メロディーのような何か
夕食を終えてぼんやりとしていたら、ふと草の匂いを吸い込みたくなった。部屋を出て、歩いて数分の公園へと向かった。線路沿いのその場所には、小さな池と、草むらと、ちょっとした木立がある。昼間は半袖で過ごせるくらいの暖かい季節になってきたけれど、陽が落ちると冷んやりした空気が戻ってくる。長袖のシャツ一枚で出かけて、ほんの少し肌寒い…そんな夜だった。遊歩道を辿るとき、目的地もないくせにいつものように足早になってしまう。やりきれない気持ちになる。もっと余裕のある足どりで、植物にふれたり