光あれ ~『テート美術館展』と小説『神の棘』~
「光あれ」と神は言われた。すると光があった。
旧約聖書、創世記の有名な一節です(語順をちょっと入れ替えました)。
今日は「光」についての話題を二つ。
まずは国立新美術館で開催中の『テート美術館展 光』の鑑賞記録です。
「ターナー、印象派から現代へ」という副題の通り、光というキーワードのもと、18世紀から2000年代までの幅広い作品が来日しています。
もともと私の好みは、大体古典から印象派までなのですが、とっつきやすい『光』という主題に導かれて、現代アートを含め全体を楽しめました。
撮影不可と明記されているもの以外はカメラOKでしたので、気に入った作品を展示順にご紹介します。
ターナー作品は、色合いと湿潤な空気感が好きです。
イギリスらしい題材も印象的ですが、額縁が立派で目を惹きました。
ホイッスラーは静謐な画風が独特ですね。
シスレーは、印象派の中でも特に好きな画家の一人です。
現代アートから2点。
カラフルなピースと床に落ちる黒い影の対比も面白いです。
展覧会場の最後を締めくくる華やかな大型作品。こちらも影が効果的です。
さて、今日の「美味しいもの」は、美術館2階のカフェで提供されている、テート美術館展コラボメニューです。
期間限定ウェッジウッド・カフェ
『ウェッジウッド サマーアフタヌーンティー at サロン・ド・テ ロンド』
コースターまでウェッジウッド仕様なのにまず感激。
プチガトーと紅茶がウェッジウッドの食器で運ばれて、テンションアップ!
セイロンティーにちゃんとコクがあり、青をポイントに効かせたプチガトーも一つ一つが美味しくて、さらにご機嫌に♪
数か月ぶりに会う友人と、楽しいひと時を過しました。
Eちゃん、付き合ってくれて、ありがとう!
「光」を巡る話題、二つ目は
須賀しのぶの小説『神の棘』。
第2次世界大戦中のドイツを主な舞台とする、ミステリー要素も幾分絡めた歴史小説です。
片やナチス親衛隊員、片やカトリック教会修道士、道をわかつことになった旧友の二人が、数奇な運命によって幾度にもわたり邂逅。
単純な勧善懲悪では到底割り切れない複雑な状況の中、友愛と裏切り、神への祈りと懐疑が交錯した末、透徹のラストを迎えます。
「絶対的な罪とは決断を自分以外のものに委ねること」
この言葉をかみしめながら、上下二巻の厚い本を閉じました。
ずっしりと重い読後感の残る小説でした。
ナチスの蛮行の幅広さと縦割りの実態にも驚きましたが、カトリック教会、特にヴァチカンの抱える「闇」は知らないことが多く、衝撃的です。
キリスト教やイスラム教など一神教の社会と、日本のように宗教に大らかな社会では、道徳観念、恥の概念など、色々違いがあるよなと比較文明論的なことにも、改めて想いが広がりました。
読書は奥が深いです。