見出し画像

Oasis / Go Let It Out (2000)

初めて発売日に買った想い出のシングル曲。当時は、今のように細かな情報は入ってこなかったので (ましてや広島のような地方都市には)、限られた情報を元にCDから流れる音に集中して聴いたものだ。まさかベースをノエルが弾いているなんて、当時は考えもしなかった。これまで数えきれないほど聴いてきたが、今でも最高にカッコいいと思う。

この時期のオアシスは、ブリットポップから一転、ビートルズ中後期に焦点をあて、サイケデリックロックへと大きく舵取りをした。” Go Let It Out”は、アルバム” Standing on the Shoulder of Giants”の中でもひときわ輝くリードシングルだ。メロトロンの響きが見事なまでに60年代の雰囲気を醸し出している。冒頭のドラムは、Johnny Jenkinsの” I walk on gilded sprinters”をサンプリング。畝るようなベースラインに意表を突かれたが、なんとノエルが弾いているということで、意外な一面を垣間見ることができる。これらの変化は、メンバー脱退におけるノエルの焦りと新たなアプローチの模索を反映している。ボーンヘッドとギグジーの脱退は、彼らの歴史を振り返るとある意味必然であったかもしれないが、悲しい出来事であった。そんな状況下でも、持ち味のギターノイズは健在で、混沌とした雰囲気を出すのに一役買っている。曲を構成する全ての要素がクールで非の打ち所がないが、やはりリアムの声に尽きるだろう。酒とタバコとドラッグに溺れたリアムの声は、サイケ期の曲に完璧にフィットする。


12 inch 通常盤シングル


B面の”Let’s All Make Believe”がこれまた素晴らしい (日本盤CDにボーナストラックとして収録)。いかにもブリティッシュサイケといったダークな様相。諦観や物悲しさに満ちているものの、リアムの声がなければ成し得ない高揚感がある。この絶妙なバランスをとれるところにオアシスの強みがあると思う。”(As Long As They’ve Got) Cigarettes in Hell”では一変、ノエルの優しい声とメロトロンに包まれ、幸福感にまみれる。どちらの曲も、歌詞からノエルの心境の変化が見てとれるようで興味深い。


UK Promo盤


2000年 Wembleyでのライブ映像を幾度となく観てきた。近年リアムのライブで披露されているが、来年の再結成ライブでもやるだろう。オアシスとしてもう一度聴ける日が本当に待ち遠しい。

いいなと思ったら応援しよう!