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幸せになるために~あとがき(後編)~

何のために自分は生まれてきたのだろう。
だれでも一度くらいはそう思ったことがあるのではないだろうか。

何のために生まれてきたのか。その答えのひとつは、幸せになるためだと思う。だが、いったい、幸せとはどんなことなのだろう。家族や親しい友達がいることが幸せ、という人もいるし、独りを謳歌することこそが至福という人もいる。自由に使えるお金が潤沢にないと幸せを感じられない、という人もいる一方、金銭的な余裕はなくとも心が充分に満たされている人もいる。幸せを感じる基準は、一様ではないのだ。

ずいぶん昔にどこかで知った、ニューメキシコで暮らす中年夫婦の話をしたい。
夫婦は、それまでの生活をすべて捨てて、キャンピングカーでニューメキシコにやってきたそうだ。そこはUFOが頻繁に目撃される場所である。夫婦は、UFOとともに残りの人生を生きようと決めてきたのだ。
夫婦は言う。
「今日はUFOに会えるかもしれない。そう思うだけでワクワクするし、ハッピーなんだ。実際UFOに会えたときは、もう最高にハッピーさ」

夫婦は毎日、広々とした夕空の下に佇んで、空を見上げたり、遠くを眺めたりする。空にUFOが浮かんでいるかもしれない、どこからか姿を現すかもしれないと心を躍らせながら。大空の下には、目の届くかぎり平原が続き、そのはるか向こうには、眠る巨人のように山々が横たわっている。そうした雄大な景色の、小さな点として生きながら、夫婦は幸福感に満たされていた。

夫婦は、心が満たされるもの、幸せだと感じられるものを、はっきりわかっているのである。UFOが実在するかどうかといった論争や他人の揶揄は、夫婦にはまったく無意味だろう。

幸せとはこういうことではないだろうか、と思う。人生の質を決めるのは、出来事が事実かどうかではなく、その出来事をどんなふうに感じて、自分の真実とするかだと思うのだ。この夫婦にとっての真実は、UFOである。それは、人生をワクワクさせてくれるものであり、心を充実させてくれるものなのだ。

あなたにとってのUFOはいったい何だろうか。もしも、見つけたいのに見つけられなかったり、生きることが虚ろに感じられているのなら、一度、前世療法を受けることを考えてみてもよいのではないかと思う。この夫婦のように、あなただけの真実を見つける手がかりが、前世療法をすると見えてくるかもしれないからだ。
あなただけのUFOを見つけてほしい。セラピストとして前世療法を施療するとき、私は心のどこかにその祈りがある。
「今度生まれ変わったら、あなたはどんなふうに生きたいと思う? 」
前世療法の終わりに問いかけると、クライアントの口からは次々とことばがあふれてくる。そのことばにこそ、どんなことをしたくて自分は生まれてきたのか、という自問へのヒントが宝石のように散りばめられている。そしてそれが、その人だけの真実に近づく道しるべになってくれるはずだからだ。

ところで、この本の冒頭で、ソウルメイトA氏との出会いを書いた。当時の「あとがき」でも触れている。あれから20年という月日が流れる間に、A氏とはどうなったの? といった質問も何度か受けてきた。
ソウルメイトなどについて書かれた物の本によると、一生何らかの形でともに生きる相手らしいし、私も本の発刊から2年ほどは、そうした先入観から完全に自由になれずにいた。実際、私がA氏と一緒に生きるという決断さえすれば、名実ともにそうなったろう。ただし、セラピストを続けるのは難しくなるのもわかっていた。
そんな人生はいやだった。だから自分の本心に従った。その結果、A氏との関わりはなくなった。

エピソードの、「NO.2 はじめての前世療法~セスとのチャネリング、始まる~」の中に、次の数行がある。

私はその人が遠くから近づいてきているのがわかった。
セラピスト「それは、誰?」
私    「顔はまだ見えない」
 ただ遠くからやってきている。誰なのかわからぬまま、私はその人に感じる最も近い言葉を捜し、そして探り当てた。
私    「私の、同胞」

この同胞というのが、現在の夫である。現実世界で彼と出会ったのは、このセッションから数年後のことである。つまり出会う数年前に、変性意識状態で彼の姿をぼんやり見ていたのだが、それを私はすっかり忘れて生活していた。あるときハッと思い出し、「私の、同胞」と自分で答えていた人物と彼とが一致したときには、本当に驚いた。これも嘘のような本当の話である。

人生の激動期にA氏と出会ったことで、私は、私が望む新しい人生の扉を開くことができた。A氏は、そういう役割を担ってくれたのである。
もし、あなたの魂が相手をソウルメイトだとはっきり認識したとしても、「ソウルメイトとは~になるべき」「ソウルメイトだから~になるはず」といった先入観にとらわれないでほしいと思う。私の例のように、あなたの心眼を開かせ、あなたがたどるべき道へ導いてくれるキーパーソンとして現れることがあるからだ。

私は、先入観を捨てて本心が望む方向へ進むことが、幸せを引き寄せるすべてだなどとは思っていない。ただ、他人に左右されないあなただけの真実があり、それがあなたに聖なる幸福をもたらしてくれるものだと、心のどこかで少しでも思っていただけたならば、この本の改訂も無駄ではなかった気がしている。

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2004年発行の拙著『前世療法でわかったアトランティスとムーの真実』(たま出版・森庭ひかる著)の改訂版です。古い本のため、原本は完売&絶版…

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