見出し画像

ちょっぴり鬱な渇き

 あたたかい昼間の日差しが、私たちを乾燥させた。干している服と空のコップ。茶碗に残った白米はかびつつある。必要な水分は偏っていた。冷蔵庫には牛乳とコーラ。コーヒーの豆と紅茶の茶葉。冷えたそれらとぬるい身体。暑い外にぬるい室内。金木犀の香りは部屋の底にたまっている。窓からの風は入ってこない。私が拒絶しているからである。ゴキブリさえ入り込まないこのぬるさが好きだ。

 それでも金は必要でバイトのために外出するまであと一時間。シャワーして洗顔してファンデとアイラインだけちゃんとしてれば大丈夫だから、さあがんばろうよ。ねえ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?