自分の出発点と現在の自分に至るまで
多くの創作に向き合っている方々は「〇〇の作品に感銘を受けて、自分もこんな作品をつくりたい!」といったきっかけが多いと思います。
ですが、自分が創作を始めたきっかけはとても安直で他愛無いものでした。
それは自分がまだ理系の大学院に在学中のこと。
修士論文を作成中、添削のためにボス(担当教員)に自分の纏めた論文をついて怒られたのがきっかけです。
おそらくここまでの内容で創作に触れるきっかけが分かった人はいないと思います。分かったらあなたは宇宙人以上に稀少な方です。
話を戻します。
自分がボスに怒られた理由は
「お前の書いた文章は文学的すぎる!」
論文は本来、特に自分の専攻であった実験科学で求められるのは“誰が読んでも再現できる想像する余地のない文章”です。
当時意識せず書いて怒られた文章は“想像の余地のある文章が混じっていた”のです。
(その後ボスからは小一時間説教を受けました)
この出来事が、自分が明確に創作に足を踏み入れたきっかけです。
当時は「自分の文章って文学的なんだ〜」なんて呑気に受け止めました。
ちなみに修士論文は指摘通り修正して、なんとか修士課程を修了しました。
そして、このボスの言葉を思い出したのは約一年後のことです。
修士号を取得して修了した2020年。
新型コロナウイルスによる不要不急の外出自粛が定着した頃です。その影響で時間ができ、自分は暇になったのです。
何か新しい趣味でも探そうと考えた時に、なぜか過去に説教されたボスの言葉を思い出したのです。
そこで何を考えたのか。
自分は唐突に思い付いたのです。
“文学的な文章書けるなら小説とか書けるんじゃねぇ?”
今思えば、あまりに唐突で他の小説家の先生方や小説家志望の方々から「創作舐めるんじゃねぇ!」と言われても反論できません。
ですが、自分はこんなきっかけで創作の道に足を踏み入れました。
自分は10代中盤からライトノベルを読み始め、読み専で大学院生の時も読んでました。
その経験もあり、まず親しんできたラノベを書こうと思い立ちました。
そして初めて公募というものに踏み出したのは、第28回電撃小説大賞です。
今思えば、創作の“そ”の字も知らない素人が電撃に挑んだな、と無知であるが故の行動力に感心してます。
そして初めて応募した三ヶ月後、一次選考の結果発表がありました。
結果は一次落選。
当然です。
何も勉強せず、経験もない自分の書いた小説が評価された方が驚きです。
前述した一言一句が結果を知った自分によぎった言葉でした。
そこから自分は心を改め、気持ちを新たに次の賞レースを探しました。
当時、直近だった賞レースは第14回後期GA文庫大賞でした。そこに向けて新作原稿と以前書いた原稿を改稿して応募しました。
年は跨ぎ、二月十五日。
一次選考の発表日。
以前とあまり変わらず、直前になって緊張しながらページを開きました。
結果は改稿作が一次通過。
初めて一次を通過した時の感動は、今でも印象的な感覚です。
「これはもしかして? ワンチャンあるんじゃないか?」
なんて根拠のない自信が湧きました。
そして二月末。
二次選考の結果発表日。
一次選考の時と同じく直前になって緊張しながらページを開きました。
結果は二次選考落選。
妙な自信が打ち砕かれた瞬間でした。
でも、電撃の時にも同じ感覚で“悔しくて堪らない”という感情は抱きませんでした。
公募に挑戦して一年も経っていない自分がそう容易く受賞できるわけがない。
そこからもう一度心を入れ替え、直近だった第29回電撃小説大賞のための新作を書き始めました。
そして応募した直後から、第15回前期GA文庫大賞へ応募するべくまた新たに新作を書き始めました。
この時、今までハイファンタジーしか書いていなかった自分が初めてラブコメを書いた時でした。
初めてのジャンルで慣れないながらも書き終えて応募しました。
その後、電撃の一次結果発表の当日まで時があっという間に過ぎました。
結果は一次落選。
結果を見る前に、“落ちてたら悔しくなるんだろうな”と思っていました。
ですが、落ちて感じたことは一年前と同じでした。
一年やそこらで結果が出るなら、他の作家志望者の方々が血反吐を吐くような思いをしないはずだ。
その思いを胸に、また次の作品に着手していきました。
新作を書きながら迎えた15回前期のGA文庫大賞。
当日ページを開き確認。
結果は一次通過。
嬉しかったです。初めて書いたラブコメで一次を通過した時、脳汁がやばかったのだけは覚えています。
そして月末。
二次選考の結果が発表になる日。
いつも通り、直前になって訪れる緊張とともにページを開きました。
結果は二次通過。
とても嬉しかったです。
初めて書いたジャンルで二次を通過したのです。当時は嬉しくて堪らなかったのだけは覚えています。
その後、九月末まで結果が発表されなかったので、「もしかしたら、もしかするか?」という根拠のない期待を抱いたのを覚えてます。当時の自分にビンタしてやりたいくらいつけ上がってます。
