世論が「常識」を変える
「バランスの良い食事を心がけてください」
かかりつけの医者からこう言われたら、あなたはどうしますか?
真っ先に「バランス 良い 食事」とググることでしょう。
さっそく検索してみましょう。結果はこちら👇
どのサイトに行っても、ほとんど「主食・副菜・その他をバランスよく摂取すること」的なことが書いてあります。情報源の信頼性を考慮し、日本政府(農林水産省)のサイトに行ってみましょう。すると、以下のような表が出てきました👇
(出典:農林水産省HP)
学校でもよく目にする「食事ガイド」です。中学時代、この表を見ながら家庭科の授業を受けた記憶が蘇る…。日本人の多くは政府の作ったこのガイドラインに従って食事を考えており、TVや雑誌を始めとするメディアでも取り上げられることが多いので、これが「常識」となっていますね。
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海外の例を見てみましょう。以下の写真はカナダの「食事ガイド」です。
日本のものと比較して何か気が付きませんか?
(出典:Government of Canada)
まず、牛乳・乳製品がありません。代わりに水。
そして、主菜の部分にはお肉・魚がありません。代わりに豆類が中心。
まったく違っています。地球上に住む同じ人間でありながら「理想の食事」がこんなにも違ってくるものなのでしょうか?
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この食品ガイドを見たとき、カナダ国民の食についての考えを色濃く反映しているとしか思えませんでした。
カナダの人口は3774万人。そのうち、ベジタリアンの人口は230万人。ヴィーガンの人口は85万人います。人口比で見てみましょう。
人口:3,774万人
ベジタリアン:230万人(6.11%)
ヴィーガン : 85万人(2.26%)
(出典:statista HP)
人口の1割がお肉や魚などの動物性食品を避ける傾向にあることがわかります。10人に一人がお肉を食べないんです。ベジタリアンに至ってはここ15年ほどで約100万人の増加があり、今後も増加が見込まれています。
こうなってしまうと、政府も企業も放っておきません。企業からしたら死活問題。売れない商品をコストをかけて作るわけにはいきませんからね。消費者が求めるものを作って利益を出さなければならず、見据える先は「お肉」から「代替肉」や「植物性食品」にシフトします。
これは政府も同じです。カナダ政府が植物性食品産業に1億ドルを投資したことがニュースになりました。(出典:The Beet.)それ以上にわたしが驚いたのは、大統領のこのセリフ。
“As people around the world start eating more plant-based products, we have an opportunity to bring together Canadian innovation and Canadian crops, and a chance to create good, well-paying jobs,”
この投資の目的は、動物に由来する感染症への対策でも、環境保護のためでもなく、雇用の創出のためである、という点。農家を守りながらも、雇用のさらなる創出のために投資する。つまるところは金なんです。
政府がこのように動いたのは、まぎれもなくカナダ国民の「食」に対する捉え方への変化があったから。動物福祉の観点からは絶対に動かない政府が、票の獲得やお金の匂いで動いたのでしょう。
はっきり言って、政府なんてそんなもの。正論でも動かないし、感情論でも動かない。動かせるとしたら、国民が何を選び、何を買うか。それしかありません。
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日本では常識になっている「バランスの良い食事」は、カナダでは常識じゃない。多くの人がお肉や乳製品の危険性について科学的根拠に基づく正しい知識を持ち始め、その人たちの選択が国を動かした。良い方向に。
いつの時代も、常識は国民がよりよい形に変えていくものだと思います。政府やメディアが決めるものじゃない。
と、わたしはこう思っています。
あなたはどう思いますか?
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