マイペースなあなたへ

マイペースでいてくれてありがとうございます。
どうかそのままでいてください。

 「ごめんなさい。私何やるにもゆっくり何です。」
ゆっくりマイペースさんはそうよく言う。
 頭の回転のスピードが早い人は相手が自分の話についていけているか相手の顔色をよく伺う。
 マイワールドに入ってしまう人は周りで何が起きていても気が付かない。

協調性のある聞き分けのある”良い子”が好まれる時代。
正解、不正解しかないテスト。
「人に迷惑をかけないように生きなさい。」
そんな環境が長かった私には、マイペースは悪だった。

自分の本来の素質を抑えて良い子でいようとすることはいつか限界が来る。
そもそも”良い子”って何だろうか?人によって定義は違う。
自分がやりたくて素でやっているというより”自分の経験上こうするのが正解なんでしょ”という人に好まれる対応をしても、ある人には怒られることさえある。全員に好まれる万人受けする良い子など存在するのだろうか?

そして時代も追いついてくる。多様性の時代。
そんな時に本来の自分でいなさいと言われる。
自分を出していいよ。出した方がいいよと言われても溶け込めるように必死で抑え込まれてきたもの。
”はて?自分の素質ってなんだっけ?”
嫌なことはわかるけど”これが私です!”というのはなんだろうか?
自分が本当に好きなものは何だろうか?

「分からないときはとりあえず嫌なことはやらないようにしていけば見えてくるよ。」
罪悪感を抱きながらも実行する。
全てが嫌だ。何もやりたいことがない。好きなものも出てくるどころかどんどんなくなっていく。
自分は空っぽだ。
「疲れているんだよ。しっかり休んで、自分を認め・受け入れ、癒えたら好きなモノ出てくるよ。」
想像よりも倍の倍くらい時間はかかったがそう言われたことがわかってきた。

自分を抑え込むことを学び、得意な能力は抑えられ、協調性能力ばかりが磨き上げられてきた私はおそらく周りを見るのが得意になったのだろう。
人と会話していると、その話に参加しようかなと思っていると他にそのことについて話したい人がいることに気が付きそれが終わるまで待っていると、その話が終わるころには言いたかった内容が過ぎ去っていたり、話したい人たちが満足して次の話題に移ってしまったりする。
会話のスピードが早い時、突然自分の意見を求められたりするときはかなり焦る。何か言わなければいけない。”今までの話はこういうことで”と理解して、”聞かれていることはこういうこと?”で”自分の意見はこう”で、”求められていることにあっているだろうか?”短い時間で頭をフル回転しながら脅迫感を感じながら答える。
人と分かれて一人になるとどっと疲労感が押し寄せてくる。会話のテンポやタイミングを逃さないように無意識に気を張っていたことに気が付く。

でも、何を話して良くて、それが自分の良く知っていることで、自分の話すターンで時間も気にしなくてよいと分かれば、会話はとても面白い。それはおそらく私が自分のペースでいられているから。
マイペースでいられると脅迫感もない。
余裕があるから話を聞きながら自分の感情にもフォーカスできている。
”あ、この話面白いな。もっと知りたいな” 会話も盛り上がる。
”自分もやってみたいな” 好きなものが見つかるかもしれない。
会話が盛り上がれば縁も深くなり、繋がっていく。
マイペースでいられると良いことばかりだ。
もしかしたらマイペースの時にこそ本当の自分が見つかるのかもしれない。

マイペースの時はその人の嘘がない状態。マイペースの人といると安心する。マイペースさんは自分のペースを貫き、ペースが崩れることもあまりない。
 複数での会話の中ゆっくりマイペースさんが丁寧な話方を聞いていると落ち着かせてくれる。”周りに合わせずに、自分のペースでいいんだよ。”と言われている気分になる。
 スピードマイペースさんは先のことまで考えているから、行動をする時その人についていけば安心だ。
 没頭マイペースさんの集中力はすごい。周りに何がおころうが、周りが何を言おうが、自分のやっていることにのみ集中する。その人が表現する世界、見ている世界はとても深いのだろう。自分では見られない世界を見せてくれる。

きっとたくさんの私の知らないマイペースがあるのだろう。
それぞれいろんな良さがある。
みんな違ってみんな良い。
いろんなマイペースを実行されているのを目の当たりにすると自分もマイペースを発揮していて良いのだと思える。後押しをしてもらえる。
相手がフレンドリーだとこちらも安心して素を出せるような感覚。

私のペースはなんだろうな?
皆が素の自分を出せる暖かな世界で豊かな空気に浸れるのが待ちきれない。

マイペースでいてくれていてありがとう。

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