欧州のアグリ・フードテックで強い分野はどこか？ ー アグリフードテックのイノベーターは以下に挙げる3つのカテゴリーでスタートアップを立ち上げる傾向が強い
欧州のアグリフードテックはどのような分野のスタートアップが多いのか、について最新の情報がありましたので、共有します。
以下のアグリフードテックカテゴリーの共通点は？
植物由来の原料
受粉とミツバチ技術
メタンガス削減ツール
AgFunderとFoodbytesの新しい調査によると、これらはすべてヨーロッパのアグリフードテック・エコシステムの強みである。
Rethink World Agri-TechとFuture Food-Tech会議のために大勢の人々がロンドンに集まる中、AgFunderとFoodbytesはそれぞれのデータセットを掘り下げ、ヨーロッパのアグリフードテックの状態に関する新たな洞察を見出した。
Foodbytesは、持続可能な食品と農業ソリューションを開拓する新興企業、企業、投資家のためのオンライン接続ハブであり、調査結果を明らかにするために1,500以上の新興企業のデータベースを掘り下げ、AgFunderはFoodbytesの調査結果と2012年までさかのぼる関連投資データを相互参照した。
ここでは、インフォグラフィックスを交えて、3つの重要なポイントを紹介する。
1 - 植物由来の新興企業への投資は、2022年には世界よりも欧州の方が弾力的であった。
植物由来製品に対する投資家の関心がここ1年ほど低下していることは周知の事実であり、その結果、このセグメント全体で新興企業の閉鎖や評価額の引き下げが行われている。この背景には、味や栄養面で宣伝文句に見合わない植物性製品に対する消費者の関心の低下を示す消費者データがある。また、市場が冷え込み、超高額バリュエーションが正常化するにつれ、ベンチャーキャピタル全体の投資が後退した結果でもある。
「植物由来」のソリューションを売り物にする新興企業への投資は、2021年の記録的な高水準に比べ、2022年には半減したが、この分野への欧州の投資は、前年比わずか8％減と勢いを維持し、若干良い結果となったようだ。
興味深いことに、2012年以来、ヨーロッパの植物由来の新興企業への約7億ドルの投資のうち36％が2022年にも行われている。AgFunderのデータによると、全世界の植物由来の新興企業への投資はわずか15％である。
Foodbytesによると、650社からなるヨーロッパの新興企業データベースの17％が植物由来のカテゴリーに属しており、この地域では農場管理ソフトウェア*に次いで2番目に人気のあるカテゴリーとなっている。AgFunderで最も成功した植物由来の新興企業のひとつは、スロベニアのJuicy Marblesである。
2.ヨーロッパのスタートアップは、家畜からのメタン排出に取り組んでいる可能性が世界的に見ても高い。
国連環境計画（UNEP）によると、メタンは強力な温室効果ガスであり、現在の地球の気温上昇の約30％を引き起こしている。メタン排出の40％以上は農業によるものと推定されている：UNEPによれば、32％が畜産業から、8％が稲作から排出されている。
小規模ではあるが、アグリフードテックの新興企業は、飼料や添加物によって家畜のメタン排出を削減する方法を模索している。多くの場合、消化中に排出されるメタンの量を制限することが理解されている海藻ベースの原料を使用している。AgFunderのポートフォリオ企業であるオーストラリアのCH4 Globalや、同じくオーストラリアのProAgniなど、このカテゴリーの新興企業は世界各地に存在するが、Foodbytesのデータではヨーロッパの新興企業の比重が高い。
Foodbytesのデータベースでは、このカテゴリーに属する世界の新興企業41社のうち、欧州の新興企業13社を特定している*。
しかし、このカテゴリーの新興企業は、アグリフード技術投資のパイに占める割合はまだ小さく、2012年以降の投資額はわずか8,000万ドルに過ぎない。
3.欧州の新興企業は、受粉やミツバチ関連の技術を発展させている可能性が世界的に見ても高い。
ミツバチや受粉媒介者は作物の生育サイクルに欠かせない存在だが、現代の農法、特に化学物質の使用はその個体数に悪影響を及ぼしている。これは農作物だけでなく、生物多様性にとっても悪いニュースだ。
さまざまな新興企業が、BeeHeroのようなハチの巣や活動をモニターして持続可能性の向上に役立てるソフトウェア、センシング、IoTツールでこの課題に取り組んでいる。
Foodbytesのデータによると、欧州の新興企業は世界平均の2.26倍もこの分野の技術を進めている。同ハブでは、この分野の世界22社のうち、欧州のスタートアップ9社を特定している*。
とはいえ、この分野の新興企業は2012年以降、世界全体で1億5,000万ドル強の資金を調達したに過ぎない。
*Foodbytesのデータは、世界の1,500以上のスタートアップから構成されるハブの母集団に基づくものであり、世界のスタートアップの人口統計を完全に代表するものではない可能性がある。
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