
良いインフレ
インフレーションとは、商品やサービスの価格上昇によって、お金の価値が相対的に下がることである。
例えば、昨日まで100円で買えたおにぎりが、今日から160円払わなければ買えないおった状況が、商品・サービス全体でおにぎりと同様の価格上昇が起きている状態である。つまり、食料品や生活用品、交通費代など日常的によく購入する物の価格も上がるため、「消費者」にとっては生活が苦しくなる。特に、年金生活者のように所得が一定である場合、その金額の価値を目減りさせる。
適度なインフレとは、景気の拡大によって人々の購買意欲が高まると、企業など生産者は価格を上げ、売上と利益の増加が見込める。派生需要に伴い、企業は生産や設備投資を増やし、従業員の賃金上昇も期待される。賃金上昇が広がれば、さらに消費が拡大する。このようにインフレは経済成長を促進し、経済の好循環が生まれる。それには、商品・サービスの価格以上に収入が上がることが前提である。これを良いインフレとし、需要サイドに起因する物価上昇をディマンドプル・インフレという。
インフレによりお金の価値が相対的に下がるので、今まで借りていたお金の価値も下がるので、返済が楽になる。国の負債についても、物価上昇がつづけばその実質負担が減る。
日本銀行(日銀)は2013年1月に「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率2%と定め、その実現を目指して金融政策を運営している。
日銀が物価上昇率を2%に目指す理由は、物価安定と経済成長の維持である。経済が健全に成長するための物価上昇率の目安を2%とし、賃金上昇と物価上昇のバランスを保つような政策を実施する。
これに対して、急激なインフレは、賃金上昇が物価上昇に追いつけず、労働者の生活が厳しくなる。また、金利の上昇や為替レートの変動を引き起こし、金融市場の不安定化を招くことがある。原油価格高騰による生産者コストの上昇分を、企業は商品やサービスの価格に転嫁するが、急激な価格変動が起きた場合、企業で対応できず、消費者は買い控えする傾向にあり、企業の利益を圧迫する懸念がある。
物価上昇がしばらく続きそう。個人も企業もインフレ対策に取り組むことになる。
ありがとうございます。