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ナーフに理由の記載は「必要ない」

本noteを読む前に、以下の弱体修正(通称「ナーフ」)理由を見て、修正対象のAのナーフが妥当であるか、その理由も合わせて考えてください。

①勝率がランクマッチ全体で55%
②使用率がランクマッチ全体で25%
③一部のユーザーに強烈にヘイトを稼ぐ性能
ではお考えください。


はじめに


古くからカードゲームの分野では、カードのナーフが行われる際に、運営がその調整理由をユーザーに明示すべきか否かについて、たびたび議論が繰り返されてきました。

 特に近年では、SNSなど、プレイヤーが意見を発信する場が増えたことで、運営が調整の意図を丁寧に説明することへの期待値も高まっています。こうした背景から、多くのユーザーが「調整の理由を明確にするべきだ」と声を上げるのも理解できることでしょう。

 しかしながら、それは本当にユーザーが求める正しい要求なのでしょうか。本記事では、「ナーフに調整理由はいらない」という立場から、このテーマを再考してみたいと思います。

ユーザーの意見と「信頼」の重要性

まずは、多数派(理由は示されるべき)の視点をまとめてみました。

ユーザー視点からの主張

 ナーフの際には「信頼性」が重要視されています。
ゲームバランスの変更は、多くのユーザーにとってゲーム体験に直接的な影響を与えるため、納得のいく理由が示されないと、運営への信頼が揺らぐと考えられているためです。

特にナーフは、特定のカードや戦略がゲーム環境を支配し、他の選択肢や戦略がほぼ無力化されているような不健全な状態を改善するために行われます。
 しかし、それがプレイヤーにとって常に歓迎されるものであるとは限りません。むしろ、特定のカードやデッキに愛着を持っていたプレイヤーにとっては、虚しさを抱かせることもあります。そのため、運営が行うナーフには、プレイヤーに対する説明でユーザーを納得させることが求められています。

過去の事例との比較

 一部のDCGでは、過去にナーフが行われるたびに、その理由を詳細に明示していた事例も少なくありません。例えば、全体的な先攻勝率やデッキタイプごとの使用率・勝率といった具体的な数値が提示されていました。

ん・・?

 そのため、過去にナーフ理由の開示が当たり前だったユーザーにとって、昨今の調整内容が簡略化されている現状は、運営の怠慢とみられることがあります。

それでも「調整理由」が不要である理由

以上のことから、ユーザーはナーフの時に「信頼できるデータ」と「納得」を求めている事がわかります。そしてそれは過去出来ていたから公開すべきと言われるのも分かります。
しかし、それでも調整理由が不要である理由を3点上げます

そもそも信用できる根拠という前提が誤り

たとえば、水道局が行う水質検査を考えてみましょう。
水質検査にはさまざまな基準があり、それに基づいて「この水は安全です」や「改善が必要です」といった結果が出されます。
しかし、その基準を設定しているのは水道局自身です。
つまり、検査結果がどれだけ良くても悪くても、その基準自体が曖昧であれば、結果そのものの信頼性も揺らいでしまいます。
水道局の場合、この問題を解決するために、基準の根拠を科学的データや公的な規制に基づいて補強しています。
(なお、これはたとえ話であり、実際の水道局の運営方法とは異なる場合があります。考え方を伝えるための例としてご理解ください。)

しかし、ゲーム運営の調整においては、このような客観的で第三者的な基準は存在しません。運営は「自分たちが面白いと思う基準」に基づいてゲームバランスを判断しているのです。

ここで、最初の問題に立ち返りましょう。
仮に、運営の提示する①②③の基準を見て、その基準自体が適切かどうか以下のような疑問が浮かびます。

  • 勝率や使用率はナーフの基準として適切なのか?

  • 勝率55%を閾値とする場合、54%や56%はどうなのか?その境界をどう説明するのか?

  • 「一部のユーザー」とは、全体の何%を指すのか?

  • 「強烈に」や「ヘイト」といった表現の定義とは?それに妥当性はあるのか?

これらの疑問が解消されない限り、ナーフ基準そのものの信頼性は揺らぎます。
実際、カードゲームの調整理由として「勝率が高いから」「特定のカードにヘイトが集まっているから」「不適切な環境だから」といった説明を目にすることはあります。
しかし、それらを根拠とする理由を掘り下げて説明するケースは稀であり、さらに、その根拠が妥当であるかを精査する取り組みはほとんど行われていません。

このような状況では、ナーフ理由をどれだけ詳細に説明し、勝率や使用率といったデータを提示しても、それを「どう解釈すべきか」という視点は運営に委ねられてしまいます。そのため、その正当性は「運営を信じる」という前提がなければ成り立たないのです。

誤解のないようにお伝えすると、私は「運営を信じるな」と言いたいわけではありません。
むしろ、日々面白いゲームを作る運営の設定した基準が大きく間違っているとは思いません。

しかし、「調整理由がなければ信頼が下がる」「あれば信頼できる」という単純な構図にはならない以上、「信頼を築くために調整理由は必要である」という考えには疑問を呈したいのです。

ユーザー全員が納得できる説明はできない

先ほどは運営を中心とした視点で話を展開しましたが、今度はユーザー間での感覚について考えてみましょう。

結論から言うと、ユーザーは自身の体験や視点を基にナーフの妥当性を判断するため、運営がどれだけ説明を尽くしても、その意味が薄れることが多い、ということです。

ナーフが発表された際、ユーザーの反応はさまざまで、納得する人、他のキャラをナーフしたほうがいいと主張する人、逆にナーフが重すぎ多すぎと言う人、〇〇は運営に嫌われてる不遇など言うアホなどが挙げられます。
そして、これらの反応に共通しているのは、自身の経験を通じてナーフの是非を判断している点です。

