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MAKIE MIX8レビュー――MAKIE 402VLZ4、YAMAHA MG06との比較
マイクロコルグのLINE INにギターを入れて、その信号をスルーする設定で何とかなってしまっていたので、ミキサーは買わずにいました。
しかし、そのマイクロコルグが一年もたずに故障してしまいました。
KORGが想定していない使い方をしていたせいだとすれば、LINE INにギターを入れていたからだろうと思い、一念発起してミキサーを購入しました。
私自身コレが初ミキサーなので、「他と比較してどうか」ということを語ることはできません。
そこで、私が探してきた情報をもとにしつつ、ライブルーピングのためのミキサーという視点からレビューしていきたいと思います。
ライブルーピングするのに、楽器が増えたからミキサー欲しいって人の参考になれば幸いです。
ミキサーとしての素性
MACKIEはミキサーやスピーカー、レコーディング機器をはじめとした音響機器ブランド。コンパクトミキサーの名機と呼ばれる「CR-1604」は、高品質ながら小型軽量化を実現し、値段もお手頃。マッキーから「パーソナルミキサー」「パソミキ」という新カテゴリーが生まれました。ユーザー視線に立った製品開発により、世界各国でその品質と信頼性は高く評価され、プロオーディオの第一線において幅広いラインナップの製品が活躍しています。
サウンドハウスによれば、こういうメーカーらしいのですが、そのMACKIEが出しているアナログミキサーの中でMIXシリーズは最も安価なもの。
入力数とその他こまごまとした違いで、MIX5、8、12FXと3つラインナップが存在します。
真ん中のサイズ・入力数のMIX8はマイク×2、ステレオ×2で6入力、それに加えてRCAステレオ入力、ステレオAUXリターンがあります。
つまり入力は合計10端子ついている計算です。
ただまぁ、AUXリターンはギターアンプでいうところのセンドリターンのリターン部分なので入力8端子と考えて、MIX8という名前なのでしょう。
メインとなるマイク×2、ステレオ×2で6入力にはMACKIEオリジナルのプリアンプが付いており、80Hzシェルビング(Low)、2.5kHzピーク(Mid)、12kHzシェルビング(High)の3バンドEQが存在。
ただし、ハイインピーダンスなギターやベースは直接つなぐことはできません。
いや、できるっちゃできるんですが、かなりハイが落ちます。
ちなみに上位機種のVLZシリーズでは、このプリアンプがONYXプリアンプというものにアップグレードされております。
が、EQはローカット、Low、Highに変更されています。
VLZシリーズという明らかな上位機種があり、その最大の違いはこのプリアンプなわけですが、だからといってMIXシリーズのプリアンプの音が悪い、とは全く感じませんでした(後述)。
競合するものとの比較――購入時に検討した事項
恐らく、ミキサーの購入を検討されている方は、自分の考える用途が可能か、という点を重要視しているかと思います。
それだけ、ミキサーごとにできることが異なります。
そこで、自分がMIX8を購入する際に比較検討したミキサーとの違いを表にしてみました。
ちなみに、MACKIE 402VLZ4、YAMAHA MG06だったので、この三機種を比較してみます。
最終的に決め手になったのは、AUXセンドリターンがMACKIE MIX8に存在する点。
AUXセンドリターンがあれば、AUXセンド→ルーパー→AUXリターンとつなぐことができます。
こうやってミキサー内で完結させると、録音時にAD/DA変換されないので、そこが魅力でした。
AUXがないと、ミキサー→ルーパー→オーディオインターフェースとミキサーとオーディオインターフェースの間にルーパーが挟まってしまいます。
もちろん、私のオーディオインターフェースはUR242で4インプットなので、
ミキサー→ルーパー→オーディオインターフェース(インプット3,4)
ミキサー→オーディオインターフェース(インプット1,2)
とアウトを分けるという手もあったのですが……。
こうするとどうしてもどちらかはプリアンプを2つ通ってしまいます。
またこのルーティングだと、ライブルーピング時のモニターがどうしてもオーディオインターフェースからのアウトプットになるので、AD/DA変換されてしまいます。
