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世界で最も肥満が少ない国なのに、日本男性の3割は肥満。では日本女性は?|食の大切さと身体への影響 #8

前回は、日本人がお米を食べても太りにくい理由について、解説しました。インスリン感受性など、民族ごとに体質に違いがあることが大きく影響しています。

太りにくい体質の日本人ですが、この数十年で大きな変化が起きています。
今回は、肥満と食の変化についてお話します。

※本記事は、ベジタブルテック(株) 代表取締役 岩崎の動画のリライトです。栄養学について解説しています。動画はこちら


世界の肥満者の割合

こちらのグラフをご覧ください。世界の肥満者割合を示しています。

経済協力開発機構(OECD)加盟国における、肥満率ランキング

肥満の定義
肥満の定義は、体重と身長から計算する「BMI」という指標を用います。BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で算出されます(体重に対して身長で2回割り算します)。
WHO(世界保険機関)は、BMI25以上を肥満の手前の「過体重」、BMI30以上を「肥満」と定義しています。この基準に基づいた世界の肥満者の割合が、上のグラフです。

日本は世界で最も肥満が少ない国

グラフの最上位はJAPANです。日本の肥満者はなんと、わずか人口の3.7%。日本は世界で最も肥満が少ない国なんです。

そして、世界で最も肥満が多い国はアメリカで、肥満者の割合は38.2%です。「3人に1人は肥満」ということになりますね。

肥満者の割合には、食文化や体質の違いが大きく影響しています。前回説明したように、日本は高糖質・低脂肪食、アメリカは低糖質・高脂肪食です。


しかし、太平洋戦争後、日本の食文化はガラリと変わりました。

日本人の食事はこの20年でどう変わったか

上の表を見てください。2001年から2019年の20年間だけでも、日本人のエネルギー摂取量はかなり変化しています。

低糖質・高脂肪食化し、太りやすい食事に近づいている

2001年を100とした時、この20年で、エネルギー摂取量は97%、タンパク質の摂取量は96.8%と、やや減少傾向です。
しかし、炭水化物の摂取量は89.7%で約10%減少し、低糖質化しています。また、脂質の摂取量は113.7%と約14%増加し、高脂肪食化していることが分かります。

この20年間で、日本人は糖質の摂取量が減り、脂質の摂取量が増えました。つまり、肥満の多い国の食事に近づいてしまっているのです。

日本における肥満率の変化

厚生労働省の国民健康・栄養調査より

実際のデータで、肥満者割合の変化を見てみましょう。上の表は、1980~2019年の日本における肥満者割合の推移を表したものです。

※注意点として、この表は前述の世界のグラフとは、肥満の定義が異なります。前者はBMI30以上、こちらはBMI25以上です(WHOの定義では肥満手前の「過体重」にあたる)。厚生労働省の統計データは、WHOよりも肥満の定義が厳しいため、この表の方が肥満率が多くなっています。

男性は太り3割が肥満。女性は痩せていっている

赤字の部分に注目してください。男女で変化が異なりますね。
肥満が増加しているのは男性です。肥満率31.8%と、この40年ほどで肥満率が14%増えています。

一方、女性の肥満率はあまり変化がなく、逆に痩せている人が増えています。痩せている女性の増加は、将来の子供の出生率にも関係するかもしれないので、注目しないといけません。

このように、男性は太っていく一方、女性は痩せていることが分かります。

なぜこのような変化が起きているのか?
次回はその理由や背景を掘り下げて解説していきます。お楽しみに。

P.S.ちなみに、よくダイエットで糖質制限と言いますが、最初に確認すべきは脂質摂取量です。肥満に最も影響があるのは、脂質摂取量だからです。これは世界の常識です。
このように、きちんとした裏付けのある食事内容や栄養管理を知りたい方は、初めての方でも基礎から栄養学を学べる「栄養コンシェルジュ」がおすすめです。詳しくは以下のページをご覧ください。