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きょうの校閲21「吹くと噴く」

 嘘から出た実(まこと)とはよく言ったもので、最近ほらを吹いたつもりが、結果的に真実になってしまったことがあった。

 仕事中、冗談で「今度ゴルフ行くんですけど、スコアは108が出ます」って言ったのだが、すっかり忘れてゴルフした結果、本当に108だった。

 「昨日のゴルフどうやったん?」と聞かれ、行ったことを忘れていた僕は「108です」と伝えると、「前言ってたやつやん、嘘つくなよ、ホンマはなんぼなん?」と返された。

 冗談で言ったことが本当になってしまったため、逆に信じてもらえなくなってしまった。不満が噴き出そうになったが、こればっかりは仕方ない。僕が適当に言ったことが現実になってしまったのだから。

 「吹く」と「噴く」。何かが表出するという意味が似ているので混同しやすいけれど、正確には意味が違うので使い分けられるようになりたい。

吹く
①空気が流れ動く。ex風が吹く、吹きさらし、吹きすさぶ、(クーラーの)吹き出し口、吹きだまり、吹き抜け、吹き流し、吹っ飛ぶ。
②息を出す。ex鯨の潮吹き、火を吹いておこす、笛を吹く、吹き替え、(漫画の)吹き出し、吹き矢、ほらを吹く。
③表面に表れる。ex粉を吹いた干し柿、粉吹き芋、吹き出物、芽吹く。
噴く:外に勢いよく出る。ex汗が噴き出る、おかしくて噴き出す、エンジンが火を噴く、火山弾が噴き上がる、蒸気を噴き上げる、汁が噴きこぼれる、鉄管から水が噴き出す、火を噴く山、不満が噴き出す。

 今は吹きだまりの中だが、いつかは火山が噴火するように、大きく外に飛び出せる人になりたいなあ。

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veleta(ベレタ)
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