My essay②「絵」
序
初めて部屋に訪れた時、すぐに何かしらを感じた私は
その存在に気付いた
それは部屋一番の死角となる場所に、飾られてあった
破
私は絵を描く才能は皆無である
だから絵というものに興味もなければ、著名な方の絵すら知らない
美術館デートというものも、人生で未だ経験がない
自ずと部屋に絵を飾ることもない
そんな人間からすると、部屋に絵を置くということは未知の領域である
『絵が好きな人は部屋に絵を飾るのだろうか
この絵は有名な方が描いた絵なのだろうか
お気に入りの絵なのだろうか』
頭の中ではたくさんたくさん疑問が沸いてくるのに口に出せずにいる
その理由として、この絵がすごくセンシティブなものだから
自分とはかけ離れたstyleの裸の美しい女性の絵だから、だ
何度か部屋を訪ねる関係になると、もうその疑問について聞く
タイミングを完全に逃してしまった
ただただ、その絵を見るたびに自分の中でなんだか申し訳ない
気持ちが沸いてくる
勿論、ただの絵だ
だけど、されど絵だ
『どういう気持ちでその絵を眺め
どういう気持ちで私を見ているのだろう』
そういうことではないのかもしれないが、やっぱり引っかかって
気になって、これも恋の過程で起こる一つのジレンマなのだろうかと
頭の片隅にずっと居続ける夢幻のようなモノとなった
急
最後に部屋を訪れる時、何故だかわからないが今までで一番
まっすぐにその絵と向き合えた気がした
そしてそれは自分とも向き合えたと思えた瞬間だった
希望をしていた異動が叶い、本社で働くことになった
すごく嬉しかった
何を持って行き、何を置いて行くのか
出来る限り考えず、直感で決めていくことにした
最後の会話で、この絵は彼自身が描いたものだということを知った
この絵には、この絵の人には、敵わなかったな
ゆるしてください、ありがとう
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