③100万投資して100万円儲かったら損?
「財務会計知識を高めよう!よし、簿記を勉強しよう!」と思い本を開くと全く面白くない仕訳が延々と続き興味・関心・意欲がゼロに。そんな人って多い気がします。この勉強って何の役に立つんや!と感じるような部分を全て吹っ飛ばし、「最低限」知って損はしない入り口レベルの知識を共有します。
#3 100万投資して100万円儲かったら損? ~現在価値と割引率~
「今の100万円」と「1年後の100万円」
「今の100万円」と「1年後の100万円」ではどちらが価値が高いか?このような問いがよく用いられます。今100万円もらえるか、1年後に100万円もらえるか、ほとんどの人が「今」を選択すると思います(一部の人は将来デフレになると予測して「1年後」を選ぶかもしれません)。これは、金利の概念をなんとなくでも皆さん既に理解しているためです。
将来価値とは?
今すぐ100万円をもらった場合、運用に回して5%金利がつき1年後に105万円に出来るかもしれません。すなわち「今の100万円」と「1年後の105万円」は同じ価値と考えることが出来ます。
現在価値とは?
これを逆に考えると、「1年後の100万円」は「今の952,380円」と同じ価値と考えることが出来ます。
「今の100万円」の方が「1年後の100万円」よりも価値が高いという貨幣の時間的価値が投資の意思決定をする場合には最も重要な考え方となります。なぜなら、多くの場合投資を行うのは「今の100万円」であり、リターンとして返ってくるのは「将来の100万円」だからです。すなわち、100万投資して1年後に100万円儲かったら損となります。また、上記で言う5%のような、将来価値を現在価値に割り戻す際に使う率のことを割引率と呼びます。金利5%で複利のもとでは、将来の100万円の現在価値は以下のようになります。
数字で語るために
今既に行っている事業、これから始めようと思っている新規事業どちらの話をする場合も、「今の100万円」の方が「1年後の100万円」よりも価値が高いという貨幣の時間的価値の考えを理解することで、単なる数字の単純合計は事実を正しく表現していないことを理解し、投資や収益について正しく「数字で語る」ことが出来るようになります。