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B1第1節 vsサンロッカーズ渋谷

いよいよ待ちに待った長崎ヴェルカの2024‐2025シーズンがハピネスアリーナの新たな歴史とともに始まった。結果としてはgame1を長崎、game2を渋谷が勝利し、星を分け合うかたちとなった。
game2ではスミスにアクシデントがあり、予定していたプランでなかった点もあったが、シーズンを通してどのような成長曲線を描いていこうとしているかを感じられる試合であったので、今後の見どころも含め考察していく。

第1節game1【前半】

スミスのハピネスアリーナ初得点でスタートした初戦、激しいハイプレッシャーディフェンスから入ったのが長崎であった。渋谷のPnRに対し、ハードなショウディフェンス、スイッチディフェンスでプレッシャーをかけ相手にリズムを崩そうとした。そのディフェンスに対し、渋谷はなかなか対応できない場面が多く、前半はプラン通りにゲームを運べなかった印象であった。
しかし、長崎はなかなか点数を離せず、36対31で前半を終えた。その要因としてはオフェンスリバウンドを抑えられ、セカンドチャンスで渋谷に得点を重ねられた点であった。

リバウンド
渋谷17(OR:6/DR:11)
長崎15(OR:3/DR:12)
セカンドチャンスポイント
渋谷:9点
長崎:3点
6得点:オフェンスリバウンドの差=セカンドチャンスポイントの差

前半スタッツ(引用:バスケットLive)

第1節game1【後半】

後半の入りは渋谷が長崎のハードなディフェンスに対し、ビッグマンを引き出しながら、素早くボールを捌き、手薄になったインサイドにボールを供給し、ボールを大きく展開しながら外角からの3Pをしっかり狙ってきた。
しかし、そこに長崎もディフェンスローテーションの強度を高め対抗した。オフェンスでは渋谷が長崎のPnRオフェンスに対し、スイッチディフェンスで対抗してきたが、ここを馬場とJBが渋谷のミスマッチを上手くつき、JBの1on1で得点を積み上げた。両チームともに前半の思いどおりにいかなかった部分に対し、的確な修正と遂行力の高さをみせ、重かった展開を一気に加速させた。
渋谷が長崎のPnRに対し、リード・トラビスを中心としたインサイドで流れを掴みかけたが、長崎もハードなディフェンスとJBの個人技で食らいつき最終スコア76対68で勝利した。

第1節game1【総括】

game1で最も目立った部分はディフェンスにおいて、ハードショウやスイッチで40分間プレッシャーをかけ続けた点だろう。細かい部分でもモーディ・マオール新HCの目指すスタイルの浸透がみられた。しかし、リバウンドの面ではまだまだ改善が求められるが、シーズンをとおしチームコミュニケーションを図っていくだろう。

第1節game2【前半】

前日にハードなディフェンスで流れをつくった長崎がgame2ではどのようにゲームに入るのか注目していたが、スミスが脳震盪の疑いから欠場というアクシデントもあり、ゲームの入りをゾーンディフェンスからはいった。しかし、渋谷が冷静に対応し、早々とマンツーマンディフェンスに戻した。
オフェンスは前日のgame1で上手くハマったJBのPnRからのミスマッチをついた1on1から入り、得点を重ねていった。
長崎はマンツーマンのディフェンスに戻し、game1と同様に渋谷のPnRに対しハードなディフェンスしていったが、渋谷は長崎のディフェンスに対し、昨日からの修正をみせ、冷静にディフェンスの空きを見つけて対応しながら得点していった。
長崎のオフェンスはJBの1on1を中心に得点を狙っていき、序盤は効率よく得点を重ねたが、渋谷も前日の修正からgame1のようには好き勝手に得点を許さず、26対34の渋谷8点リードで折り返した。
前半のスタッツではgame1同様にリバウンドで渋谷に優位に立たれ、トータルリバウンド数では長崎11に対し渋谷22と倍の差をつけられ、オフェンスリバウンドでは長崎が0本であったのに対し渋谷が7本と大きく差をつけられた。

リバウンド
渋谷22(OR:7/DR:15)
長崎11(OR:0/DR:11)
セカンドチャンスポイント
渋谷:5点
長崎:0点

前半スタッツ(引用:バスケットLive)

第1節game2【後半】

後半の入りは渋谷が長崎のディフェンスにアジャストし、最大点数差13点まで広げるが、長崎も馬場のドライブなどでなんとか食らいつき、拮抗した展開が続いたまま4Qへ突入するかと思われたが、最後のポゼッションで長崎のキャプテン高比良が3Pを沈め、39対45の渋谷6点リードで最終第4Qへ突入した。4Q序盤から長崎が果敢にリングアタックし、残り7:18でようやく渋谷の背中を捕らえ同点に追いついた。
そこからは互いに一進一退の展開が続いたが、渋谷のベンドラメと田中がゲームを上手くコントロールし、田中が1on1から3Pを沈め、最終スコア53対58で長崎は開幕節を連勝を手にすることはできなかった。

