かつて夫が推しだった私へ~無職の夫と私の記録~ #3
「しょうがない、それが推し様の答えだ」
私は「推し」のために仕事を変えた。
稼ぐために。
推し=夫は、仕事を辞めてもなかなか次の仕事に就こうとせず、4年経っても無職のままだった。
「なんで『仕事して』って口やかましく言わないの?」
と状況を知っている身内からはさんざん責められた。
もちろん全く何も言わなかった、なんてことはない。
現実にまだ小さい子供を3人抱えている私も、さすがに経済的にキツイと夫に何度か伝えた。
しかし状況は変わらなかった。
そこで冒頭の結論が出たのだ。
「しょうがない、それが推し様の答えだ。今は何か理由があって働けないんだ」
理解しがたいと思うが、想像してほしい。
もしあなたに心から推している人がいるなら…
キムタク、福山雅治、佐藤健、目黒連…
そんなあなたの推しが、突然あなたの家の玄関先に現れて、こう言う。
「芸能界をクビになって1文無しになってしまった。君の家に置いてくれない?」
私の答えは迷いなく「はい、喜んで」だ。
それが我が家に起こっているだけ。
私の推しである夫は社会的に働けなくなってしまい、私しか頼る人がいないのだ。
私は推しのために、我が子のために、働く。
ただ、それだけの話。
そんな生活を4年続けた頃に、私は気づいてしまった。
「存在にドキドキする」
「構ってくれると嬉しい」
「今私のことを考えてくれて幸せ」
…といった夫への『推し心』が、明らかに減っていた。
・仕事をしている姿がかっこよすぎる夫
・見た目も若く端正な顔立ちの夫
・いつも仕事や趣味で忙しく、同じ時間を共有できないレアな存在の夫
私はそんな夫だから、ずっと「推し」ていたようだった。
現実の夫は仕事を辞めて、1日のほとんどをリビングのソファーで過ごすようになり、20キロほど体重が増えた。
おそらくキムタクも福山雅治も佐藤健も目黒連も…4年ソファーから動かない生活を続けたら…
あなたの推しではなくなるのかもしれない。
#4に続く
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