ビックマック指数
こんにちは。円安ドル高傾向が続き、アメリカの飲食店で提供されているラーメンの価格が3000円前後であるというニュースが流れ、日本の商品・サービス価格は比較的安いことが話題になりました。今年もこの傾向がつづくのでしょうか。今回はビックマック指数について書いてみます。
1 はじめに
ビックマック指数とは、各国のマクドナルドの商品「ビックマック」の販売価格を、アメリカの販売価格を基準として比較することで、各国の物価や実際の為替レートを評価する指数である。
例えば、日本のビックマック指数であれば、
日本の販売価格(日本円)÷ アメリカの販売価格(アメリカドル)
で算出された為替レート(円建て。1ドル=***円)と、ニュース番組で報道される現実の為替レートを比べた為替相場の現状評価になります。
日本のビックマック指数がマイナスの値であれば、現実の為替レートが過小評価されていると判断し、円高になるだろうと予想できます。反対に、プラスの値であれば、現実の為替レートが過大評価されていると判断し、円安になるだろうと予想できます。これは一物一価の法則と絶対的購買力平価説(Absolute Purchasing Power Parity)に基づきます。
※一物一価の法則:ある時点における同一の商品・サービスの価格は1つである。
※絶対的購買力平価説:ある商品1個の販売価格が日本で240円、アメリカで2ドルであれば、為替レートは1ドル=120円と決まる。すべての財やサービスが自由に貿易できるという前提があり、現実では成立しない。自由貿易が成立すれば、為替レートは購買力平価説で求まる水準に収束し、国家間の価格差が解消される。
2.ビックマック指数のランキング
「世界の経済ネタ帳(2022年7月27日更新)」の掲載資料に基づいて、ビックマック指数のランキングを紹介します。2022年の記録的な円安・ドル高を反映して、日本のビックマック指数は-45.07と算出され、大きいマイナスの値がなり、世界ランキング41位でした。指数に基づけば、他国に比べて日本人の購買力は小さいがわかります。日本人にとっては外国商品を割高に、外国人にとっては日本商品を割安に感じることもわかります。
順位 販売価格 ビックマック指数
1位 スイス 925円 +30.33
2位 ノルウェー 864円 +21.63
3位 ウルグアイ 839円 +18.14
4位 スウェーデン771円 +8.53
5位 カナダ 724円 +1.97
6位 アメリカ 710円 0.00
7位 レバノン 700円 -1.40
8位 イスラエル 682円 -3.97
9位 UAE 676円 -4.84
10位 ユーロ圏 657円 -7.47
:
31位 中国 490円 -30.93
32位 韓国 483円 -32.00
33位 タイ 482円 -32.12
:
40位 ベトナム 406円 -42.78
41位 日本 390円 -45.07
:
43位 フィリピン 380円 -46.51
3.まとめ
前回のランキングで日本は33位で、年々順位を落としています。この数値から判断すれば、日本人が海外旅行に出かけて買い物をしても、割安感は感じることはないでしょう。しかし、日本の輸出企業や訪日外国人観光客にとっては、現在の為替レートは好条件です。各国の金融政策の変更がなければ、この状況は続くことが予想されます。
また、安い価格で日本の商品・サービスが提供できることは、生産過程において企業が人件費等を低く抑え、従業員の給料が上がっていない状況が反映されています。今後の為替レートの動向、物価変動が気になります。日本の購買力や実質賃金は上がるでしょうか。
ありがとうございます。
画像はSM Mall of Asiaのフードコート(2012年9月8日撮影)
参考:2012年9月7日の為替レート:1USD=79.88JPY,1PHP=2.04JYP
2023年3月31日の為替レート:1USD=134.53JPY,1PHP=2.61JYP
USD: アメリカドル,PHP: フィリピンペソ, JPY: 日本円
為替レートは両替所で日本円から外貨に換える時のレート(TTS)
(出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)