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【長崎ヴェルカ】2024‐2025シーズン展望part1


2023-2024シーズン振り返り

2023‐2024ロスター

#1松本健児リオン
#2小針幸也
#3チャン・ミンクク
#4狩俣昌也
#5マット・ボンズ
#7ジャレル・ブラントリー
#8木林優
#9森川正明
#11荒谷裕秀
#13ディクソンジュニアタリキ
#14高比良寛治
#18馬場雄大
#23野口大介
#36榎田拓真
#40ジェレミー・エヴァンス

B1シーズン初年度。
30勝を目標にしていたが、27勝33敗。
惜しくも目標達成には3勝届かなかった。
シーズンを通して好不調が激しいながら、自分たちのバスケットを模索し続けたことは評価できる。
今回は通用した点、改善の余地を残した点を中心に選手個々にもフォーカスしながら記事にしていきます。

通用した点

  • スティールからのファストブレイク

ヴェルカは設立当初から『堅守速攻』のスタイルを掲げ、B1の舞台でも変えずチャレンジしたことをまず良かった点としてあげたい。ここでは『堅守』の部分としてチームのスティール数を上げる。今シーズンのスティール(1試合平均)8.0と全チームの中でトップ。激しいディフェンスやパスカットから相手のターンオーバーを誘うシーンは多く目にした。
次に『速攻』の部分は文字の通りファストブレイクを上げる。ファストブレイクポイント(1試合平均)15.5と三遠の15.6に次ぎ2位。特にボンズと馬場がリバウンドからそのままプッシュし、速い展開に持ち込む場面では良い流れを掴んでいた。ちなみにFBPS個人上位5人に馬場雄大(3位:56点)マット・ボンズ(2位:59得点)が名を連ねた。
このスティールからのファストブレイクはまさしくヴェルカのエンジンであり、最大の強みであったのはスタッツからも読み取れる。

  • ハードでアグレッシブな対人ディフェンス

今シーズン、ハードでアグレッシブなディフェンスを語るうえでこの2人の存在を書かないわけにはいかない。

松本健児リオン
リオンのディフェンスは開幕からリーグに衝撃的なインパクトを残した。こと対人ディフェンダーとしての彼の評価はシーズンを通して上がった。ポジション的に1番・2番の選手にマッチアップすることが多く、相手チームのエース、司令塔であるガードが多かった。そこにはリーグを代表する選手ばかり。しかしながら、彼はそんな選手たちにも臆せず、なんならイラつかせ、思い通りのプレーをさせずベンチへ下げさせるほどであった。今シーズン、彼がこれほどまで成長した要因の一つはフィジカルにあったと思う。当然ながら、リオンがマッチアップする選手はオフェンスの起点になる場面が多く、ピックアンドロールからのツーメンを仕掛けてくる。しかし今シーズンの彼はそのスクリーンに当たり負けすることなく、スクリーンをかいくぐり相手エースについていった。フィジカルの面以外にも、相手との間合い、ディフェンスの足さばき、スピードとあらゆる面で成長をみせた。来シーズンはこのディフェンスにさらに磨きをかけてほしい。

馬場雄大
私がここで書く必要なんてないほど、誰しもが認める日本人ナンバーワンディフェンダーは馬場雄大で間違いなかった。196㎝の身長ながら1~4番まで守れるスピード、そして馬場雄大はそのスピードと読みの良さ、フィジカルで日本人選手だけでなく、外国籍選手さえ完璧に押さえ仕事をさせない試合は多くあった。個人的には今シーズン最も印象(衝撃)が残っているのが、島根戦でのペリン・ビュフォードとのバチバチのマッチアップだった。
ペリン・ビュフォードの本気を真正面から受けて立つ姿は息をするのを忘れるくらい食い入るように観戦したのを覚えている。

この2人を中心にディフェンスを引っ張り、B1でもこのアグレッシブな姿勢はチーム全体に波及し、チームにディフェンスのカルチャーを根付かせるキッカケとなったことは今シーズンの大きな成果である。