もちろん、個人がナーフの妥当性を主観的に判断すること自体は問題ではありません。客観的なデータを個人で入手するのは難しいため、主観に頼るのは自然なことです。
ここで注目すべきなのは、大多数のユーザーは、「調整理由や数値が示されれば納得できる」という立場を取っていますが、実際にはそれらが「自分の主観と結びつくことで」初めて納得できる、というのが実態です。

ナーフに納得いかなくて声を上げるのは全く問題ないです。運営の掲げた「面白さ」の基準に沿った調整でユーザーの不満が高まった結果、良いフィードバックが生まれることもあります。
しかし、多くのユーザーが「運営を信用するには理由の明示が必要」と主張している一方で、いざ理由が提示されると、まずその判断を主観を根拠にして疑う姿勢から入るのだとしたら、その説明には本当に意味があるのでしょうか。

調整理由が逆効果になる場合がある

以下の記事は、なぜナーフのお知らせには数字を出さないようになったのか?が書かれています

gamer.ne.jp/news/202206170003/

つまるところ、「これまでは勝率や使用率を基準にナーフを行っていたが、今後はそれ以外の要素も考慮する」という方針が示されているわけです。裏を返せば、勝率や使用率が正常であっても、ナーフが行われる可能性があることを意味します。この場合、正常な数値を開示する必要はありません。なぜなら、それらがナーフの根拠にはならないからです。
では、逆に正常な数値を開示した場合、どのような影響があるのでしょうか。

たとえば、あなたの好きなカードがナーフされてしまったとしましょう。この状況で、該当カードの勝率や使用率が開示され、どちらも歴代のナーフ対象カードと比べて正常な数値だったとします。当然、「どうしてナーフする必要があったのか」と納得できないのは無理もありません。さらに、ナーフの理由として「多くのユーザーが楽しめていないから」という説明が付け加えられたとしたらどうでしょうか。
私なら烈火のごとく怒る自信があります笑。それは、自分の楽しみが蔑ろにされたと感じるからです。(さすがにここまで直接的な理由は出さないと思いますが。)

ここで重要なのは、数値以外のエビデンスを用いる際に、勝率や使用率といった数値の開示が逆に調整の妨げになる場合があるという点です。
多くの人は、勝率や使用率、そしてナーフ理由の開示を「ナーフを正当化するための強力な根拠」と捉えます。一見すると合理的なように思えますが、これらの数値はあくまで適切な場面で用いられてこそ意味を持つものです。
問題は、運営が数値以外の要因、たとえば「多くのユーザーが楽しめていない」という感覚的な要素や、長期的なゲームデザインの観点を根拠に調整を行おうとした場合です。
このような状況で数値を開示すると、それがユーザー間で新たな不満を引き起こし、結果的に調整の意図が正しく伝わらないどころか、運営への信頼を損なう可能性があります。

つまり、数値の開示は状況に応じて有用にもなり得ますが、逆に別の要素が絡む場面では足枷となり、意図しない混乱を招くリスクを伴うのです。

以上の点から、ナーフ時に調整理由や数値の開示をすることが信用を得ることにおいて、必ずしも意味を持つわけではないことが伝わったと思います。

じゃあ、どうすればいい?(おまけ)

そのうえで運営に個人的にやってほしいことを羅列していきます。

無駄な用語や曖昧な表現の削除

「流動性」など、具体性に欠ける言葉はユーザーに無駄に不信感を与えかねません。実際、流動性という言葉が独り歩きしておもちゃ化しており、それは運営も意図しないと思うので、今すぐ消しましょう。

〇〇月△△日にこれ修正します~~ だけでいいです

ユーザー求めているのは「理由」ではない

それでもなお、調整理由や数値の開示を求める声が減ることはないのではないかと思います。
なぜなら、多くのユーザーはナーフの根拠としてそれらを求めているのではなく、その情報自体を一種のコンテンツとして楽しんでいる側面があるからです。
運営の考えにあーだこーだ言うの楽しいですしね。

つまり、ナーフをトリガーとして勝率・使用率を出すのではなく、運営の環境に対する考えを勝率・使用率を用いて定期的に発表すれば良いと思うんですね。
だから、新カードパックが発売する前のしゃどばすちゃんねるでデータ発表してたみたいに定期的に発表すればマジで面白いと思うですよ。おねがいよ~~~~~発表してよ~~

秘密です(笑)←怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒

ビヨンド出ても無理そう(´;ω;`)(´;ω;`)

終わりに

ナーフ時に開示される理由や数値は、ユーザーとの信頼を築くためのものと一般的に考えられています。ユーザーがそれを欲しているという事実自体は正しいかもしれません。しかし、その理由が歪められている可能性も考えるべきではないでしょうか。
これは決してナーフ理由に限った話ではなく、ユーザー自身が求める根拠のラベル付けを誤ることで、運営に対して本当に求めていることを正確に伝えられない状況が生まれている可能性があります。

ゲームがより良くなるためには、ユーザーのフィードバックが不可欠です。しかし、そのフィードバックが本質を外れた形で伝わると、運営が意図した改善に繋がらないばかりか、むしろ双方にとっての不満を生む原因にもなり得ます。
だからこそ、ユーザー自身が「何を、なぜ求めているのか」を改めて深く考えることで、運営も本当に改善すべき点を的確に理解でき、より良い調整が期待できるはずです。

正直、調整理由と勝率使用率データは今後は出なさそうですが。本当は自分も出してほしいんですけどね。見たいから。
まぁユーザーが真面目にフィードバックを送る義理は一つもないので、公式ツイッターでグチグチ愚痴を言うくらいなら、お問い合わせフォームから文章を送ってね。ぐらいのノリでいいと思います。

ビヨンドはよ来ないかなぁ・・・(´;ω;`)

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