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女尊男卑(暗黒の男の時代)

男尊女卑、女性差別の話題を聞かない日はない。
それほど、根強く今も男尊女卑が洋の東西を問わず残っているし、ことに日本では政治家が男尊女卑的考えを改めない。
それはいつのころからそうなったのだろうか?
その前に、ヒトの男女の性差なぜあるのかを考察してみたい。
前に「男女差という幻想」で書いたことと重複するかもしれないが、たいていの高等な動物において雌雄の体格差はヒトほど顕著ではない。
競走馬の世界でもサラブレッドの牝馬、牡馬が同じレースを闘うこともしばしばある。
ヒトの陸上競技や水泳で男女が同じフィールドで競うことはあまりない。
混合リレーとか混合メドレーとか、チームで戦うことはあるだろう。
それは性差を均一化するための仕組みでしかない。性差があることを前提とした競技だからだ。
つまりヒトの男女には明らかな体格差、体力差があるのだった。

昆虫の世界にはカブトムシやクワガタ類の場合、オスの体格や角を持つなど、戦いに特化した大きな差がある。
この場合は、オスが繁殖のためにメスを獲得するには食べ物を独占し、他者を寄せ付けない強さを発揮するためらしい。
昆虫の繁殖行動と我々哺乳類のそれとは比較するには違いがありすぎる。
とはいえ、収斂進化のような部分もあり、たとえばアリやハチにみられる社会的営みを取り入れている例がそうだ。
女王を中心とした完全な女系家族でなりたっている社会的昆虫類は、もしかしたらヒトの原始社会もそれに近かったのではなかろうかと思われるのだ。
シュピーゲル・エリック(1911~1987、ドイツ)は生物はもともと女系で成り立っていると主張し、子孫を産み育てることが生物の目的だとするならば、それは当然のなりゆきであり、オスはメスが必要とするときにだけいればよいのだといった(Journal of Contemporaly Human,1962)。

雄性成熟という性転換するクロダイ(Acanthopagrus schlegelii)なども体格の良い個体が卵をたくさん産むことからオスからメスに性転換するのだそうだ。

ヒトに立ち返って考えてみると、エリックが唱えた「女系」がスタンダードだとすると、子供を産む女性が崇められることが原始社会にあったと考えてよい。
その際、男は性交の時だけに必要であり、それ以外は女に労働を押し付けられていたと考えられる。
住居を作るような重労働や頭脳的な狩りはみな男の仕事だっただろう。
女は子を産み育てるために、女だけのコミュニティを作り、男は通い婚だったのだろう。
男は常に女に選ばれるために、狩りの技術や土木作業の向上、石器の工作にいそしんだ。
そうやっていくうちに、男の体格は女のそれよりたくましくなり、また頭脳も明晰になっていった。
女は男の貢ぎ物で肥え太り、子供をひたすら産むだけの「女尊男卑」の時代が続いた。
まさに男にとって暗黒の時代である。

しかしそんな時代も終焉を迎えることになる。
男たちが立ち上がったのだ。一種の革命である。
女にこき使われるばかりで、これでは「立つ瀬がない」と思ったかどうか知らないが、女より優れた体格を武器に女を組み敷いたのだ。
立場は逆転し、女は男の所有物と化し、文化が生まれた。
女が肥え太っているうちに、男は言葉を手に入れ、文字までも発明したのである。
さらに、動物を飼育し、農耕を行うなどして、経済を培った。
女は、もはや男の子孫を宿す奴隷になり下がったのである。
もっとひどいことに、女を性の対象にして春をひさがせるように仕向けた。
爾来、女は男の慰み者になり、家に固定され、夫の所有物として扱われたのである。

こうやって現代にまで続く根強い男尊女卑の文化がうまれたのだと、エリックは推論した。

そして現在、女尊男卑の歴史が残っていないのは、女どもが文字を発明するほどの文化を持たないうちに、男に取って代わられたからだとエリックは説明する。
辛うじて女系家族の部族や妻問い婚、通い婚の風習が少し残っているくらいである。
アマゾネスの伝説もあながち嘘ではないだろう。

男が、女の奴隷時代にずば抜けた体格や体力を勝ち取り、明晰な頭脳、論理的な思考を具えたのは、後天的な特性が遺伝子レベルに記録された結果なのかもしれない。

だからといって、ことさら女性が男性より劣っているとは言えないだろう。
ことに頭の良しあしに性差はないというのが科学の教えるところだ。
要は、女の頭の使い方が子育てに特化したか、そうでないかで変わってくるというのが正直なところだろう。
性によって差別することは、あってはならない。
また、性の不一致で悩まないで生きていける社会をこれからは目指すべきだ。
性に翻弄される生き方は「前時代的である」と考え方を変える時が来ているのである。
男女の差は「おちんちんとおまんこの差」であるだけだ。

(この話はフィクションですよ。シュピーゲル・エリックなんて博士はいませんぜ)

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