課題として残った点

  • ターンオーバーの多さ

このターンオーバーの多さはシーズンの終盤までチームを苦しめた。
今シーズンのTOV%(攻撃回数に対するターンオーバーの割合)は18.7%。この数字は全クラブでワースト5位。つまり、オフェンスの5回に1回はターンオーバーになっているということである。せっかくの攻撃機会を、失っているということだ。当然のことながら、ターンオーバー数は少ない方が良い。今シーズン、CSに進出した8クラブのうち、名古屋Dを除く7クラブが上位12クラブに名前があるところをみると、今年のターンオーバーの多さは来シーズンへの課題として残った。
先に述べたようにヴェルカは早い展開をチームスタイルと掲げている故にターンオーバーは仕方ない部分もあるという声も耳にする。しかし、ヴェルカと同じく堅守速攻をスタイルにシーズンを戦った三遠ネオフェニックスのTOV%は15.2%で上位5位であった。(三遠は今年の今シーズンの中地区優勝チームであり、CS進出クラブ)
このことからも、ヴェルカのスタイルが必ずしもターンオーバーを多く引き起こすとは言えず、むしろターンオーバーの課題が改善されると今シーズンより大きく飛躍できるに違いない。
当面の目標としてTOV%16.5%以下を目指したい。

  • ハーフコートオフェンスとスリーポイント

通用した点でファストブレイクを挙げたが、当然ながら全てをファストブレイクに持ち込めるわけではない。今シーズンのヴェルカのハーフコートオフェンスについて感じたこととして、ボール離れが悪い時間になると途端にゲームが停滞するという点である。もちろん、バスケットは流れのスポーツといわれるように、ゲームの中、シーズンの中で良い時間・悪い時間がある。しかしながら、今年のヴェルカはゲームの中、シーズン中盤と悪い時間が長く続いた。
その要因として
①セットオフェンス(ハーフコートオフェンス)の際、ボールが止まってしまい、ボールクロックが少なくなり、苦し紛れのショットになるパターン

②ボール回りが良かったにもかかわらず、フリーの場面でもパスを選択してしまい、同じくショットクロックが少なくなり、ショットが苦しくなるパターン

の2点があげられる。
要因①については、シーズン終盤に大きく改善がゲーム内でみられていたと思う。改善内容としてはスペーシングの改善であった。ヴェルカのスタイルを語るうえでスペーシングは生命線であり、このスペーシングの課題の改善に悩みながらも、チームとしてチャレンジできたことは来シーズンに必ずつながるに違いない。

要因②については、メンタル的な要因があったのではないかと感じている。ヴェルカは3ポイントシュートを打てる選手は多いが、フリーなら必ず打つというメンタリティに欠ける部分がある。勝ち気というか、『俺がゲームを決める』というメンタルは、シューターに求められる条件である。シュートが外れることがあるのは当然で、バスケットは良くても1/2はシュートミスするスポーツであるのだから、来シーズンのヴェルカには今まで以上に積極的なショットを狙ってほしい。

要因②をもう少し可視化するために、今シーズンの3Pシュートスタッツをみてみると

3FG%(3pt決定率)32.9% リーグ全体13位
3ptA%(3pt試投割合)39.2% リーグ全体7位
3pt割合(総得点に対する3ptの割合)35.1% リーグ全体11位
上記のスタッツから見えてくのが、3pt割合と3pt成功確率ともに少し求めた結果ではなかったのではという点である。
先に述べたように、今シーズン、フリーの場面やキャッチアンドスリーの場面など、いま打てたんじゃないか!?と思うシーンは多々あった。ヴェルカのスタイルでは積極的に3ptを多投することが求められる。しかしながら、今シーズンは躊躇したようなシーンが多かった。もちろん、ただ単に打てばいいという話ではない。3ptシチュエーションをしっかり作ることが大事で、パスの正確性やタイミングなどがしっかり合って確率が上がるシュートである。重複するのだが、シュートのタイミングでボールを受けた選手には積極的にシュートを狙ってほしく、チームとしても来シーズンはヴェルカらしい3ptが誰であっても狙えるようにオフシーズンでチーム内の理解を強めてくれることを期待したい。
(こうみると森川の離脱は感覚以上に大きかったことがわかる)

まとめると、チームとしてハーフコートオフェンスではスペーシングをさらに大事にし、セットオフェンスの精度を高め、ボールと選手が連動しながら、フリーの場面(特に3pt)は選手全員がしっかりとシュートを狙っていってくれることを期待している。

【展望】2024‐2025シーズン

2024‐2025シーズンロスター(5/25時点)

