ったポーズでは、まず手前の部位を描き、その次に後ろから出ている部位を描く必要がある。このため、表示されるポージングは平面であるが、常にポーズの奥行きを把握し、「一番手前はどこか」を意識するとよい。
手には時間をかけない
手は身体の部位の中でも小さい範囲に情報量が詰め込まれており、これをそのまま描きうつしていると絶対に30秒以内に全体を描き終えることは出来ない。完璧を求めず(30秒しかないんだし)、ある程度の思い切りを持って手は自分なりに省略するのが良い。
自分の場合は、指などは線一本で表現していた。
身体の部位ごとのチェックポイントを押さえる
顔は描けるが身体は描けないという人がいる。特にバストアップの絵ばかり描いている人はそうなりがちだ。上半身は頭の形と大胸筋に気を付ければそれっぽく見えるが、下半身でいうとお尻の筋肉を意識するかどうかでかなり見栄えが変わってくる。下半身のチェックポイントは尻、これが重要だ。
例えば上半身はこちらを向いているが、尻が横を向いた形になっていると「身体が捻じれている」ことを表現できる。身体の捻じれ自体はポージングの中でも重要な要素であるが、胴体そのものを描くことで捻じっていることを表現するのは難しい。このように、部位ごとのチェックポイントの形の組み合わせによって結果的に身体の捻じれを表現出来たりする。尻だ。
気楽に続ける
100日はやったが、100日連続で続けたわけではない。途中やんごとなき理由により、一か月やらなかったときもあった。毎日続けようとして挫折するのではなく、2,3日空いても再開するくらいの気持ちの方が私の場合は良い。
目に見える形で成果を残す
毎回作業風景を撮影し、10秒程度の動画にしてSNSにアップロードを続けた。これが個人的に「ちゃんと続けている感」になっており、また見ている人も「最近すごく絵を描いてますね」など応援してくれるのでおすすめ。
私の場合はInstagramのストーリーズに毎回アップし、ハイライト機能でそれらをまとめていた。ハイライト機能の登録件数が最大100件なので、じゃあ100回続けようというモチベーションになった。
100回チャレンジを終えて
人体の構造把握のために始めた30秒ドローイングだったが、毎日描き続ける習慣がついたし描くことへのハードルが下がった。周囲の人からの評判もよく、「最近絵がうまくなったね」と言われるようにもなったため、いいこと尽くしだったように思う。
ただ、この練習はあくまで自分のレベル上げのための「素振り」であり、「作品」ではないためこれで仕事を取ってくることは出来ないことには注意が必要だ。
次は雑誌のモデルなどを模写してみようかと思っているが、30秒ドローイングと比べ時間もやり方も定まっていないため、また試行錯誤が始まる!