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エナジーバンパイヤ。  ただのエナジーに変わる。


「eriさん!!大変です」

エナジーパンパイヤのその後である。
彼は急変に遭遇する。
泡をふく患者。
吐物が溢れている。
オロオロとする彼。

状況を聞いて処置にとりかかる。
彼の発見で、ことなきを得た。
エナジーパンパイヤは、俯いている。
彼はいま、一回り、小さい。


「見つけてくださり、ありがとうございます
おかげでことなきを得ました。」


バンパイヤ田所は、震えている。
そんな今日の午前中。

「怖かったです。」
彼はポツリと言った。


怖かったのかもしれない。
不安に押しつぶされそうな思いが、つっけんどうな原因だったのかもしれない。

「すいませんでした」

彼は謝る。何に対してなのかは、わからない。

でも、私は、何か進んだ気がした。

一つ一つ、エピソードを重ねていく。
どんな仕事においても。
自信につながる時もあるし、
そうでないこともあるだろう。


ある程度病状が落ち着いた患者様を車椅子に乗せた彼は、「外行ってきていいですか?」と、私に尋ねる。


外には、花がそろそろ閉じようとしている、
朝顔が咲いている。


「私も一緒にいっちゃおうかな!」
エナジーパンパイヤは、苦笑いしている。

これだから、看護師は辞められない。
患者様の人生に寄り添う看護。
私たちも、生きている。
エナジーパンパイヤが、
この病院のエナジーになる日も、
ことの他、近いのかもしれない。

私は、小躍りしながらエレベーターに飛び乗る。

ため息の溢れた院内で、
私は思いっきり、深呼吸する。
行ってきます!

半日で元気になるモスキート。今日も絶好調!


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