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【噛み合ってきたスタイル】B1リーグ第13節長崎ヴェルカvs島根スサノオマジック

最終スコア77対73で長崎ヴェルカが西地区首位の島根スサノオマジックに見事勝利した試合。試合をとおし前半は島根ペース、後半は長崎ペースと前後半で真逆の展開を見せ、結果的に長崎が逆転勝利。同地区対決という面でもとても重要な一戦であった。見事の逆転劇の要因はなんだったのか、私なりに考察していこうと思う。

NAGASAKI VELCA

ターンノーバー乱発と島根の強力なインサイド

序盤、JBがハンドリングでターンんオーバーを立ち続けに発生し、ヒヤッとしたところからゲームがスタート。そして島根はマカドゥを中心にオフェンスリバウンドから得点を重ねた。島根はマカドゥに加え、コティ・クラークもそのフィジカルの優位を活かし、ペイントアタックしてきた。しかし、長崎も体重差のあるコティに対し、馬場が必死に身体をぶつけて対抗した。馬場はコティのフィジカルミスマッチに加え、安藤のマッチアップにも食らいつき、島根のフィジカルなスタイルを身体を張って守ったことで流れを島根に渡さなかった。対する長崎は馬場のハッスルに連動したかのように、フィジカルのミスマッチを持ち前の機動力で対抗し、1対1の場面もしっかりDFローテーションで必死に島根の圧に耐えた。
オフェンスに関しては、ザックを中心にインサイドの選手に一度ボールを収め、周りの人選手が連動し、島根のDFにズレを生じさせ、そのズレにザックがピンポイントにキックアウトパスやカッティングへの合わせのパスを供給した。長崎のオフェンスはボールも人もよく動き、そこに狩俣を投入したことでさらにボールムーブが良くなり、オフェンスリバウンドを獲られ2ndチャンスを多く島根に与えたにもかかわらず、23対19の4点差で1Qを終えた。

リオン&狩俣
安藤誓哉

点差は開いたが上がるディフェンス強度

2Qは1Qから継続で狩俣とスミスのツーガードで入り、ゲームのコントロールとスミスのスコアを両立できるラインナップでスタート。しかしながら、長崎はエドゥがファールトラブルに陥り、代わって川真田が投入された。川真田はエドゥのファールトラブルからの途中交代ながら、島根のインサイド陣に対し、一切引くことなく、むしろ向かっていく姿勢をみせ、リバウンドをもぎ取り、ディフェンスでハッスルを見せた。この川真田の姿が影響されたのか、周りの選手のインサイドに対するインテンシティが上がり、ウイングで馬場に変わり投入されていた森川も激しいディフェンスをみせ、徐々に流れを引き戻しそうな雰囲気を作った。この流れは長崎のオフェンスにも波及し、スミスのアイソレーションでリズムを掴み、積極的にアタックをできるようになり、チーム全体のオフェンスにも良い雰囲気が出てきた。その後、馬場が再びコートに戻り、森川に感化されたかのは不明だが、馬場のディフェンスも次第にエンジンがかかっていき、リオンと共に島根の安藤と津山に仕事をさせないデフェンスを見せた。長崎は島根のインサイドアタックに慣れ始めたかなと思ったところで2Qが終了し、前半を28対38で島根リードで折り返すこととなった。しかし、点数以上の力の差は感じず、後半に期待できる内容であった。そう感じた理由は10点差の原因がオフェンスリバウンド8本差からのセカンドチャンスポイント13点差、フリースロー成功数8点差にあり、改善ポイントがはっきりしており、その改善の兆しであるインサイド(リバウンド)への対応が前半の終わり間際に見られたからであったと思う。

ジェームズ•マイケル•マカドゥ

待ちに待ったお祭り男の復活!!長崎のシューター森川正明

MVP森川正明

そして勝負の後半、島根は当然ながら前半で優位に働いたインサイド中心に攻めてきた。しかしながら、長崎もこの点はわかっており、ハーフタイムで修正を見せる。長崎は具体的に策を打ったというよりも、1on1とチームディフェンスの強度を上げ、ディフェンスのギアを上げて対抗した。このディフェンスの意識がゲーム全体の雰囲気を変え、緊張感のあるシチュエーションを森川が連続3Pが一気に流れを長崎に引き戻した。島根も安藤とマカドゥのツーメンとコティのインサイドを攻めてきたが、そこに得点前半やられていたリバウンドもザックを中心に身体を張り、島根に優位を奪われないハッスルを見せた。その島根のオフェンスに対し、長崎のスミスがオフェンスでギアを入れ、アイソレーションで島根のディフェンスを翻弄し、そこに森川がこのクォーター3本目の3Pを沈め、51対55で4点差目で詰め寄り、島根の背中を掴める距離にまで巻き返し、勝負は4Qに挑むことになった。

