七福神日誌43

十時起床。
令和七年を迎える。
昨夜は社長、義母、妻と四人で紅白歌合戦を見ながらおせちをつつき、シャンパンや日本酒などたくさん飲まされた。
普段飲まない種類の酒を飲んだせいか朝から体が重く、明日まで七福神が正月休みなので今日は寝て過ごすつもりだったが、二階に新年の挨拶に行くと義母がどんぶりいっぱいのお雑煮を作ってくれて、頑張って食べる。
食後、社長に誘われて社長、妻と三人で初詣に出かける。
電車で宝塚の清荒神へ。
駅からの道は大変な賑わいで、道中、ブドウ飴や明石焼き、甘酒などを買い食い。
妻はさらにからあげを買い食いし、社長もお土産にきゅうりの奈良漬け、名物の堅焼きせんべいなどを買って俺にもたせる。出がけにリュックサックを持っておきなさいといわれたのはこのためだったか。
のんびりした山道を三十分ほどのぼって寺に到着。
ここは正式名称を清荒神清澄寺といい、この荒神様というのが火と台所の神様で、「つまりわれわれ飲食事業者にとって大変におめでたい場所、神様です」と社長に教わる。
それではと、しっかり商売繁盛を願って参拝。
清々しい気分で寺をあとにする。
屋台で熱いチャイを買って飲みながら、さあこれで帰って寝て過ごせると喜んで下山していると、来た時と道が違う。
密集した住宅地に入り、川沿いを抜けて、また広い山道に戻り、社長が当たり前の顔でどんどん先に行くので不安になって妻にたずねると、うちの初詣は三軒まわります、といわれる。
清荒神、売布神社、中山寺と毎年はしごするとのことで、今回もそのルート。
俺は普段からあまり歩かないので既にちょっと筋肉痛になっていたが、諦めておとなしくついて行く。
二軒目の売布神社は衣食財のご利益がある神社で、鳥居をくぐると長い石段があって上から下までの人集り。全て参拝客で、真ん中のほうでしびれを切らした子供たちがグリコをやって遊んでいる。
だれか滑って転がらないか心配していると、社長が石段の手前まで進んでぱんぱんと拍手を二回、丁寧にお辞儀もして、「よしこれでよし、並んでるしね」といって踵をかえす。
呆気にとられていると、妻も同じことをして「よしこれでよし」といって引きかえして行く。
この親子は信心深いのか何なのかよくわからないと思いつつ、俺もその場で参拝をすませてあとを追いかける。
周りの参拝客も驚いていたが、鳥居の前でふりかえると何組か同じように石段の下で手を合わせて「よし」「よし」といって笑っていた。
最後が中山寺。
ここは西国三十三ケ所の第二十四番札所で、とにかくでかく、景気がいい印象だった。
山内にエスカレーターがあってお賽銭はキャッシュレスも可能、本堂のほかに小さな寺院やお堂がたくさんあって恵比寿さんや大黒天など、七福神も全員祀られている。
七福神スタンプラリーというのもあり、そのスタンプを制覇した見本の紙を社長が窓口で買い求めて、紙を渡すので自分で回って集めてくださいとスタッフの方に注意されていた。
本堂と、大黒天のところだけ回って帰る。
西宮に戻るともう夕方で、順番に風呂に入って二階で社長、義母たちとまたおせちをつまむ。
今日も日本酒をたくさん頂き、すっかり疲れて気づいたら妻とコタツで眠っていた。


いいなと思ったら応援しよう!