第1節game2【総括】

さすがにSR渋谷ほどのチームになるとアジャスト能力が高かった。ハイプレッシャーのショウディフェンスに対し、game1の3Qからアジャストしてきていたことから、game2では必ず手を打ってくると感じていた。
そこに対し長崎もゾーンディフェンスで先手をとって、渋谷のリズムを崩そうと試みたが、ここにも冷静にホーキンソンを中心に中から外へパスを捌き、セオリーどおりのオフェンスで冷静に対応され、リズムを崩すには至れなかった。長崎のオフェンスに対しても、game1で効果的であったJBのミスマッチをついた1on1に対しても、ヘルプディフェンスの寄せとドライブのコースを埋めてきた。
そんななか、長崎もgame1から続けていたフロントコート陣を中心にインテンシティの高いディフェンスをgame2でも継続し、渋谷のフィールドゴール成功数を下げさせることに成功し、互いに得点がなかなか伸びないゲームとなった。互いに固いディフェンスのなか、勝敗を分けたところは、リバウンドとそこからのセカンドチャンスポイントの差であった。渋谷はホーキンソン、リード・トラビスを中心にリバウンドからセカンドチャンスをものにしていった。長崎もエドゥ、フロイドを中心にリバウンドに絡んでいったが、ゲームをとおし、リバウンドを制したのは渋谷であった。
高い位置からハードにディフェンスのプレッシャーをかけることのリスクであるビッグマンが外に引き出される分、インサイドが手薄になり、リバウンドやPnRからのダイブへの対応に課題が残った。
しかしながら、このハイプレッシャーのディフェンスが今シーズンの長崎のスタイルの土台であり、開幕節でこの高いレベルのでフェンスを構築できていることはとても高い評価に値する。
シーズンが始まったばかりとはいえ、中地区で上位争いができるであろう渋谷を苦しめることができたディフェンスは今後の楽しみになった。

第1節【総括】

SR渋谷との2試合で強く感じたのは、現時点においてモーディHCが注力してるのがディフェンスとセットオフェンスの構築であるということである。
まず、ディフェンスにおいてはかなりハードなディフェンスインテンシティをチーム全体にもとめており、前からプレッシャーをかけることで相手のリズムを崩していくスタイルを目指している。言葉だけにすると昨年と変化はないように感じるが、その緻密さは昨年の比では無い。個々に求める要求の高さ、チームに求める要求の高さともにレベルが異なる。少し大袈裟かもしれないが、誰かがエラーを起こせば、チームディフェンスのコンセプトが崩れると言わんばかりの要求の高さである。もちろん、バスケはミスのスポーツであり、ミスのないバスケなんてあり得ない。
しかしながら、渋谷との2試合を9人でローテーションしたことからも、現段階ではプレータイムの偏りをど返ししてでも、ディフェンスの貢献度の高い、もっと言えば、フィジカル的にハードにプレーできる選手たちの練度を上げることにフォーカスしているのではないかと思う。
特にフロントコート陣にはフィジカルコンタクトを嫌がらず、常にハードに戦うマインドを植えつけている印象を受けた。今はチームにハードなディフェンスマインドを定着させながら、ディフェンスの精度を上げている段階なのだろう。
オフェンスに関しては、現段階ではチームオフェンスの決まり事をしっかり定着させ、リングにアタックすることに注力しているのではないかと感じる。チームオフェンスの決まりごとを一人ひとりが理解し、モーディHCの戦術の浸透を慎重かつ丁寧に落とし込んでいる最中なのではないだろうか。
まずは、練習で確認していることを試合で実践し、その中で課題を見つけ、試合や試合後のコミュニケーションで最適解を見つけようとしているように感じる。もっと具体的に感じた点としては、今はいかにしてインサイドにアタックしていくのかの確認にフォーカスしているように、この2試合では感じた。その1つの答えとして今回、JBのミスマッチを活かしたペイントアタックという選択肢を見つけられたのではないだろうか。次の試合ではこの選択肢を中心に新たなオフェンスパターンを試してくるだろう。この作業の繰り返しでオフェンスのバリエーションを広げながら、シーズンをとおしオフェンスの精度を上げていくことになるだろう。

そう感じるなかで、1つ不安に感じた点がフロイドの仕上がり具合の遅れである。
私個人はプレシーズンでフロイドのプレータイムが無かったのは、エドゥや川真田を試す機会を増やすため、スミスとJBとのコンビネーションを高めるためだと思っていた。
きっと、チーム練習でフロイドに関してはコンディションもコンビネーションもある程度確認できているからだろうと期待していたのだが、その予想とは大きく乖離があったのではないかと感じている。合流がいつからで、コンディションはどの程度の仕上がりででチームに合流したのか、コンディションに問題なくチーム練習には参加できていたのか全くわからないが、今回の試合を見る限りコンディション、コンビネーションともに『?』が浮かぶ場面が多々あった。
スミスの脳震盪へのプロトコルによっては、フロイドのフィットは急務になってくる。
私の『?』が勘違いであることを願うばかりである。

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