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今夜、ロマンス劇場でを観て

「ロマンスがあれば人生は映画のように華やかになる」

 自分もロマンスに逢えないかなあ。どのツラ下げて言ってんだろうか。20幾年生きててそんなのひとっつもなく過ごしてきた。もちろん楽しいこともあったが、ことロマンスに関しては無縁だ。見てる世界のみで触れることは無いのかもしれない。情けない男だ。

 この映画の主人公も男らしくないナヨナヨした性格で顔や風体を除けばとても似ている。虚勢を張る元気も勇気も無い。

 映画の序盤に「あれ?伏線こんな簡単に観客に分からせてしまっていいの?」と思わせるシーンがあったので、大丈夫か?と心配になったが、結果としてそこは大きな伏線ではなく、終盤に「ええ、そっちなの!?」と驚かせてくれるので序盤で分かったような気にならないように。

 嗚呼、自分にもロマンスが来ないかな。映画を観終わった後、早速呆けていると、帰りの電車で隣の席に座ってきた女性が、少し驚いた顔をして「あれ?もしかして○○(自分の名前)?」と聞いてきた。小学校卒業以来会っていなかった同級生の女の子だった。

 「うそー、まさか観てすぐに俺にもロマンスが!?」なんてテンションが一気に沸点まで上がりきろうとしていたが、すぐ後ろに赤ちゃんを抱いた男性を見かけた。「旦那と子供と一緒に出掛けた帰りやねん」

 そんなことばかり考えているから仕事も出来ない陰鬱な人間に見られてしまうんだろうな。残念だが致し方ない。

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veleta(ベレタ)
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