光と糸
玄関が寒い。
60年前の木製のガラガラッと開ける引き戸。
ここから冷気が家に入ってくるので、塩ビのビニルカーテンを吊るした。
少しはましになった。
ノーベル文学賞受賞記念のハン・ガンさんの講演がネットでアップされてた。
いつも、静かな詩の朗読のような、うたうような韓国語の語り口。
意味は分からないけれど、ずっと聞いていたい音楽のよう。
斎藤真理子さん訳で「光と糸」を黙読する。
1つの作品のよう。
ハン・ガンさんの創作に向かう、表現に入って行く、在り方
それは、全身全霊、すべての感覚でもって、捧げらていて、
からだでじっとかみしめながら耐えながら進み紡いでゆく踊りのような年月
ではないか。
小説や文学を志す人間ではないが、何かを作ったり
表そうとしている人間にとって、「光と糸」を読んでいる間、吸い込まれ、ジンジンと響いてくる時間だった。