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My Bloody Valentine「When You Sleep」
夢を持てば持つほど、何者かになりたいと思えば思うほどに、本当は何がしたかったのか分からなくなるのかも知れない。
歳を重ねるにつれ、広い視野で物事を考えなければ、現実を見なければと、足下に咲いている四つ葉のクローバーがどんどん見えなくなっていく。
僕の幼稚園の頃の将来の夢は、「大人になったら犬に進化したい」だった。
犬が好きだった記憶は微塵も無いのだけれど、当時の僕は犬のことを上位存在だと思っていたのだろう。
なぜ犬に進化したかったのか。
当時の自分に会いに行って1万字の長文インタビューを敢行したいところだ。
「夢やなりたい物なんて、実はそんなに崇高なものじゃないよ」
あの頃の自分が大人びた顔で言っている気がする。
想い描いた何者になれなくても、自分は自分以外の何者でも無い。
犬に進化する方法を考えながら、今日もシューゲイザーを聴く。
My Bloody Valentine「When You Sleep」
歪みすぎたギターのおかげで、リズムも歌声も、時間の流れさえ曖昧に鳴るこの曲はつかみどころがない。
そのつかみどころのなさがシューゲイザーの最大の魅力だと僕は感じる。そして、その真ん中を行くのがマイブラだと思っている。
アンニュイという言葉を使いたくもなるが、なんとなくそれともニュアンスが違う気がするし、不思議な音楽だ。