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ドイツ風味満載の響きにノックアウト& 藤田真央の天才におののいた夜♪
昨夜、サントリーホールにてケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団の日本公演(指揮:サカリ・オラモ ピアノ:藤田真央)を鑑賞。
ドイツの風土に根ざした、驚くばかりの質と厚みの音楽を全身に浴び、一夜明けてもボーっとしています。
前半はソリストに藤田真央を迎えての、シューマン:『ピアノ協奏曲』。
名ピアニストだった愛妻クララのために作曲された作品とのことで、初めて聴きましたが、ロマン派らしい情感あふれる曲です。
ピアノとオーケストラとの軽やかな掛け合い、ピアノソロパートの流麗さがとても素敵。
真央くんの全身で歌っているような弾きっぷりに惹きこまれました。
ソリストのアンコールは、グラズノフ:『3つの練習曲 Op. 31 No. 2』。
ショパンの『エチュードOp. 10 No. 1』を思い起させるような、アルペジオ(分散和音)が連続するパッセージが美しく、うっとりと聴き入りました。
それにしても、アンコールに出てきて、ぺこりとお辞儀をして椅子に座るや否や間髪入れずに弾き出し、弾き終わると同時にすぐ立ち上がって、お辞儀もそこそこにスタスタと淡白に引っ込む姿に、思わず知らず笑みがこぼれてしまうのでした。
念願の真央くんの生演奏を初めて聴けて、彼の奏でる、まろやかでリリカルな音色がとても好きだなと改めてしみじみ思いました。
今注目の若手ピアニストたちの中で、私が個人的に関心を抱いている3人
務川慧悟、反田恭平、藤田真央(とりあえず年齢順)
を、それぞれ生で聴くという夢を、今回でコンプリートできて、感無量。
現時点で私が持っている3人のイメージは、こんな感じかな。
務川くん
繊細にして大胆、根っからの芸術家
反田くん
ビジネスの才覚も併せ持つ、視野の広い俊英
真央くん(何となく、彼だけファーストネーム)
感性の塊、技巧の鬼にして天真爛漫なオーラを放つ天才
さてさて話を戻して、昨夜の後半プログラムはマーラー:『交響曲第5番』
第4楽章のアダージェットが、単独で演奏される機会も多いために突出して有名なので、全5楽章を通して聴いてみて(多分初めて)、曲調の多彩さと有機的なまとまりに、すっかり圧倒されました。
時に軽やか、時に重厚、そして抒情性がとんでもなく豊か。
ピチカートを多用したり、ワルツ調だったり、弦楽器が一斉にうねったりとバラエティに富む曲調が次々に現れ、心を揺さぶります。
中でも第4楽章の揺らめくような美しさときたら!
あんなにもエモーショナルな『アダージェット』を初めて聴きました。
アンコール
シューベルト:劇音楽《キプロスの女王 ロザムンデ》間奏曲 No.3
聴き馴染みのある一曲で、心地いい興奮と余韻を残しながら、コンサートは幕を閉じました。
はあ。本当に素晴らしい一夜でした♪♪
※席に座っているだけでさえ疲労感(心地いいものですが)を感じるのに、指揮者もオケの方々も恐ろしくエネルギッシュだ~と感心することしきり。
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