精神的支柱 狩俣昌也

チームに火をつけたスミス!エナジー全開で勝利を掴んだ第4クォーター

4Qの開始からハードなディフェンスでプレッシャーをかけ、スミスの速攻でスコアし、チームのエナジーに火を付けた。そこに山口も見事な3Pを沈め、長崎はスミスのアイソレーションからのアタックを決め、残り時間7分40秒ようやく同点に追いついた。島根も安藤のBリーグ通算6,000得点目となる3Pを沈め、両者一進一退の攻防を繰り広げるが、長崎のディフェンス強度を上げ、オフェンスでは馬場とスミスがその実力を発揮し、長崎が見事にクラッチタイムを制して、最終スコア77対73で長崎が逆転で勝利した。

WIN!!!

総括

試合序盤はターンノーバーが連続し、島根にインサイドをアタックされたが、馬場を中心に足を使い、チーム全体で機動的なディフェンスで耐えた。
オフェンスではインサイドのザックにボールを入れることで周りの連動性が増し、インサイドからアウトサイドへのキックアウトからのパスムーブ、カットインからのアタックでスコアを重ね、なんとか島根のインサイド陣のスコアに離されずついていった。2ピリからは狩俣を投入し、ツーガードの布陣で入り、ボール運びとボールムーブに安定感が加わったことで、スミスがリングアタックに専念することができるようになり、果敢にアイソレーションでスコアを重ねていった。ディフェンスでは1ピリからリオンと馬場が島根のバックコート陣である安藤と津山にプレッシャーをかけ続け、島根のリズムを作らせなかったのはとても大きな貢献であった。インサイド人もファウルトラブルのエドゥに代わり川真田がフィジカルで島根のインサイド人に負けずファイトし、馬場もフィジカル差があるながらもコティ・クラークに対し、怯むことなくハッスルし続けた。リバウンドも1ピリでは島根のマカドゥを中心に制されたが、2ピリからはザックを中心にチーム全体で絡む姿勢が高まっていった。しかしながら、前半は島根がOFリバウンド8本のリードを奪い、2ndチャンスポイントで13点リードされ、それが前半10点差リードされる要因となった。
後半序盤の島根はリーグ屈指のインサイド陣である、マカドゥ、ニック•ケイ、コティのインサイド陣のスコアから入り、リードを広げていった。しかしながら、3ピリに入りあの選手が目を覚ます。森川が2本連続を含む3本の3Pを沈め、リズムを引き戻した。五分五分の時間帯に入り、島根は安藤とマカドゥのツーメンを選択しスコアを重ねたが、長崎は森川のエナジーに感化されたのか、長崎の皇帝(?)スミスがオンファイヤーモードに入り、島根のDFを切り裂くようなアイソレーションで得点を4点差までスコアを縮めた。そして、勝負の4ピリに入るとスミスがスーパーサイヤ人モードに入り、3ピリからのアイソレーションを加速させ、残り7:40でようやくリードチェンジまで持っていった。その後は両者一進一退でやり合いながらも、長崎が冷静にクラッチタイムを制し、最終スコア77対73で10点以上のリードを逆転し、同地区首位に対し勝利した。リードさせている時間の方が長かったにもかかわらず、慌てることなく、粘り強く自分たちのバスケを遂行したことで、森川とスミスの覚醒を呼び起こし、見事にチーム全体でゲームを制した。MVPの森川とスコアリーダーのスミスに注目されがちだが、安藤に対する馬場とリオンのアグレッシブなDF、ザックのインサイド、そしてベンチも含めたチーム全員がインテンションの高さを落とすことなく、最後まで戦い続けた結果である。相手が強敵であっても自分たちが正しいバスケを遂行できればどんな相手でも勝負できることを証明できたのは大きな収穫である。この1勝はチームとしても大きかったし、自分たちファン•ブースターにとっても自信につながった。馬場の復帰もあるが、それと同時にチーム全体でも確実に底上げしている。これから大事なのは更に完成度を高めながら、勝ち星を積み重ねていくことである。その土台はできた。あとは遂行していくのみである。

全員で勝ち取った勝利
喜びはみんなで
イジられるMVP

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