#1松本健児リオン
#2小針幸也
#4狩俣昌也
#8木林優
#9森川正明
#11荒谷裕秀
#14高比良寛治
#17山口颯斗 ←new

未定
#5マット・ボンズ
#7ジャレル・ブラントリー

日本人選手の継続リリースはほぼ出そろった。長崎の今オフの動きはリーグのなかでも早い。残すところは日本人選手1名、帰化・アジア1名、外国籍3名である。
今シーズンの戦いから、来シーズンの展望を含め、2024-2025シーズンを考察していきたい。

補強ポイント

  • ジェレミー・エヴェンスがみせた高さの可能性

今シーズン終盤に加入したのがジェレミー・エヴェンスであった。エヴァンスは206㎝と今までのヴェルカの外国籍の中で最もサイズのある選手。ヴェルカはファイブアウトという高さより平面で勝負するスタイルであるため、インサイドを主戦場にするインサイド選手よりアウトサイドよりの選手を多用してきた。そんな中、シーズン終盤に加入したエヴァンスは96kgとインサイドを好む幅のあるビッグマンとのマッチアップは厳しかったが、206㎝の高さと長いウイングスパンを活かし、リム回りの脅威としてチームに一定の貢献を残した。
来シーズンの補強として、エヴェンスのようにサイズがありながら、アウトサイド(特に3pt)が放て、速攻では先頭を走れる走力があり、ディフェンスではゴール下の脅威となれ、リバウンドで身体を張れる存在は来シーズンもスタイルにマッチできるだろう。


  • 3番が最も活躍できるジャレル・ブラントリー

JBことジャレル・ブラントリーは今シーズンの新加入選手。JBという愛称で長崎のファン・ブースターから愛される選手である。サイズは201㎝と外国籍としては大きい方ではないが、持ち前のハンドリングスキルとバスケットIQでチームの中心として活躍した。だが、ディフェンスでサイズのある選手をインサイドでのマッチアップは負担が大きかったはずだ。来シーズン、JBが3番ポジションでプレーし、ディフェンスの負担を解決できれば、ヴェルカの大きなアドバンテージとなるだろう。

  • 長崎の絶対的大黒柱マット・ボンズ

クラブ発足からヴェルカの大黒柱であり続け、カテゴリーが上がってもその存在を示し続けたのがマット・ボンズである。ボンズの活躍については今さら説明は不要であろう。ボンズもJBと同じく196㎝と外国籍としてはサイズの無い選手である。しかし、それを補うほどのオフェンス力とリバウンドや速攻の走力は今のヴェルカには欠くことができない。性格的にも真面目で日本での生活が長いこともあり、Bリーグへの理解も深い。
これからも日本のバスケットボール界、長崎ヴェルカの躍進のために彼が活躍してくれることを願っている。

  • 残り日本人枠1枠

日本人選手は残り1枠。バックコート陣はすでに確定ぎみである。
ヴェルカが求める選手は
①スイッチしてもしっかり守れるディフェンスとスペースを広げられる3Pシュートを打てる3&D選手
②リバウンドから強くプッシュできる走力
③ハンドラーができる
④クッラチタイムを任せられる
⑤チームにエナジーを与えてくれる

つまり、渡邊雄太だ!

現場からは以上です。

さいごに

長々と書きながら改めて感じたことは、今シーズン本当に良いチームだったなということだ。開幕直前での馬場雄大の電撃加入、序盤の快進撃、もがき苦しんだ中盤、少しずつ結果が出始めた終盤。ファン・ブースターもそんなチームの成長をともに楽しんだシーズンだった。しかしながら、やはりここは勝負の世界。やるからには勝ちたい選手・スタッフ、勝つ推しチームがみたいのがファン・ブースター。
明日、2023-2024シーズンの覇者が決まる。
ヴェルカの選手たちもファン・ブースターもきっとファイナルgame3を観るだろう。
そして、いつか自分たちもこの舞台で試合がしたい、いつかこの舞台で応援したいと思うに違いない。
琉球ゴールデンキングス、広島ドラゴンフライズともに来シーズンも同じ西地区に所属する。
試合はないが来シーズンへのスタートはすでに始まっている。

この記事でオフシーズンのバスケロスが少しでも紛れるようであれば幸いです。

参考


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