場と共鳴するファッションは可能か?

今回はファッションについてお話します。大分時間が空いてしまいましたが、クローズアップ現代に出演する時の服装の背景です。フリーな場におけるファッションについてはNewsPicksのシゴテツ第三回でお話していますが、クロ現においては場へのリスペクトとしてファッションを選んでいます。各回のテーマを選定したスタッフと視聴者へのリスペクトを込めて、テーマと響き合わせることを試みているのです。

自分自身の写真がひたすら並ぶページもなんだかイマイチだったので、服装の写真へのリンクは、小項目のタイトルに貼ってあります。もし気になる方はお手数ですが各セクションのタイトルをクリックして頂ければNHKページの該当写真にジャンプして確認することができます。放送のアーカイブはクロ現のページでご覧頂くことが可能です。

3万年前の大航海(2019年7月24日放送)
3万年前に海を渡り日本列島に辿り着いた祖先の航海を再現する壮大なプロジェクトについての回です。祖先を阻んだ最大の障害は黒潮。黒潮のような勢いが表現されたカットソーを着ています。またプリミティブなデザインも太古への憧憬です。とはいえ視聴者の多くのかたは「何故宮田は”つ”と書かれたTシャツを着ているのだ?」という疑問に囚われたようです。。。

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 郵便局・保険の不適切販売(2019年7月31日放送)
放送に至るまでの経緯においても、圧力があったのか無かったのか、など非常に話題になった回です。報道としての真実を追求し、社会にできる限り誠実な姿勢で情報を伝える、というスタッフの熱意が更に入った回でした。画像ではあまり見えませんが”New Renaissance”という文字が入ったTシャツを着ています。再生へ歩んで欲しいという郵政の方々へのエールです。痛みを想起する表情の作品を選んだのも、その時の状況に合わせたものです。

 知られざる天才ギフテッド(2019年8月28日放送)
単に知能が高いというだけでなく、世の中の捉え方が人とは異なる子供達の背負った苦悩に焦点をあてた回でした。番組ではギフテッドの定義として、高いIQに注目していましたが、私個人の考えは違います。IQというのは単なる結果であって、本当に重要なのは、超感受性とでもいうべきOverexcitability(OE)だと感じています。OEを有するが故に、他の人よりも出来ることもある一方、強すぎる情報インプットや、集団との認識のずれに苦しむのです。ファッションについても、レザージャケットのネック部分のジョイントを締めた着用(通常は締めない)により、苦しさを表現しています。

 改名100人(2019年9月4日放送)
スタジオでのトークなしで、別々の場所での収録や対談で番組を編成するという変則的な企画です。宮田のパートは、私の研究室や会議室で収録しています。様々な背景や理由で、皆様改名に至っていますが、大多数の人々の真摯な改名への気持ちをリスペクトする上で、再誕といういみでのルネッサンスモチーフのTシャツを着ています。今回は、微笑みで祝福をということでモナリザです。写真のものは見にくいので画像をはります。下記のシャツと同デザインです。正確にはモナリザをモチーフにしたレイモンド・ペティボンのペインティングですね。

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 身体拘束(2019年9月11日放送)
いつものアップの写真よりも、引きの写真が分かりやすいので掲載しました。”拘束”に対する概念として”開放”をイメージする、手の平から鳩が飛び立つ姿が描かれたTシャツを着ています。この回は難しい回でした、患者・家族の思いと、限られたリソースの中で苦しむ現場、なにをもって良い放送と判断するかを考えさせられる回でもありました。

 外国人労働者の子供たち(2019年9月18日放送)
番組の最後に、ゲストで呼んだ一般人の方(外国人労働者としての本音を発言するために登場)のラップで終えるという演出で攻めた回。出身地である岐阜の市外局番をタトゥーに入れるなど、地元としての日本への愛着を語ってくれました。別々に生きる共生ではなく、新しい社会を共に創ることが必要なのでは?ということで、和服に強くインスピレーションを受けた英国人デザイナーの服を”多文化共創”としてあてています。

 現代アートの舞台裏(2019年9月25日放送)
この放送を通した現代アートへの私の考えについては以前のnoteで書かせて頂きました。服装については、今回は着用したアイテムが現代アートそのものであるということもあり、番組でも言及することになりました。スターリング・ルビーstudioのパンチの効いた服をあえてセットアップでスーツとして着用するというスタイルはその後の私の定番の1つになりました。

 ネット通販 やらせレビュー(2019年10月4日放送)
やらせレビューはコミュニティの信頼に寄生する泥棒行為だ、、、ということで、この回のTシャツはRadio Headの”Hail to the Thief(泥棒万歳)”のアルバムジャケットが印刷されたものです。このファッションに対する指摘は皆無で、失敗したスタイリングです。Tシャツ自体、ジャケットの一部を全面に拡大プリントしたものなので、分かりにくいことが一因かもしれません。。。

過熱する不動産投資に異変(2019年10月9日放送)
アーカイブが消えていますね、、、なにかあったのか?そしてファッションも思い出せない。。。(その後追記)コメント頂き、写真を見つけました。ありがとうございます。三方良しを目指そうということで、三本の帯が肩に掛かった服を着用しています。

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 一般病院の身体拘束(2019年10月16日放送)
多数の出演者を呼んで討論をする、という珍しい企画でした。出演者が多いため個別カットの写真はありません。写真の断片から思い出すと、ギフテッドの時も着用した”拘束”をイメージするレザージャケット、インナーには”開放”をイメージするジャクソンポロックのペインティングをプリントしたTシャツを着用しています。番組の主旨である、身体拘束、是か非か(Pros and Cons)を表現したのだと思います。

 長引くひきこもりの陰で(2019年10月30日放送)
長期のひきこもりの一定割合に、発達障害が合併していたことを追った回です。メンタルヘルスへの理解を促進することを目的として展開されるシルバーリボンを示すために、シルバーのリボンタイを着用しています。以前、頂いたシルバーリボンのピンを着用しようと考えたのですが、小さくて判別できず、リボンタイを着用することになりました。

 もしもし革命進行中 今電話になにが?(2019年11月20日放送)
電話を嫌う人達が若年層に増えていることをうけた企画です。漫画の台詞の吹き出しが様々なパターンでプリントされたTシャツを着用しています。ぶつかり合う台詞が、もしもし革命感を、、、そして何故だか室内でダウンジャケットを着ています。レザー、ベルベット、ナイロンなどのパッチワークでつくられたダウンジャケットで「いろいろな手段(SNS,メール,電話)を状況で組み合わせて使っていきましょう」というメッセージだったと思います。しかし、室内でダウンジャケットは暑かったです。

 緒方貞子 今を生きるあなたへ(2019年12月11日放送)
緒方貞子さんやアマルティアセンの「人間の安全保障」が軸となり生まれたSDGsへのリスペクトを示すための服装です。”持続可能性”の象徴である地球をイメージするスターリングルビーの上下を着ています。またインナーも含めて国連カラーの青に統一しています。

「服装の意図」については、長らく更新をサボっていたため、今回はここで区切りたいと思います。改めて振り返ると、モチーフが稚拙なもの、誰にも伝わらなかったもの、などいろいろと改善点を感じました。ファッションをどのように位置づけていくか、引き続き皆様と模索していければと思います。

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