もちろん、UR242はダイレクトモニタリングができるので、AD/DA変換してもほとんどレイテンシはありません。
が、全くレイテンシがないわけではないらしく、そのごくわずかなレイテンシの分、自分の演奏が走ってるんじゃないか?という不安が実はずっとありました。
ミキサー内で完結させてモニターできれば、そういった微妙な不安が解消されるので、AUXセンドリターンのあるMIX8をチョイスしました。
AUXセンドがバランス接続のモノラルだった、という誤算があるのですが……。
ライブルーピングでステレオな音を多用する人は注意。
プリアンプの音の違い
さて、最も気になる点はおそらくプリアンプの音の違いでしょう。
初ミキサーなので、なんとも言えない部分が少なくないのですが、UR242に入っているYAMAHA D-PreとMACKIE MIX8に入ってるMACKIEオリジナルプリアンプとを聞き比べてみました。
比較してみると、巷の話のとおりYAMAHA D-Preはかなり柔らかい音質だと感じました。
一方でMACKIEオリジナルプリアンプは固い音質です。
こうやって比較するとYAMAHAの方が圧倒的に良いような印象になるかもしれませんが、MACKIEの方がより細部が聞き取りやすいと感じました。
YAMAHAの方は、悪くいうとローもハイもMACKIEに比べるとぼやけているというか。
MACKIEの方がシュッとした音でストレートな印象です。
そのため、私はMACKIEオリジナルプリアンプの方が良いと感じました。
まぁ、この辺は好みですが……。
VLZシリーズのONYXプリアンプは上位機種のようなので、よりはっきり明瞭な音になるのでしょう。
単なる私の予想ですが。
ONYXプリアンプはレンジが広いとレビューしている記事もありました。
現在のルーティング
というわけで以下が現在のルーティングです。
こんな感じ。
要するに、すべてのインプット・アウトプットをMIX8にまとめている状態ですね。
オーディオインターフェースはプリアンプのないチャンネルにつないでいます。
また、メインスピーカーをメインアウトにつないでライブルーピングをしようとすると、どうしてもハウリングを起こしてしまうので、CR OUTにつないでいます。
スピーカーとヘッドホンの音量が共有になってしまうという不便さがあるのですが……。
ちなみに、ライブルーピングする際にAUXセンドリターンを使うなら、ポストフェーダーとプリフェーダーの違いは気を付けておく必要があります。
プリフェーダー、つまりチャンネルのボリュームの前にAUXセンドがある場合、直接メインアウトに行く信号をゼロにすることができます。
中の信号の流れで言うと、こんな感じ。
何も複雑なことはありませんね。
しかし、ポストフェーダー、チャンネルのボリュームの後にAUXセンドがある場合は、直接メインアウトに行く信号をゼロにしてしまうと、AUXに向かう信号も切れてしまいます。
そのため、次のような形になってしまいます。
信号がパラレルになってしまうので、できればルーパーはドライ音をゼロにして、録音された音だけを出力する設定にしておいた方が良いかと思います。
ちなみに、BOSS RC-1はそれができないので、私はルーパーに録音されたものの音量を2倍程度に上げて、ドライ音と録音された音のバランスをとっています。
ポストフェーダー、プリフェーダーの違いはどちらがいいというのはないと思いますが、ライブルーピングであればプリフェーダーの方が使いやすいとは思います。
ちなみに、安価なミキサーでプリフェーダーのAUXが付いているものは見当たりませんでした。
というか、安価なミキサーでAUXセンドリターンがあるのは、多分MACKIE MIX8だけですね。
最後に
長々と書いてきました。
何ていうか、ライブルーピングで複数の楽器を使うならやっぱりミキサーはあった方が良いかと思います。
音が良くなる可能性も高いでしょうし、ミキサーの触りやすい位置にEQがあるので、帯域のかぶりを避けることにも役立ちます。
また、MIX8はかなり安い機種になりますが、使えない音だとか、そういうことは全くありませんでした。
最終的にいいたいのは全体の音が良くなりましたよ、というお話です。
試奏して買えない分、すごく不安だったのですが、一安心。
全体の音が良くなりました。
全体の音、そうなんです、PCで音楽を再生した際の音も明瞭になりました。これはうれしい誤算でした。
UR242の出力ってそんなにダメだったの?っていうか、なんで良くなるのか、その仕組みは分かりません!
分かる方がいれば教えてください。