かつて夫が推しだった私へ~無職の夫と私の記録~ #1
私の推しは、たしかに『夫』だった。
夫とは20歳で初めて出会い、28歳で結婚。
29歳・30歳・31歳と3回の出産を経ても、私の推しは夫だけ。
母性が欠けていると思われても、はっきり言えるのは「夫が1番大好き」。
そんな私だったが、40歳を目前に転機が訪れた。
夫以外に『推し』ができたのだ。
相手は…一般人やホストでなかったことが幸いだった(笑)
新たな推しとは、とある歌い手グループの1人。
たまたま聴いていた音声配信で耳を奪われ、素敵な声に恋してしまった。
「あ、初めて夫に出会ったときと同じだ…」
…約20年前を振り返る。
夫とは私が大学2年生の時にアルバイト先で知り合った。
初めて夫の顔を見た時の印象は「私の理想がギュッと詰まった人」であった。
端正な顔立ちと独特な雰囲気、何より大きな目が印象的で「吸い込まれるような瞳」とはこのことだ!と、少女漫画めいた感情を抱いたのを憶えている。
当時夫には美人(でギャル)な彼女がいたため、報われない恋をしないよう必死に「好き」を抑えていた。
しかし『彼氏いた歴0ヶ月』な少女漫画オタクの私が、自分の恋愛感情をコントロールするのは無理な話だった。
夫にはダダ漏れの「好き」という感情。
夫を目で追う、夫のシフトを確認する、夫の声に耳を立てる…
そんな不器用で純粋を通り越した夫への愛情は
アイドルに向けられた『推し活』に近かったんだと今は思う。
ではなぜ19年間欠かさず「夫の推し」をしていた私が、39歳にしてあっさり引退してしまったのか…
そんな心変わりしてしまった過程を綴っていくことにする。
#2 に続く
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