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『ヒップな生活革命』| Book紹介②

お金を何に使うか、

モノの本質とは何か、

改めて真剣に考えさせてくれる本です。


舞台はアメリカ。

ニューヨークに暮らす筆者が見たアメリカの変化が、具体例とともにレポートされています。これまで、大量生産・大量消費の「量志向」だったアメリカ人のライフスタイルや価値観が、サブプライム問題を経験し、「質志向」に変化していったという切り口。

「食」「ファッション」「芸術」の3分野からリサーチされていますが、どの分野にも共通するのは「消費するモノの本質を意識する」ことです。これは私たち日本人にとっても重要な視点だと思います。


食を通して生き方を変える

より安価なもの、より手軽なものを選ぶのではなく、自分の口に入るモノが、どのような過程を経てお店に並んでいるのかを考える。そして企業は、モノを扱う過程で社会的責任を果たしているのかを選択基準に据える。そういった視点がアメリカの中に芽生えているそうです。

✅農家の手に渡るのは、農作物価格の1ドルあたりわずか9セントで、残りの91セントは、サプライヤー、プロセス(加工)業者、中間業者、マーケティング業者に渡る

✅平均的なニンジンが調理されるまでに旅する距離は1830マイル(=約3000㌔)

✅食料の35%は輸送の過程で廃棄される

このような現状を憂い、生産者と消費者をつなぐ事業を興した「ファーミゴ」という会社が取り上げられています。


足元を見つめ直してモノと向き合う

「いま着ているジャケット、どうして買おうと思ったのですか?」

この質問に答えることができるでしょうか。ジャケットに限らず、身の回りにあるものすべて。選ぶ判断基準はどこにあるでしょうか。この章の本質はここにあると思います。

「ブラック・フライデー」という言葉を聞いたことがあると思います。年末セールのこの企業プロモーションでは、実に590億ドル(2012年)ものお金がたった一日で動くそうです。まさに大量消費。この動きに対抗するかのように、「パタゴニア」が出した広告がこちら👇

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patagonia HP

モノを売る企業が「買うな」というこの面白さ。それ程までにアメリカが向かおうとしていた未来を憂慮したのでしょう。

アメリカは、どこからやってきてどこかに消えてしまうような製品で飽和状態だった。
モノがどこでどのように作られたかなんて、誰も気にしてなかった。
だから簡単に使い捨てされる。自分たちが着る服や食べ物への愛着などほとんどない。...(p.134)

行き過ぎた消費主義に対して、様々なところでブレーキが踏まれ始めていることが取り上げられています。モノの生産過程や背景に重きを置き、できる限り自分に近い場所や自分が属するコミュニティで作られたモノを買う。そういった雰囲気が広がり始めているそうです。


自分の居場所を作る文化発信のチャンネル

「音楽が売れない時代になった」と叫ばれるなか、中古のアナログ盤やカセットテープを扱う店が出てきていると筆者は指摘しています。加えて、映像配信の世界では若い作家がデジタルで映像配信を届けることのできる工夫が次々に生まれています。まさに映像革命。

未曽有の不景気のなかで、表現者たちが既存のギャラや予算の枠組み、これまでの自分の在り方に疑問をもったことで、新しい動きが生まれました。世の中の動きとは別に自分たちの居場所をつくる、大企業に自分たちの生活を翻弄される必要のない場所をつくる、そのような動きから、私たちも多くを学ぶことができると思います。


最後に

アメリカが、サブプライム問題を通して自らの歴史を振り返ったように、日本も自分たちの消費行動や文化の在り方を見直す時期にきていると感じます。高級なブランド品、大量生産された衣類、そういったモノの溢れかえる時代だからこそ、物事の本質を見失いがちです。だからこそ、何を食べ、何を着、何にお金を使うか、改めて見つめ直すことが大切。本書を読み、改めてそう強く思いました。



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