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討ち入り

今日は赤穂浪士の討ち入りの日だとされています。

この日にふさわしい歌謡が『俵星玄蕃(たわらぼしげんば)』でしょう。三波春夫の名調子でお聴きください。


私は、ituneで買ってipodで聴いてます。9分もの長いのが250円ってコスパいいですよねぇ。「元禄名槍譜」ですから「槍の玄蕃」の物語です。ただし、この人は架空の人物だそうで。三波が開拓した浪曲歌謡の代表作でもあります。

「槍は錆びてもこの名は錆びぬ」とか「時は元禄十五年十二月十四日、江戸の夜風を震わせて響くは山鹿流儀の陣太鼓。しかも、ひと打ち、二打ち、三流れ…」

ぜったいに口に出したくなる名台詞なんですよ。

さく、さく、さく、さく…皚々(がいがい)たる白雪を踏みしめて、昼間は蕎麦屋に身をやつして潜行していた浪士杉野十平次が、いざ討ち入りに参じます。

「先生!」「おう、蕎麦屋か!」

玄蕃は杉野が赤穂浪士の一人であることを薄々感じていました。ただ、名を尋ねることを武士の矜持として良しとしなかった。名も知らぬ同士が心通じ合った瞬間です。玄蕃は名乗らずに、餞(はなむけ)に、昼間、槍術の極意の一手(ひとて)を蕎麦屋の十平次に披露していました。

「命惜しむな、名をこそ惜しめ」と浪士杉野十平次を励ます玄蕃、男の涙を誘います。

総大将大石内蔵助に助太刀を申し出た玄蕃は、丁重に断られます。大石の胸の内を察した玄蕃は、討ち入りの本懐を遂げさせるべく、邪魔する者はだれ一人通さぬと「両国橋」の袂で槍を立てて仁王立ち。

「槍に玄蕃の涙が光る」で幕は閉じます。

いいなぁ!赤穂浪士。本当はどうか知らないけれど、お話として美しいと思うのです。

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