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母の死 母からのメッセージ3

前回からの続き

火葬を終え、骨を拾う時には、
私達家族は大分疲れ果てており、
とても静かだった。

うちの下の子だけは興味深く
火葬場の職員さんの
骨の部位の説明を聞いていた。

独特の匂いが漂う中、
骨壺に大きい骨を取って入れ、最後に頭の骨を被せるように乗せた。

式場に戻ると、早速に請求書を渡された。
結局300万近く掛かってしまった。
色々と抑えたつもりだったのに。

生前母は旧統一教会へ全ての財産をつぎ込んでいた。
それも父には内緒で。

県民共済の死亡保険が200万はあるが、
残りはどうしよう。
とりあえず請求書を受け取り、一旦実家に帰る事にした。

私と弟達と父、母の遺骨、久しぶりに家族全員が集まった。

弟達の前で、父に、生前の母の通帳と家計の通帳、財布(中身は4万円ほどしかなかった)それらを渡して、
教会に全て遣ってしまっていた事を告げるしかなかった。

父は表情を変える事なく、
知っとる。
と、そう言った。

そして、もうそれはいい。
わしもまだまだ働けるし、年金もある。
と言ったのだ。

それまで父の事はあまり好きではなかったが、
その時はカッコいいな。と素直に思った。

結局、葬式代は母の保険金200万と、
残りは弟達にお願いする事になった。
香典が少しあったので、それは父に全て渡した。

父は母の遺骨を、未だに納骨していない。
母が亡くなって4年過ぎた今も。

仏壇ではなく母の宗教の祭壇を作り、
そこに置いてある。
そしてその横に、ベッドを置いて毎日寝ている。

父はあれから貯金し、今は既に母が遣った金額の半分は貯金出来たと言っていた。

それも凄いが、
父は母と療養先の沖縄から帰ってくる前に
母の願いだった、旧統一教会での祝福を
沖縄で2人で受けてきたのだそうだ。

わしは宗教はきらいじゃ。
といつも言っていた父が。

驚いたけど、母は父にほんとに愛されていたんだなと、
私は子供としてとても嬉しかった。

私は夫婦の愛を経験する事が出来なかったが(過去記事参照)
そんな父と母を側で見てきて、羨ましいのと同時に、
私もいつかそれを経験したいなと、純粋に思った。

母の献金について一波乱あると思っていたが
何とか丸く収まり、ホッとした。

弟達はそれぞれ母の遺品を少しずつ、
思い思いに持って、東京に帰っていった。

葬式の全てを終えた日の夜、
母が現れた。

白いツイードのスーツのまま、
寝ている私の後ろからぎゅっと抱きしめられた。
それと同時に母の温かい切ない気持ちが私に伝わってきて、何とも言えなかった。

そして母は、自分でも死ぬと思ってなかった突然の出来事だった事
(寝ている時に急に息が止まってしまったそうです)
お葬式をありがとう。
と私に伝えて、だんだん私に重なり溶けるように、そして消えていった。

生前の母との約束で、
死んでから私のところに出てくるなら
朝方5時〜6時くらいの目覚める直前にしてね。
その後寝てしまって、忘れる事がないように。
と約束していた。

スマホを見ると朝の5時過ぎだった。

母さん約束覚えてたんだ。

母さんの余韻が残り、私も切なくなって、
しばらく涙が止まらなかった。

次回に続く





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