父のこと
先週父が急逝した。
突然のことだった。私は父が嫌だった。
もちろんよくしてもらった思い出もたくさんあるが、それよりも父の性格が私は苦手であった。
よい思い出を上回るくらい、嫌な出来事がふとしたときに思い出されていた。
例えばだが、母の料理にいつまでも文句を言う、私が病気で寝てると「また寝てるのか」と言う、飼ってる猫を怒鳴る、など、思い出せばキリがない。特に酒を飲んだ時はひどかった。毎晩飲んでいた。だから毎晩なにか言われていた。私は成人してからも、しばらく酒を飲むという行為に肯定的ではなかった。(今は毎日飲んでいるが)前にも書いたよう、父には感謝している部分もあった。私は昔幼稚園に勤めており、家庭訪問があった。運転が苦手な私に付き添い、家庭訪問も下見に一緒に行ってくれたり、一人暮らしの引越しの手伝いをほとんどしてくれたり。こういったいいことを、全て駄目にするくらいの出来事がある日起きた。それまでは耐えていたが、そこでダムが崩壊してしまった。そこから約5年ほど、私は必要最低限の会話しかしていなかった。
一人暮らしをするとき、父と母を2人にすることに罪悪感があった。家から出れば父との関係も多少は改善されないかと私も思った。
一昨年、母に癌が見つかった。
父は母の病院に付き添い、父なりに頑張っていた。
でも私はそれは当たり前だと思った。だって今まで散々母に嫌なことを言い、母に世話をしてもらったのだから。それくらいして当然だと思った。
父とはそのときも揉めたが、割愛する。
父は「大丈夫」と言った。本当に父は一人で色々と頑張ってくれていた。私はたまに見舞いに行く程度だった。母は治療の副作用もほとんどなく、月に2回ほどの入院をしており、私も普段通り過ごしていた。
そして先週、母が入院してるときに、父と連絡が取れないと電話があった。私は、どうせ携帯を忘れて出かけたのだろうと思ったが、仕事を抜け出してすぐに実家に行った。父は倒れていた。たくさんの警察が来たし、私は取り調べを受けたし、夜は眠れなかった。私が嫌ってたから、いなくなってもいいと思ったからこんなことになったのかと。でもね、でも、私だってお父さんがもうちょっと私の話を聞いて、優しい気持ちを持ってくれてたらね、私も優しくできたんだよ。もっとおしゃべりしてもよかったんだよ。母が入院のときは一緒にご飯を食べたってよかったんだよ。一人で倒れて逝くなんて、一生許さない。文句も言えてない。私が死ぬ時まで根に持ってやる。私お父さんの葬儀の日、楽しみにしてた旅行があったのに。絶対許さない。
私があげたパジャマとか、お土産とか、もったいないって、いつまでも使わなかったのも怒ってるし、私が描いたイラストを自慢して勝手に人に見せびらかしてたのも怒ってるよ。
あと、私一人っ子だから、母も入院してるし、ほとんど一人で頑張ってるよ。どうしてくれるんだ。
言いたいことがたくさんあるから今すぐ言いたいけど、私が死ぬまでにまだまだ溜まるだろうから覚悟していてほしい。とりあえず今はやることをやって、楽しいことは楽しんで、頑張りますので、私には何も出来ないと思ってるはずだけど、1つずつ取り組んでいきます。
パジャマは着せてあげたから、ゆっくり寝て、お酒もほどほどにね。