心霊現象再現ドラマ・『霊のうごめく家』10
エピローグ・転居
ショット84~ショット88
霊能者の語るところでは、自身の手に余るほど、この家には大量の霊が住み着いている。しかも地下には大量の人骨が埋まっているという。
一刻もはやく別の家へ引っ越さなければ、家族は年齢の若い順に亡くなる(つまり陽子が真っ先に亡くなる)と告げる。慌てた両親は、次のショットでは既に引っ越し先に向かおうとしている。
ショット89~ショット94
ここからの一連のショットでは、借家を去ろうとする陽子の行動を描くが、またしても陽子は奇妙な振る舞いを示す。
ショット89
陽子は家を去るために小走りでカメラに向かう形で玄関まで来たものの、なんとはなしに背後を振り返る。
ショット90
約3秒間、陽子の主観ショットによって狭く暗い廊下が撮られている。
ショット91
家屋の側から撮影されているカメラに背を向けた陽子は、ふたたび玄関のほうへ方向を変える。
ショット92
既に両親は車に乗り込んでおり、陽子に早く来るよう呼びかける。
ショット93
陽子は両親の呼びかけに無言で応じ、玄関を出ようとする。
それでも…。
ショット94
約10秒もの陽子のネックアップで、陽子は微笑んでいるような、名残惜しいような表情を見せるのは、どう解釈してよいのか分からない。台詞が殆どないため、あらぬ想像を視聴者に掻き立てる。陽子は幽霊と遭ったとき、なにか言葉でも交わしたのか?などと。
そしてショット94の終わりごろ、陽子はガラス戸を閉め、カメラは家屋に閉じ込められる形で終わる。最後に黒バックに白の字幕が表示されて、『霊のうごめく家』は幕を閉じる。母親の判断は正しかったらしい。
「そして、私たちは宇部市の
マンションに引っ越した」
「私たちの後に住んだ家族に
不幸があった事を、父から
聞かされたのは、1986年に
なってからの事だった。」