水戸ファミリーの別れと出逢い,そして暖かいネットワーク
0.テーマ写真について
このご家族は,今シーズンスタジアムで知り合ったサポーターファミリーである.先日行われたブルーミングTシャツ(水戸ホーリーホック最終ホーム戦のチケット兼用Tシャツ)着用イベントで,私が2014年から2017年にかけて求めたものを,「せっかくだから,映えるし,着てもらえないか?」と依頼したら二つ返事で着用してくださった.文字通り,久しく陽の目を見ることのなかったTシャツも,活躍の場を得て,まるで蘇ったようだった.衣装をお貸しして,幸せのお裾分けをいただいた,そんな気がした.ここは,そんな暖かい非日常空間なのである.
1.2022年シーズンの別れ
新卒入団から3年半,水戸のボランチとして成長を遂げ,今季キーマンとなっていた平塚悠知選手.この夏,彼の突然の完全移籍劇が!!サポーターがあっけにとられる中,かけがえのない水戸のボランチが突如,J1福岡に飛び立っていった.それでも,福岡で,彼の入団時の指揮官である長谷部茂利監督のもと,活躍の場を得た様子で,これは今までの彼の不断の努力を思えば,むしろ喜ばしいことである.
2022シーズンも残すところあとわずか.毎年のことながら,なじみとなったチームの顔が巣立ち,あるいは有終の美を飾る季節となった.
J1チームを股にかけ,ファンタジスタぶりを遺憾なく発揮してきた金久保順選手,昨シーズン,京都から故郷茨城に戻ってきた.怪我でコンディションがなかなか上がらない中,それでもピッチに立つとゲームが締まり,周囲の若い選手の動きが,まるで魔法にかかったように良くなったのには,驚き,ただ目を見張るしかなかった.プロアスリートキャリアの最後に水戸ホーリーホックを選んでくれたことには,感謝の言葉しかない.
今や,Jリーグファンでこの人の名を知らない人はいないであろう,我らが秋葉忠宏監督も,今シーズン限りで水戸を去ることが決まった.2020年,8年ぶりに監督として水戸に戻ってきた彼は,喜怒哀楽を隠さない,強烈なキャラクターを前面に出し,戦法も極めてエモーショナルでアグレッシブな,エンターテインメント全開のフットボールを提供してくれた.ゲームは言うまでもなく,彼のゲーム後インタビューが観たくてDAZNの水戸戦をクリックする他サポさんも多かったと聞く.彼のキャッチコピー,This is fottball! は,今まで水戸のサッカーとして,我々が観てきたものとは大きく異なる,豪快な戦い方だった.この3シーズン,ケーズデンキスタジアム劇場で,ゲームを楽しみ,プレーに心躍らせることができた.
運命の9月5連戦の直前,大いに張り切っていた時の秋葉監督,そして,4敗1分けで終わった後の秋葉さん,公開練習で,遠くから観ていてもその変貌ぶりからは,「退任」を想起させるものがあった.ぜひ,残りの試合で,秋葉監督のThis is football! を堪能したい.3年間,濃い時間を本当にありがとう.また,きっときっと,このチームに戻ってきて欲しい.その時こそ,J1の舞台に立ってもらいたい.
2.去る者あれば,新たな出逢いも
自分が定年で職を辞して3年目となる2022シーズン,もちろんチームでも新戦力選手たちの加入,成長もあり,ここでも十分にサポーターとしての喜びを満喫させていただいたのであるが,そこは別の稿に譲り,自分にとっての大きな出逢いとして,あえてサポーターファミリーをここでは語らせていただく.
自分の職場,業界の先輩達が,しばしば,セカンドライフ開始時に心身の調子を崩されることを聞いて,自分も退職前には不安を感じていた.折しもコロナ禍となり,実際に感じた隔絶,閉塞感は予想を超えたものでもあった.
