水も重要な栄養素!ヒトは「栄養の循環の世界」に生きている。栄養の基礎知識【地球の栄養と人間の身体の仕組み】#5
これまで、栄養についての基礎知識として、「そもそも栄養とはなにか」や、三大栄養素である「脂質」「炭水化物」「タンパク質」について説明してきました。
最終回の今回は、人間の体の仕組みについてお話しします。
※本記事は、ベジタブルテック(株) 代表取締役 岩崎の動画のリライトです。栄養学について解説しています。動画はこちら。
人間の体は、37兆個の細胞でできている
私たちの体は、細胞という小さなブロックが集まり、約37兆個の細胞で構成されています。例えば、肝臓は肝臓細胞が集まってできた臓器です。同様に、筋肉も筋肉細胞から成り立っています。
細胞を「一つの袋」のようなものだとイメージしてください。 細胞をスライスして、中身を見てみましょう。
袋の中には、さまざまな成分が詰まっています。それらは、細胞内で栄養として使われて細胞自身を作ったり、エネルギーを生み出したりしています。
細胞はどんな材料でできているのか
細胞内は水が充満しています。この水の中に、さまざまな役割を持った器官が蓄えられています。これらの器官は遺伝子を元に作られており、主に窒素でできています。
私たちの体の60%以上は水でできていて、水を持ち歩いている状態です。細胞の外に水が漏れないように、水と脂は混ざらないので、細胞膜は脂質でできています。脂質は、炭素中心でできていましたね。
ですから、細胞膜も炭素でできています 。そして栄養のやりくりで燃焼されるものも、炭素でした。 つまり、細胞の構成成分は地球の資源と全く一緒で、窒素・酸素・二酸化炭素・水(H2O)なんです。
人間は体内に水を確保した状態で生きている
糖やタンパク質・脂質・ビタミンやミネラルなどの様々な栄養成分は、細胞内に入ってやりくりされることで、エネルギーになったり、ホルモンを生成したりします。
栄養のやりくりは、水を媒体として行われます。水の中で自由に、栄養やタンパク質がやりくりされています。 水がないとこういった反応は起こりません。だから常に水を飲み、体の水分量を維持することが重要です。
生まれた時、人の水分量は地球とほぼ同じ
興味深いことに、生まれたときの私たちの水分量は約75%です。海も地表の約70%を占めています。私たちは地球とほぼ同じ水の割合で生まれているのです。ロマンを感じませんか? 生まれた時はみんな地球と同じなんですよ。
成長し、大人になるにつれて筋肉も増えていくので、水分量は60%に減り、高齢になると50%と、どんどん水分量は減っていきます。最終的には、私たちの体は土に還り、水もまた土に還るのです。
このように、人間は体内に水を確保した状態で、水と共に生きています。水が綺麗であれば植物も育ちますし、私たちも体の細胞を維持することができます。なので、水は大変重要な栄養の要素です。
1日に必要な水分量は1.5リットル以上(推奨は2.5リットル)
では、1日にどれくらい水を飲めばいいか。
人間はだいたい1時間に60mlの尿を常に作り続けており、1日換算だと1.44リットルぐらいです。 少なくともそれと同じ量の水を補給しないと、脱水症状を起こします。
体はよくできているので、水分を取れない場合は尿として排泄せず、もう一度体内に吸収し、 できるだけ水分量を維持しようと働いてくれます。しかし、 水は循環させた方が健康的なので、少なくとも「毎日 1.5リットル以上」は取った方がいいです。
そして、尿だけでなく、便や汗からも水分は流出していくので、これらも考慮すると、「2.5リットルぐらいは1日に取りましょう」というのが教科書的な推奨量です。
水分は皮膚からも失われてきます。また、発熱した時、気温が暑い時、 もっともっと水は体から出ていくので、環境や体調に応じて意識的に水分を補給することが重要です 。これが血液の循環にもつながってきます。 循環はエネルギーの代謝にも関係しますし、 細胞のコンディションの維持にも関係してくるので、 栄養の補給・水の補給は重要です。
水を飲むだけでダイエット効果がある
面白い研究があります。水を飲むことでエネルギー代謝が上がることが報告されています。 500mlの水を飲むと、 エネルギー消費量が約24%も活性化されることが分かっています。
例えば、水を1.5リットル飲むと、 1日あたり48キロカロリーを燃焼することになります。1年だと17400キロカロリーの燃焼になり、2.4kgの燃焼を促している計算になります。さらに1日2リットルの場合は、1年間で4.8キロのエネルギー量に相当します。
水を飲むだけで、ダイエット効果があるのです。
ですから、水をあまり飲んでいない人ほど積極的に飲みましょう。毎日水をしっかり飲むと、代謝アップや体重維持につながるので、安くてとても簡単なダイエット法です。
おわりに
今回の「栄養の基礎知識」シリーズでは、栄養と体について、出発点となる基本的な仕組みについて説明しました。「栄養の循環の世界に、我々人間は住んでいる」ということが、分かってきたと思います。
これまでのまとめ
地球にある資源には、窒素・炭素・炭素・水素があり、この4つの元素を元に、三大栄養素は作られています。
植物が炭水化物を作り、脂質として蓄積できるようにし、次は窒素が雨・雷によってタンパク質を生み出します。それらを我々は重要な栄養である三大栄養素、「脂質」「炭水化物」「タンパク質」という形で食べています。
細胞レベルで見ていくと、我々の体も水と水を包み込む細胞の集合体です。細胞内には、タンパク質や脂質、酸素を吸って燃焼する仕組みがあります。そして人間は「地球の海とほぼ同じ水分量」の割合で生まれ、 水と共に生き続けています。
人間は栄養のシステムの中で生きている
このような仕組みの中で、人間は生きています。このシステムから逃れることはできません。
人類はこの仕組みを「栄養学」という学問で整理し、分からないことを追求し、解明してきました。「どういった形で食べれば、健康に生きていけるのか」という学問が、栄養学なわけです。
人間が健康になろうとすると地球も健康になる
水を摂り、栄養を摂り、そして生きていく。
私たちの体は、自然から生まれたものです。
健康を保つことは、地球の健康にもつながります。
地球と自分の体をつなげる形で、物事を見極めていくことができるのも、栄養学が非常に面白い点だと思います。
次回予告
次のシリーズでは、自然と密接に関わるこの世界の中で、私たち人間は、どの栄養を・どういうときに・何から食べたらいいのか。つまり食べ方についてお話する予定です。お楽しみに。
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