宮田裕章

慶應義塾大学

宮田裕章

慶應義塾大学

マガジン

  • 未来社会のビジョンから、現代を考える

    クローズアップ現代に出演させて頂いている中で、時間の都合上伝えきれなかったこと、そしてその背景にある未来社会のビジョンについてお話します。

最近の記事

地域と共につくる未来

この度2024年4月開校を目指し「飛騨高山大学(仮称)」を設立する予定であること、また私が学長として就任する予定であることを公表させて頂きました。 飛騨高山大学は教育を軸にした多様な実践を通じて、地域から世界につながる新しい未来の共創に貢献していきます。私たちは地域の価値を共に大切にして、関わる人々と互いを尊重しあい、新しい社会につながる多様な豊かさを創造する人材を育成したいと考えています。 この大学では、高校を卒業した学生のみならず、社会人が学ぶ場も各地に提供をしていく

    • まちと人々を包み込み、多様性が響き合う未来

      (2021/05/28 写真追加、2021/02/13文章作成) 創業300年の白井屋が新たな食文化とアートの発信源である白井屋ホテルとして蘇りました。万博プロデューサーとして同僚である藤本壮介さんのデザインということもあり、感染対策を行った上で訪問して参りました。 このホテルを巡るユニークな体験は数多くありますが、圧倒的なものの一つが、大通りから本館「the lounge」に入った時に広がる吹き抜けの空間体験です。 天井から光を取り込む四層吹き抜けの空間はそれ自体強いイ

      • 2021年1月の緊急事態宣言に向けて共有したいこと

        A.医療か?経済か?の分断から抜け出すために 現状の特措法の枠組みの中で、感染拡大を抑えるためには、出来る限り多くの人々が納得してブレーキを踏むことが重要です。新型コロナウイルスの流行の第1波以降、多くの場面で議論がこじれる元になっているのが、医療か、経済か、という2項対立です。ここで医療側に近い位置づけにいる私から改めて強調したいのは、経済の停滞によって失われる命も同時に新型コロナウイルスの感染症対策の一環として考える必要があるということです。 行動制限や自粛要請で発生

        • 未来を拓くために、これまでの文化とどう向き合うか?

          12月9日に「日本文化の世界発信」をテーマにしたWeekly Ochiaiに出演させて頂きました。”営業終了後の無鄰菴をお借りして、お庭をライトアップする”という贅沢な空間の中で、感染対策を行い開催しました。ここで少し補完したいのは、途中なんとなく対立軸に見えた矢島さんと落合さんの論点は視点を変えると高め合うものだということ、そして「枕草子」の魅力です。 日本文化の世界発信を考える上で「世界に認めてもらうには?」という、落合さんの問いは大切です。「一時期の日本の文化に世界が

        地域と共につくる未来

        マガジン

        • 未来社会のビジョンから、現代を考える
          12本

        記事

          「おいおい宮田、お前スーツなんて着てないだろ!?」と思った方に読んで頂きたい文章

          この度「スーツ・オブ・ザ・イヤー2020 イノベーション部門」を受賞させて頂きました。イノベーション部門ということで、これは私一人の力ではなく、ともに企画に取り組んだアカデミアの方々、同じ志で活動した企業の方々、社会のために共に尽力した行政の方、協力を申し出てくれた多くの友人達の力によるもので、改めて深く御礼を申し上げます。 その上で、やはり頭をもたげるのが冒頭の「おいおい宮田、お前スーツなんて着てないだろ!?」という疑問です。この髪型になってから、スーツを着る度に「初めて

          「おいおい宮田、お前スーツなんて着てないだろ!?」と思った方に読んで頂きたい文章

          最大「多様」の最大幸福 The Greatest happiness of The Greatest “Diversity”

          10月29日にデジタル庁の方針を検討するWGにて、有識者としてプレゼンテーションを行ってきました。既に多くの方々の打ち込みにより、基本事項は共有されているので、更に未来をみて今回のポイントは2つです。 1.国や行政のあり方を問い直す デジタル化はあくまでも手段であり、アナログのデジタル化という点だけに囚われると失敗する。デジタルという選択肢の中で、国の新しいあり方を考えるべき。その中で最も重要なコンセプトの1つが、最大多数の最大幸福(The Greatest Happine

          最大「多様」の最大幸福 The Greatest happiness of The Greatest “Diversity”

          体験価値まで踏み込んだデジタル化が”今”必要な理由

          今週のWeeklyOCHIAIは「教育格差と自己責任論」がテーマでした。佐々木さんをいつも以上にもやもやさせてしまったことを申し訳無く思いますが、この点については、共演した松田さんが御自身のnoteで論点を整理しています。 デジタル化という変革が日本に今重要な理由はいくつかあります。その中でいくつか挙げるとすれば“コロナとの対峙の中でデジタル化の遅れを人々が認識した”、”全世界がデジタルトランスフォーメーション(DX)という新しい変革の中にある”、という2点があります。前者

          体験価値まで踏み込んだデジタル化が”今”必要な理由

          新型コロナウイルス第2波、その先の流行と向き合うために

          LINE社と連携した第5回「新型コロナ対策のための全国調査」の結果が公表されました。調査の概要は厚労省のページに公表されています。この調査から第一波と何が違うのか?これから何に気をつけなければいけないのか?について解説したいと思います。 1.第2波の感染はどの程度拡がっているか、3月の流行と比べて何が違うのか 表に8月12日時点(第5回調査)での4日以上の発熱が続く人の年代別の割合、それと対比する形で4月1日時点(第1回調査)の年代別の割合を示しました。8月のこの時期は熱

          新型コロナウイルス第2波、その先の流行と向き合うために

          場と共鳴するファッションは可能か?

