きょうの校閲1「文系は文科系であって文化系ではない」
メディアの仕事のひとつに「校閲」という仕事がある。「校閲」とは主に原稿や表、見出しに間違いがないかを調べたり確認したりする。僕は過去にそういう仕事をしたことがあったが、もっと日の目を浴びるべき仕事だと思っている。
ペン記者や表図作成者のミスを事前に防ぎ、品位を守っていた「校閲」という仕事は、メディア内でも最近ぞんざいに扱われるようになってしまった。なぜなら校閲は「利益を生まない」仕事であるからだ。コストカットを余儀なくされている現在の新聞業界では「利益を生まない」部門は厳しい扱いになってしまう。
これまではメディアの数が限られていたが、今は誰もが発信者になれる時代になった。このnoteを含めブログやYoutubeなどさまざま媒体で、個人の考えていることを文字や絵、図、映像で発信できる世の中だ。僕もよく楽しませてもらっている。
しかし「誰でもできる」ようになったからこそ、メディアにいると「それはひどいだろ」という間違いをよくみかけるようになった。校閲をしていたからこそかもしれないが、間違いを見つけてしまうと、その後も気になってしまう。
なかには「みんなに正しいことを教えます」みたいな雰囲気の動画でも、簡単に間違いがあり、他の部分は正しかったとしても「信用できない」と思ってしまうものもある。
そんなみんなが「間違えやすい言葉」を紹介しながら。「気を付けてね」という発信をしていきたい。
まずひとつ目は「文系」という言葉だ。
理系と比較する時に使われる言葉で、大学受験する際にも重要なクラス分けでもある。
さて文系理系の比率はどれくらいなのか、文系は68%、理系は32%らしい(出展国立教育政策研究所「中学校・高等学校における理系選択に関する研究最終報告書」2013年3月)。
ここでよく間違われるのだが、タイトルにも使った「文系は文科系であって文化系ではない」。
文化系というのは「学問・芸術・宗教など精神的活動」を示し、文科系は「学問分野で理科の対語」となる。なので、文系理系というのは正確に言うと「文科系理科系」となる。
東京大学の入試には「文科●類」という区分があるように、文系は文科系であることが分かるようになっているが、東京大学を受けようと思っている人はそんなにいないので気づかない。
「俺文系やから数学分からへん」と言うのは「じゃあ文科系科目はできるのですよね?」と思ってしまう。だいたいこの言葉を言っている人は国語や英語、社会もそんなに得意ではない(偏見)。
まとめると
文系=文科系
文科系:国語、英語、社会などの科目
文化系:芸術、宗教などの精神的活動
となる。