そんな気持ちを吹き飛ばしてくれたのが,スタジアムで以前と変わらず一緒に応援してくれる,多くのサポ友の存在だった.職業,年齢,性別関係なく,ひたすら水戸ホーリーホックの勝利を祈って応援する仲間!なんと頼もしく,自分を心地よく包んでくれるのだろう.勝ち点3をとった時の喜びはそれこそ1週間持続する.惜しくも負けた時は,1週間ずっと改善策を考えたり,公開練習を見学に行ったり,それもまた,楽しく生きている証なのだ.そうしてまた,あの非日常空間に行って,仲間と一緒に,の至福のループ.
ここ2,3年,水戸ホーリーホックのファン層が,かなり急激にファミリー層に寄ってきている傾向がある.これも,自分にとっては幸運なことで,このところ,孫世代のサポ友が増加中なのである.「せんせー(サポ友達が使う私の呼称を真似て),一緒に応援しようね,」「お〜,やったね!今日も勝つぞ〜!」などと小さくて可愛いサポーター達と言葉を交わしたり,グータッチしたり.最近は,彼らに茨城大学応援ネットのフラッグを振ってもらったりもしている.そう,スタジアムに来れば,(スタジアム)孫がいて,一緒に応援してくれるのである.
お子さんが友達になってくれれば,(私から観れば子供世代の)親御さんとも,本音でお話しができる.そうすると,新しいことも,耳から,眼から入ってくるチャンスがどんどん増える.世代間ギャップを自然に埋めてくれることで,違和感を感じさせない.こうした,「ホームタウン一家族」的な,一体感の楽しさが,このJリーグの,特に水戸ホーリーホックの非日常空間(ケーズデンキスタジアム)には,絶対にある!
3.セカンドハーフ,これからが面白い
人と人との距離が近くなれば,意見の違いも出てくるのは,避けて通れないこと.これがしばしば,トラブルの種ともなり得る.しかし,時に辛辣な意見も(拒絶,否定ではなく)受容し,クラブ,チームの更なる前進,進歩に繋げようとする,大人で前向きな対応が,小島耕社長をはじめとする水戸ホーリーホックのクラブスタッフ達は,できるのである.やる気みなぎる彼らスタッフ達の前向きなチャレンジ精神と,そこから湧き出してくる新たなアイディアが,クラブに活力を与えている.彼らのチャレンジ精神によって,選手たちの,街(ホームタウン)への意識,関心を強くさせ,更には自治体サイドの,ホームタウンとしてのモチベーションをも,劇的に高めつつある.
こうしたクラブの柔軟な発想,取り組みが,退職後の自分に,チャレンジする活力と示唆を,大いに与えてくれるのも見逃せない.自分自身の,火山に関する啓蒙普及活動にも,こうしたクラブの積極姿勢が,積極的に後押しをしてくれるのだ.
更に,クラブの行う社会連携活動に1サポーターとして協力することも,日常的な体,心の「健活」に大変役立つことが判ってきて,これまた,なかなか楽しいものである.
してみると,自分のこの先の人生は,「老後」なんかじゃなく,いわばセカンドハーフ,そう,選手の交代もあれば,得点シーンも出てくる,オープンな攻防で色々な見所が続出する時間帯,いわばこれからが本当に面白みが詰まってくる,そんなステージに入ってきた,と見ることができるではないか!これはもう,わくわく,ドキドキ,楽しみでしかない.
4.必ず水戸をJ1へ
9月連戦のアウェー新潟戦で感じた,本当に今,J1に行くクラブとの様々な差.その差は決して小さくはなかった(詳細は別稿参照).しかし,不思議と,「打ちひしがれた」,というよりは,「水戸でもいつかあの光景を作りたい,うん,水戸でも,夢物語じゃなくて,できそう,皆で頑張って前進していけば.」という,夢への手がかり,足がかりが見えた気がしたのだ.常に夢を持ち続け,目の前の一歩一歩を着実に進める.そうすれば,その先に夢が現実になる日がきっとやってくる.
https://note.com/vast_roses33/n/n228f1c5fe29c
人生にも同じことが言えるように思う.自分のセカンドハーフもホーリーホック同様に,熱く,前向きに,しかし楽しんで「戦って」行きたい.自分のロスタイムにも劇的なシーンが待っているかもしれない.心底そう思わせて,夢を抱かせてくれるくれる,我らが街のJクラブ,FC水戸ホーリーホックに,万歳.