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02_3M. 第二の扉 「人の成果に結びつける」
人の成果を因数分解 「能力 x 熱意 x 方向性」
棚卸した60項目をどのようにグルーピングするか。もっとシンプルに言うと、「人の成果をどのように因数分解するか」。 私が一番しっくりきた切り口は、 稲盛和夫さんが提唱する方程式「人生・仕事の結果=熱意 × 能力 x 考え方」。それを少しアレンジして、「能力 x 熱意 x 方向性」。単に3つ並んでいるのではなく、かけ算でつながっていることが重要です。幅広い業界にも使えるので、その汎用性をチェックしてみましょう。
汎用性「自動車」
最初は自動車。自動車が進む様子を思い浮かべながら、想像して下さい。「熱意」は「エンジンまたは燃料」。「能力」はエンジンの動力をタイヤに伝える「駆動力」。「方向性」は車の向きを変える「ハンドル」。それら3つがうまく噛み合ってスピードの強弱や進む方向に影響する、数式ではかけ算になる、そういうイメージです。
汎用性「軍事面」
次は、軍事面。アメリカと中国を例にします。世界の覇権を狙う両国は、その「熱意」も「能力」も世界トップクラスなので、それぞれの値を最大値の10とします。次に日本を中心に「方向性」を考えると、日本と同盟国のアメリカはプラス、自由に対する価値観が異なる中国はマイナス。かけ算なので、合算するとアメリカはプラス100、中国はマイナス100と真逆の値になります。つまり能力と熱意が高いと、人、企業、国でも方向性によっては大きなプラスにもなるし、大きなマイナスにもなります。マイナスの例としては、ヒットラー、スターリン、ポル・ポト、建国後の毛沢東などが挙げられます。
汎用性「社内」
社内でも同じことが言えます。熱意と能力は高いけど、「この人とは一緒に働きたくない」という人はいませんか? ベクトルが顧客に向いているのではなく、社内政治に向いている人。重箱の隅を突っつくような人の揚げ足取りをする人。相手に敬意を払わず、見下した対応をする人など。熱意と能力が高い分、方向性がマイナスだと、余計に厄介な存在になります。また方向性がプラスでも、「協調性」に欠ける場合や、同じ目標に向かっているにもかかわらず、微妙にズレた場合、角度のズレに比例して全体の進行に影響が出てきます。
汎用性「経営者」
逆に言えば、熱意と能力が高い人ほど、方向性を磨く必要があります。実際、私が尊敬する経営者たちは、方向性の鍛錬を強調しています。下の表に示すように、資治通鑑 でも「小人」として区分され、企業不祥事を起こした方々は、概ね「小人」に分類されます。
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汎用性「男女関係」
セクハラも同様です。男性が女性の肩をあいさつ代わりに触ったとします。福山雅治さんの場合はセクハラにならない一方、中年男性の場合はセクハラになりやすい。方向性だけ切り出して比較すると、 福山さんは女性から好意的に見られるので方向性がプラスな一方、中年男性は嫌悪感をもたれやすいので方向性がマイナス。同じ行為であっても、女性から見た場合には結果が真逆になってしまうことがあるわけです。
この考えを少し発展させます。熱意と能力が共に最大値で、方向性がマイナスの異性を想像して下さい。もう二度と顔を見たくもない相手なので、様々な関所を作って会わないようにしている。でも尋常でない熱意と能力で乗り越えてあなたの前に現れる、そんな相手です。それは誰でしょうか? 答えはストーカー。
汎用性「熱意」
一方で、熱意がゼロの場合、どんなにIQが高く能力があっても、かけ算なので合計はゼロです。年齢を重ねるにつれて、熱意は失われる傾向にあり、20代で抱いた大きな志を同じ熱量で維持し続けることは困難です。
羽生善治 棋士いわく、「才能とは・・・以前は一瞬のひらめきだと思っていたが、今は長期間、同じ姿勢で、同じ情熱を傾けられることが才能だと思っている。個人の能力差より、継続できる情熱を持っている人の方が、長い目で見ると伸びる」。
SoftBank Group創業者の孫さん。ADSL事業や携帯事業で倒産間近といわれる領域まで踏み入れて、死地をくぐり抜けたにもかかわらず、その後USでSprintやT-Mobileを視野に入れた買収をしかけました。それでも熱意は衰えず10兆円超のベンチャーファンドを立ち上げ、一時は3.6兆円の評価益を計上したものの、再度、死地に突き落とされ、現在はARM社に再起をかけて奮闘中です。年を重ねても衰えないどころか、益々燃え盛る彼の熱意には、感服させられます。この「熱意」のパートは、「第四の扉」で深く掘り下げます。
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イメージ図 「能力 x 熱意 x 方向性」の18要素
「人の成果 = 能力 x 熱意 x 方向性」の汎用性は確認できたので、それを棚卸した60項目に当てはめて、どのように分類するか? アウトプットのイメージから種明かしをすると下表で、最終的には18要素へ集約します。では、この表にどのようにたどり着いたのか、具体的に見ていきましょう。
なお、「知識 (基礎や専門)、経験、人脈」も大事な要素ですが、シンプルにするため「能力」、「熱意」、「方向性」には含めず切り離して、「その他」として分類しています。
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今月は、この記事を無料で開放しています。
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