結果は三次落選。
この時、初めて数分間、悔しいと心の底から思いました。
でも他の小説家志望の方々はこの思いをしながらも創作に向き合っている。落ち込んだり悔しいと思うなら、さっさと次の作品を書き始めろとケツを叩きました。
その頃からTwitter(現X)を本格的に使い始め創作仲間と関わりができていきました。
そして十一月末のGA後期に応募しました。この頃から、他の賞レースにも挑戦しようと思い立ち、第36回後期ファンタジア大賞に向けて執筆し始めました。
その頃付近から飲酒をしながら小説を書く作家志望の集いがあると知りました。
自分もお酒は好きだったので仲間入りしました。
それが後に“飲酒公募勢”となる集いでした。
また年は跨ぎます。
書き終えた時期と同じく、GA後期の一次選考の結果発表。
前回二次を通過したんだから少なくとも一次は通るだけ力を付けてるだろう。そう思っていました。
とても甘い目算でした。
結果は一次落選。
この時、悔しさを感じませんでした。
それよりも天狗になっていた自分が恥ずかしかったのを強く覚えています。
また心を改めて、書き終えた原稿をファンタジア大賞へ応募しました。
その後すぐに第30回電撃大賞へ応募するため、以前の作品を改稿して応募しました。
2023年は挑戦の年にすると決め、気になった賞レースに参加するため、予定を組んで、最大数新作を書く。そう決めました。その一環で複数作同時並行で作品を書き始めました。
最初は二作同時で書き上げられるか挑戦しました。
時は過ぎて四月下旬に入る頃。
ファンタジアの一次選考結果が出ました。
結果は一次通過。
今年初の書き終えた原稿の結果は、なんとか幸先の良いものでした。少し安堵した感覚を覚えてます。
そして一ヶ月が過ぎて、ファンタジアの二次選考発表。
その時も直前に緊張が走りました。
結果は二次落選。
この時も 、他のフォロワーさんが通過してる。対する自分は落選した事実がある中、そこまで長く悔しく思うことはありませんでした。
前回のGAでも似たようなことがあったからです。
その後、無事原稿を書き終えた後、第16回前期GA文庫大賞へ応募。
執筆中に思い付いたアイディアで急遽第20回MF文庫Jライトノベル新人賞第一期へ応募するためGAの原稿を書きながら追加で書き出しました。
なんとか〆切前に書き終えた新作をMFの新人賞へ応募しました。
次に向けてまたすぐプロットを練りました。
次は第37回前期ファンタジア大賞へ焦点を合わせて予定を組みました。
手元にあるプロットは三個。
出し惜しみせず三作同時で書き上げられるかの検証も含め、三作同時並行執筆を始めました。
正直言うと、ほんの少し後悔しました。
毎日一作あたり約三千字。合計九千字近く、ほぼ毎日書いていくのは脳の疲れがすごかったです。ですが、そのおかげなのか。その時の睡眠はとても深くできた感覚はありました。
そうして時は過ぎて、電撃の結果発表。
第30回の電撃大賞の衝撃はラノベ作家志望の方々はご存知だと思います。
約四%という異例の一次の通過率。
もちろん自分の作品は落選。
この時、悔しいという感情は前と同じく感じませんでした。通過率もそうですが、まだ自分はその域まで成長してないと分からせられました。
次に向けて全力で執筆しました。
次に待っていたのは16回GA文庫大賞の一次結果発表。
前回、一次落選したため次こそは通過したい。その思いは強かったです。
結果は一次落選。
現実はそこまで優しくなかったです。
ですがこの時、発表前の緊張から解放された感覚の方が強く、悔しいと思う時間は一分も経たなかったです。
すぐに切り替えて作品の応募のためすぐに手を動かしました。
三作とも無事書き終えて、ファンタジア大賞へ応募しました。
応募してすぐ、このnoteを書いている現在、次の作品のプロットを作成しています。
ここまで過去の応募遍歴を見た方の中で、「落ちたのに、悔しいと心の底から思わないのは本気じゃないからだ!」という方がいると思っています。
過去の自分が今の戦績を見たらそう思っているかもしれません。
ですが、今の自分がそれに対して返答するなら、
『あなたは三作も同時に書いて応募するイカれた人間が本気で書いてない、と百%言い切れますか?』
それだけ言いたいです。
自分はメンタルが強くないと分かっています。
そのための防衛策として、できるだけ悔しいと思う時間を削り、次へ行動するための時間に当てています。
初めは他愛無い動機で始めた執筆は今では挑戦のスタートラインに立つための前準備なのだと考えてます。
そのためには反骨精神も大事ですが、メンタルをやられてボロボロになる方がもったいなく思うのです。
それが今の自分の創作に向き合うスタンスになってます。
もしここまで読んでくださった方には感謝しています。こんな長文に付き合って頂き誠にありがとうございます。
長文失礼しました。
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