大杉漣さんの命日を前に…ブログより再掲「大杉漣 60歳のフラメンコ♪」
2018年に66歳で亡くなった俳優・大杉漣さんを偲んで開設されたサイト「大杉漣記念館」が一週間後、2月21日の漣さんの命日をもって閉鎖されることが、昨日発表されました。
「大杉漣記念館」は、大杉さんが亡くなる直前、なんと約7時間前まで撮影していたドラマ「バイプレイヤーズ」の劇中に登場した「大杉漣記念館」を実際に作ってほしいという多くの声を受けて、19年2月20日にオープンしたものだそうです。
詳しいプロフィールに年表、出演作品一覧、新聞や週刊誌、ネット上に連載したコラム等の言葉の紹介、そして何とも言えない味のある写真…。
俳優・大杉漣の息遣いを感じることのできるサイトです。
私は今日初めて訪れました。
大杉漣さんというと、10数年続けたブログ(この1月末に閉鎖されたウェブリブログを使っていました)の中で、長期にわたって数多く閲覧して頂いたのが、大杉漣さんご出演のドキュメンタリーの感想を載せた記事でした。
2020年9月4日付の「大杉漣 60歳のフラメンコ♪」です。
以下、再掲します。
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昨日、NHKのBS3chプレミアムカフェで放送されていた2011年の紀行番組「60歳のフラメンコ」を観ました。
一俳優として、一表現者として、大杉漣さんの真摯な姿勢が見られて感動しました。
還暦を前に、死や老いがリアルに感じられるようになり、一方で、まだまだやれるという20代と変わらぬ思い、その両方を胸に抱きながら、年齢を重ねてなお輝きを増すフラメンコの世界に挑戦すべく、スペイン、セビリアに旅立った、俳優の大杉漣さん。
5回のレッスンを受けて、グランド・マエストロと呼ばれる大御所マノロ・マリンさん(75歳にしてなお現役!)にその成果をお披露目することになります。
思うようにフラメンコの技術を習得できない、もどかしさと、俳優として未来に向かう矜持 とに向き合う大杉さん。
今の自分に何が表現できるのか、自分のフラメンコの拙さに苦悩する大杉さんに、指導して下さった大御所の弟子・ベタンソ先生(30代)が、大杉さんのそんな姿を見て、お披露目前夜に一晩で書き上げたという、とても素敵な詩を贈ります。
これが私の孤独だ…
今は離れて静観してみる時だ
いつもひとりでいたいわけではない
でも
私は自分の孤独に魅力を感じる
ひとりでいる事が好きではあるが
それは私を傷つける
しかし
私は私自身である必要を感じ
私自身を感じることができるのだ…
ペタンソ先生はレッスンでこんなことも言っていました。
「体でセリフを言うのと同じだ。
ひとつの動きを体に入れて、それに自分の感情をのせて
見ている人に伝えればいいんだ」
「振りなんて忘れたっていい。」
「毅然としてその時の自分の感情を表現するんだ」 と。
そして、いよいよギターと歌も加わったお披露目。
大杉さんの渾身のパフォーマンスに、ベタンソ先生が涙をぬぐい、大御所をはじめとする皆が賛辞を送る姿が印象的でした。
本物の表現は、国も言葉も年代も超えて、ちゃんと伝わるんですね。
観てよかったです。
それにしても、66歳でふいにいなくなってしまった大杉漣さん。
もっともっとたくさんの作品を観たかったなと改めて思いました。
最後の主演映画「教誨師」での静かな迫力は忘れられません。
今回のプレミアムカフェでは、俳優の宇津井健さんが80歳にして、久々の馬に乗りにスペイン、アンダルシアに行く番組も併せて放送されました。
馬を愛してやまない少年のような姿が、また心に残りました。
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以上 再掲終わり
「記念館」を訪れて初めて知ったのですが、大杉さんは2018年に「現場者(げんばもん)」というタイトルで俳優観や撮影秘話などを綴った本を出していらっしゃいます。
早速図書館で予約し、読んでみようと思います。