七福神日誌46

十時起床。
台所にパンがあったので朝食にもらう。
ピザパン、コロッケパン、クリームパンと食べていると、妻がコーヒーをいれてくれる。
むかいで漬物をつまみながらまたへへへ、と笑っているので、何かと思うと、どうやら髪が短くなっている。
重かったので朝一でエクステをとりにいってきた。もう満足したので、あとは一生ショートカットで過ごしますとのこと。
俺も見馴れた妻に戻って何となくほっとした気持ち。
昼過ぎに、あまから手帳の編集の方から連絡がある。
先日本店にきた取材が記事になって発表された。
検索して一緒に読む。
七福神があまから手帳に載せていただくのはこれで二回目で、今回はネット版への掲載。
メインの商品やお店の歴史は前回取り上げてもらったので、こんどは二号店の紹介やマグロの串にスポットが当てられている。
マグロは毎朝中央市場からの直送で、レアめに揚げて、わさび醤油で食べていただくのがおすすめ。
店のスタッフには日によってまかないでマグロ丼も作っているが、これはお客さんのほうで目撃して注文しても出してあげられないので、食べたければうちで働いてくださいといって、毎回、それなら寿司屋で働くわいといわれる。
十三時に家を出る。
今日はサワチーフが朝番で、俺が遅番。
アクタで少し買い物をして十四時には店についているつもりだったが、アクタから駅へあがる階段でふいにお婆さんが転がり落ちてくる。
中段で受け止める。
背中をがんがん打って動けないようで、その場で支えたまま救急車を呼んで待つことになった。
意識はあって、頭をぶつけたりもしなかったらしいのが不幸中の幸い。
連れのお婆さんたちが大慌てでてけてけ降りてきて、救急車を待つ間、どんどん腕のしびれてくる俺をまわりで「お兄ちゃんえらい」「イケメン」「日本一」とずっとチヤホヤしてくれた。
今日はみんなで淡路島から清荒神参りにきたとのことで、なまじ神様に会いに行ったせいで気に入られて、中でも一番かわいいこの人が神様に呼ばれてしまったのかもしれません、美女はな、佳人薄命、などと縁起でもないことを口々にいっていたが、救急車がやってきて、大丈夫、軽傷でしょう、といわれる。
無事引き渡し、お婆さんたちからお礼に炭酸煎餅をもらう。
梅田へ向かう。
店につくとサワチーフがキッチンに玉ねぎ、ゆで卵、酢、胡椒などをひろげて、タルタルソースを作っているところ。若鳥を揚げて試食させてもらい、これはとても美味かった。
若鳥はもちろんだが、ほかにも串の種類によってはきっとタルタルソースとあうやつがあるので、タルタル串定食など、定食をひとつ増やしても面白いかもしれない。
仕事を引き継いで、サワチーフにはあがってもらう。
朝からのユウさん、ムラさん、スギさんと交代で、十七時からタイ、ユアちゃん、妻がやってくる。
十八時頃からこみだす。忙しい。
どうも夜のメンバーがいつもよりひとり少ないと思い、確認するとツツハちゃんが遅刻している。
タイが電話をかけると恋人とデート中だった。
シフトを忘れていたらしく、すぐにきてもらう。
三十分ほどしてすみませんごめんなさいとペコペコしながら現れたが、出先からきてユニフォームのTシャツもないのか、店の隅でしばらく悩んだあと、思いきってピンクのセーターにエプロンという格好で仕事をはじめた。
ひとりだけカフェみたいでちょっと面白かったが、こらと注意して予備のユニフォームに着替えてもらう。
二十三時までの営業。
閉店後、タイと斜めむかいのまついさんで飲む。
おでんをいただく。
大根、牛スジ、もち巾着など。
零時過ぎの帰宅。
台所にりんごがあったので、ひとつ食べて眠る。

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