          今回はファッションについてお話します。大分時間が空いてしまいましたが、クローズアップ現代に出演する時の服装の背景です。フリーな場におけるファッションについてはNewsPicksのシゴテツ第三回でお話していますが、クロ現においては場へのリスペクトとしてファッションを選んでいます。各回のテーマを選定したスタッフと視聴者へのリスペクトを込めて、テーマと響き合わせることを試みているのです。 自分自身の写真がひたすら並ぶページもなんだかイマイチだったので、服装の写真へのリンクは、小項

          場と共鳴するファッションは可能か?

          2025年大阪・関西万博のテーマ事業プロデューサーに就任しました

          今回の万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」であり、私の担当するテーマは「いのちを響き合わせる」です。新型コロナウイルスが到来し、世界各国は退路のない変化の中で新しい社会像を模索しています。それは時に資本主義のもたらす格差であったり、民主主義の在り方であったり、短期の経済成長と将来世代への負債のバランスであったりと、問いは社会の根本に及んでいます。 こうした時代の変革の波と向き合う中で、世界と響かせあいながら、皆様と新しい社会を、そして未来を模索していきたいと思いま

          2025年大阪・関西万博のテーマ事業プロデューサーに就任しました

          新型コロナ対策:水をかき出すだけでなく、穴をふさぐ対策も必要

          7月に入り東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数が連日100名を超えています。緊急事態宣言前の状況と異なり、2次感染を抑えるために、濃厚接触者にPCRを行なっていることが背景の1つにあります。こうした検査戦略は有用だと思います。一方で経路不明の陽性者が一定割合発生しつづけていることも、注意すべき徴候だと考えています。 このような状況では、2次感染を抑える”水をかきだす対策”だけでなく、感染のリスクを管理する”穴をふさぐ対策”も重要です。この点については、緊急事態宣言後から

          新型コロナ対策:水をかき出すだけでなく、穴をふさぐ対策も必要

          Social Goodで社会を駆動する:Googleと連携した、より信頼できるwebの実現に向けたプロジェクト

          新型コロナウイルスについては未だに解明されていない部分が多く、感染終息についても現時点でも明確な道筋はありません。こうした状況を打開するために世界中で様々な研究や分析が行われ、効果のある治療や予防法などについて、少しずつ明らかになってきています。 急速なスピードで日々情報がアップデートされる中で、信頼できる情報へのアクセスを人々に提供することは、より一層重要です。今回のプロジェクトで私たち専門家チームは、Googleとコンテンツ制作事業者(メディカルノート、メドレー)と連携

          Social Goodで社会を駆動する:Googleと連携した、より信頼できるwebの実現に向けたプロジェクト

          「科学」とは人々を操る神託でもなく、単なる政治の道具でもなく、、、

          新型コロナウイルスに対する取り組みを通して、世界中で「科学」の存在感が高まる一方で、不満や反動もまた高まっています。日本では、専門家会議の廃止が象徴的な出来事でしょう。 6月29日放送のBS1スペシャルでは、世界が科学と共にどの様にウイルスと向き合っていたのかを振り返り、これからのフェイズを乗り越える為には何が必要なのかを展望します。 今回は私とアナウンサーの合原さんがMCを務め、ゲストに感染症臨床医の立場から高山善浩さん、政治学の立場から牧原出さんをお迎えします。50分

          「科学」とは人々を操る神託でもなく、単なる政治の道具でもなく、、、

          接触確認アプリCOCOA、現状のダウンロード数より気になること

          中央公論へ寄稿した文章が、Yahoo!ニュースに一部抜粋され、そして謎の冒頭文(未監修)が加わったことで、宮田は”接触確認アプリCOCOAのダウンロード数を気にしている人”という位置づけになっているようです。従ってここに現時点での意見を書いておきます。(相変わらずYahoo!ニュースのコメント欄は...) 結論から申し上げると私は、”接触確認アプリを重要だとは感じていますが、現時点のダウンロード数をそれほど気にしていません”。理由の1つはAppleのFAQにあります。 今

          接触確認アプリCOCOA、現状のダウンロード数より気になること

          分断の時代において、国際協調以外に必要な視点は何か?

          6月12日より国際文化会館の理事(無報酬、非常勤)に就任しました。国際文化会館は、日本と世界の人々の間の文化交流と知的協力を通じて国際相互理解の増進をはかることを目的に設立された非営利の民間団体です。 一方で、これからの国際相互理解を考える上でも、世界が置かれている現状を踏まえることは必須です。新型コロナウイルスは、全世界の経済と社会に大きな影響を与え、各国は混乱の中で様々な課題と対峙しています。 その中でも、現時点で最大の感染者数と死者数となっている米国が向き合うBla

          分断の時代において、国際協調以外に必要な視点は何か?

          評価軸のパラダイムシフトが必要な時

          5月27日放送のWeeklyOCHIAIでは、「インターネットの息苦しさを考える”SNSの罪と罰”」というテーマで出演させて頂きました。9人という出演者と広範なテーマだったため、少し論点を補完させて頂きます。時間の都合上解説が不十分だった部分については、本日公開されたNewsPicKsのシゴテツ第5回に偶然ながら解説があります。 朝起きて私がコメントを閲覧して驚いたのが、本日の公開であるのにも関わらず、私が追加して補完しようと思っていた点が、既にユーザーの方々のコメントで適

          評価軸のパラダイムシフトが必要な時