かつて夫が推しだった私へ~無職の夫と私の記録~ #7
意図せず夫の推し活を卒業してしまった私は、美しい声の持ち主「A君」と出会ったことで、推しをあっさり乗り換えた。
新しい推し『A君』は、とある歌い手グループの中心メンバーだった。
A君は主にツイキャスやYouTubeなどを活動の舞台としている。
つまりテレビ世代である私の友人に、A君を知っている者はいなかった。
そしてA君のファン層は10代~20代。
…40歳が目前に迫っている私にとって「推しても良いのか」という後ろめたさも出てくるほど若かった。
でもA君の配信を聴けば聴くほど『夫に恋していた自分の気持ち』が、『高揚感』が、蘇ってしまうのだ。
「最近、ずっとニコニコして家庭を明るくしてくれているね」
A君を推し始めて1ケ月が経った頃、夫からこう言われた。
その日は2人で久しぶりにワインを飲んでいたのだが、私は夫の言葉に内心焦っていた。
「実はさ、私、自分の機嫌は自分でとれるようになってきたんよ。
あ、洗濯物干すの忘れとった!」
そう言って夫の隣から立ち上がると、ずっと耳の奥でズクズクと心臓の音が響いていた。
「世の中の奥様方って、こんな感じで浮気がバレるのかな?」
浴室で洗濯物を干しながら、そんなことを考えていた。
…が、すぐに首をふって
「推し活を浮気みたいに感じる私も、だいぶ迷子だ」
と自分の感情をしっかり訂正した。
#8 に続く
※実在する推しA君の正体はこちら
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