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鶯が みかんついばみ 喉濡らす

線路に広辞苑ほど分厚い「バターの本」が落ちていて、(ば、バター…?)となって、写真に収めておけばよかったと後悔しながら乗り換えの階段を登った。あれは絶対に手に取ってページをめくれないのに。重みも感じることはできないのに。

古着屋で15着5万円程度で買い取ってもらい、「お前のコイツらとの思い出、5万円ね」と言われているようだった。モノを手放す寂しさを上書きする、貨幣に置き換えられてしまう思い出に対するなんともいえない気持ちになりながら、その貨幣に置き換えようともしているのは自分で。「価値」とは何だ。

Amazonの置き配の写真で、玄関のサザンカが咲き始めていることに気づく1月半ば。

さながら瞑想の様にもくもくと皮を剥く時間にこそ、考えていることが整理され言語化が進む。ピンクペッパーとハチミツでマリネ。

「またね」という祈り

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